■最終更新日:2026.3.5
太陽は爆発する?地球を飲み込むほど膨張する太陽の未来
5歳になる筆者の息子ですが、また面白いことを言い出しました。
「太陽が爆発するのが怖くて眠れない…」
我が子ながら、とんでもないことを心配するな…と思いましたが、子どもの不安や疑問にはどこまでも付き合うのが親の務めです。
きっかけはYouTube動画。ブラックホールTON618や、赤色超巨星スティーブンソン2-18のような巨大な天体に興味を持ち、そしてどうやら恒星がいつか爆発することを知ったようです。
当たり前に存在しその大切さを忘れてしまうものを「水」や「空気」に例えることが良くありますが、太陽もまた存在が当たり前と感じられる代表例だと思います。しかも、太陽無くして地球上生物は生きられず、本ブログのテーマである「農業」もまた成り立ちません。
太陽は果たして爆発するのか、そしてそれを逃れる術はあるのでしょうか。真剣に考えて行きたいと思います。

なぜ太陽が爆発すると考えたのか
太陽が爆発する。突拍子もない話に聞こえますが、なかなか興味深い話です。
息子はなぜ太陽が爆発すると考えたのでしょう?
■ベテルギウスの超新星爆発
太陽が爆発するかもしれない、そう考える理由は、やはり目前に迫った「ベテルギウスの超新星爆発」です。同じ恒星であるベテルギウスが爆発するのであれば、太陽が爆発すると思うのも全く不思議ではありません。
ちなみにベテルギウスの爆発は、目前と言っても10万年以内という人間の寿命からは遥か先の話です。そして仮に生きている間に爆発したとしても、地球からの距離は500光年以上あるため、地球上から爆発を見ることができるのは500年以上先の話となってしまいます。
観測できる、できないはともかく、ベテルギウスのような恒星が爆発することから、太陽も爆発してしまうのでは…と考えるのは自然な考え方だと思います。
そして太陽はベテルギウスに比べ、地球環境に大きな影響を与える「身近な恒星」です。太陽が爆発するとしたら多くの人が大きな恐怖を感じるのではないでしょうか?

太陽や恒星の多くは水素で燃えている
燃えなければ爆発することもないのですが、何故太陽をはじめ星々は燃えているのでしょう?
実は太陽を含む多くの恒星は「水素」により燃えています。
より正確に言うと「水素の核融合」により、水素がヘリウムに変換される際に発生する膨大なエネルギーにより燃え続けています。
太陽の大部分は水素でできており、その質量の70~75%は水素です。つまり、太陽はそのほとんどが燃え続けるための燃料だということです。
太陽や恒星が塊を成しているのは、太陽の巨大な質量による重力と、核融合により膨張しようとする圧力が釣り合っているからなのです。

なぜ恒星は爆発する?
一旦太陽については置いておいて、何故ベテルギウスのような恒星が爆発するかを整理したいと思います。恒星が爆発する理由は、最期に「重力崩壊」を引き起こすからです。
恒星は絶えず核融合を繰り返すことで燃えていますが、核融合を起こすための燃料が尽きると、自身の生み出す重力と釣り合いが取れなくなり、一気に収縮します。
恒星はとても大きな重力を持ってるため収縮するスピードはとてつもなく早く、秒速3万km以上に達するそうです。これは20秒あれば地球から月に到達できるほどの速度です。
重力による収縮が起こると、その反動で今度は外側へ衝撃波が拡がります。この衝撃波により大爆発が起こるというわけです。星の外層は吹き飛ばされ、恒星を構成していたさまざまな物質が宇宙空間へと放出されます。

太陽は爆発しない
ここまでお読みいただき、息子と同じく太陽が爆発することを心配した皆さん、ご安心ください。
実は太陽は爆発しないとされています。
■太陽は爆発せず、膨張してしぼむ
太陽は超新星爆発を起こすことができません。なぜなら質量が足りないからです。
重力は質量に比例し大きくなります。つまり重いほど「重力崩壊」で生まれるエネルギーは大きくなります。
太陽の質量は約1.99×1030kgです。和式単位では穣(じょう)というなかなか耳にすることの無い単位になります。とんでもなく重いのですがそれでも足りません。超新星爆発を起こすためには太陽の8倍の質量が必要だとされています。
超新星爆発を起こせない太陽は、燃料となる水素が尽きた後、大きく膨張し、そしてしぼんでいくと予想されています。
■膨張した太陽は地球を飲み込む可能性がある
太陽は爆発しません、あぁ良かった…と思いたいところですが、爆発しないまでも重力との釣り合いが崩れることにより「大きく膨張」します。
大きくとはどの程度の大きさのことを指しているのでしょう?その答えは「約200~300倍」です。
太陽の半径は約70万km、地球と太陽との距離はおよそ1億5000万km。単純計算では太陽が215倍程度の大きさまで膨張したとき、地球は飲み込まれることになります。
参考:Forbes JAPAN「太陽は現在の「約300倍に膨張」して一生を終える~」
https://forbesjapan.com/articles/detail/67066

水素を送り続ければ膨張しないのでは?
ここからは5歳の息子と話した、太陽を膨張させない方法論になります。
地球が太陽にのまれる前に地球を脱出しようと考えるのが普通だとは思うのですが、息子には「地球を守りたい」という強い意志がありました。
■太陽の水素を切らさなければいい
太陽は燃料となる水素を失うことで重力との均衡が破れ、膨張を開始します。
であるならば、太陽に水素を送り続けることができれば、太陽は膨張せず燃え続けるのではないでしょうか?
なるほど、子供ながら見事な発想です。現実的か非現実的か、そんなことは関係ありません。水素を太陽へと届けましょう。
■水素は海水を電気分解して作る
水素を供給し続けることができれば太陽は膨張せず燃え続ける。その仮定が正しいとして、太陽に送る
ための水素を作る方法として真っ先に思いついたのは「水の電気分解」です。
電気分解については、多くの方が中学生時代に、理科で実験を行った経験があると思います。
水に二本の電極を刺し電気を流すことで、陽極に酸素を、陰極に水素を発生させる方法です。
地球面積の約70%を占める海の水を使い電気分解を行えば、非常に膨大な水素を作り出せるだろうと考えました。

本当に必要な水素量を補うことはできるのか
ここからは太陽の燃焼に必要な水素量について考えます。
太陽を燃やし続けるにはどの程度の水素を与えればよいのでしょう?
■海水では絶望的に足りない
太陽の水素消費量は資料によって異なるものの、毎秒6億トン以上もの水素を消費しているそうです。
一方で地球の海水の量は140京トン、水1トンを完全に電気分解して得られる水素は約110kgです。海水が全て純水であるとして計算すると、海水を全て電気分解して得られる水素は15.4京トンほどになります。
この水素15.4京トンを、太陽の1秒の消費量である6億トンで割ると約2.6億秒です。2.6億秒と言われるとものすごく長く感じますが、たった8年ほどです。地球の全ての海水をつぎ込んだとして、太陽をたった8年延命させることしかできないのです。

■土星の環なら?
海でダメなら…大量の水を求め辿り着いたのは、太陽系第6惑星「土星」でした。
太陽の異変、これはもう太陽系全体の問題なのです。土星の環はそのほとんどが氷でできています。
土星の大きさは地球の745倍ほど。これほど大きな天体であれば、その環にも期待できるのではないでしょうか?
調べると土星の環の質量は総計で1500京トン。95%が純粋な水とされています。地球の海水が140京トンで8年だったので、土星の環を全て電気分解すれば約80年分の水素が作れることになります。

■太陽に水素を送ることの問題点
十分な水素を集めることが難しい以外にも、この方法には大きな問題があります。
水素を届ける方法が無い、それもそうなのですが、もし十分な水素を太陽に供給できたとして、太陽に水素を与えることは「太陽の質量が増大する」ことを意味します。
太陽の質量が増大すれば、比例して重力も大きくなります。重力が大きくなると水素が核融合を起こす速度が早まり、水素の消費量が増えてしまいます。
太陽に水素を送ることは結果として、太陽の寿命を縮めることに繋がってしまうのです…
大量の燃料が尽きるのは50億年後の話
少し不安になったでしょうか?
実は太陽が寿命を迎える、つまり水素が尽きるのは50億年後と言われています。50億年後…まさに天文学的な歳月の後の出来事と言えます。
しかし実際にはそれより早い約10億年後、地球では平均気温約47℃へと上昇、植物は枯れ果て、生物の住めない星へと変わってしまう可能性があるそうです。これは太陽が年々明るく、そして熱くなっていることに影響します。
今人類が直面している「二酸化炭素の温室効果による地球温暖化」とは別の原因で、地球は生物の住めない、作物の育たない環境へと向かっているのです。
参考:Wikipedia「地球の未来」
https://ja.wikipedia.org/wiki/
まとめ
かつて中国の「杞」という国の人が、空が落ちてこないかを心配したことから「杞憂」という言葉が生まれたとされています。
私の息子が太陽が爆発することを怖がったのもまさに「杞憂」なのですが、それをきっかけに太陽と地球の関係性を調べて感じたのは、私たちが「奇跡的な安定」の中で生きているということです。
もし太陽の温度がもっと高かったら、もし太陽と地球の距離がもっと近かったら、もし太陽の重力がもっと大きかったら、もし十億年後の未来に生まれていたら…
生物も作物も農業も、この地球は「奇跡的な安定」の上に成り立っています。
数か月後にはきっとイヤになるほど異常な暑さを届けてくれる太陽ですが、次の夏は少し変わった見方ができるのではないでしょうか?
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東京戸張株式会社のWEB担当。
兼業農家に生まれ、家庭菜園と米づくりの経験は20年近くとなる。
副業でミミズを育て売るというかなり特殊な父親に育てられた。
土いじりもパソコンいじりも好き。だが、この世界で最も嫌いなものはきゅうり。














