新米はいつごろ販売開始される?いち早く手に入れる方法は?
政府備蓄米が話題となる中で、新米がいつ販売開始となるのか気になっている方も非常に多いと思います。なんとなく例年新米の発売は10月~11月のイメージがある方が多いと思いますが、実際に新米がお店に出回るのはいつ頃になるのでしょう?
実はお米も地域ごとに販売時期に差異があり、お住まいの地域でなければ既に購入できるということも少なくありません。
本記事では「新米が例年販売開始される時期」や「新米をいち早く入手できる可能性のある方法」についてご紹介して行きたいと思います。

新米とは?
なんとなく一番新しいお米を「新米」と言ってしまうことが多いと思いますが、新米とはどのようなお米を言うのでしょう?また、お店で「新米」と書かれているお米はどのようなお米なのでしょう?
■新米の定義
新米は食品表示法において次のように定義されています。
「収穫された年の12月31日までに精米・包装されたお米」
収穫されただけでは新米にならず、精米が翌年になってしまったらそれはもう新米ではありません。
つまり精米され販売されるのが10月であれば「新米」と呼べるのは、10月、11月、12月のたった3ヶ月になってしまいます。
それでは収穫後、翌年1月1日に精米したお米は古米となるのでしょうか?実はそれも違っていて、そのようなお米は「現米(げんまい)・普通米」に分類されます。収穫から約1年が経ち、翌年の新米が出たタイミングで「古米」へと名称が変化します。
・新米:収穫された年に精米・販売されたお米。その年の12月31日まで。
・現米・普通米:収穫から翌年以降に精米・販売され、次年度のお米が出るまでのお米。
・古米:次年度のお米が出た後のお米。年を追うごとに「古」の数が増えていく。

お米はいつ収穫される?
お米も植物であるため、やはり温暖な気候であるほど植付け~収穫が早く、北に行くほど遅くなる傾向にあります。これは桜前線をイメージすると分かりやすいかも知れません。
また品種により収穫までの期間が短いものも存在しますが、基本的には南に位置する都道府県からと考えて間違いがありません。

■最も早い沖縄で6月上旬には収穫
日本で最も早くお米が収穫されるのは沖縄県石垣島です。特に石垣島で生産される「ちゅらひかり」という銘柄は、「日本一早い新米」というキャッチコピーでも知られています。
この「ちゅらひかり」ではありませんが、同じく石垣島で「ミルキーサマー」という品種のお米が、2025年も6月8日におよそ1トン分ほど収穫されたことが報じられています。
参考:Yahoo!ニュース「沖縄で”最速収穫”」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a7d791ed1abbb083f8c38e2889afd8374f9aa4b2?page=1
■主要な産地では9月中旬~10月上旬に収穫
お米の産地と言えばやはり「新潟県」を連想するでしょうか?実際に新潟県は都道府県別のお米の生産量1位の県です。以降、2位:北海道、3位:秋田県、4位:山形県、5位:宮城県と続いていき、上位10県で全国の生産量の50%以上を占めています。
これらお米の主要産地は主に東北・北陸地方に位置しており、収穫時期の目安は9月中旬~10月上旬となります。特に有名な「魚沼産コシヒカリ」は早くて9月上旬、収穫のピークは9月下旬となっています。

収穫からどれくらいで店頭に並ぶ?
ご存知の通りお米は収穫してもすぐに食べることはできません。真っ先に思いつくのは「精米」の工程ですが、それ以外にもさまざまな工程を通し販売されることになります。それでは収穫されたお米がお店で販売されるまで、どのくらいの時間を要するのでしょう?
■収穫後必要となる工程
お米を田んぼから収穫した後、食べられる状態になるまでには大まかに「乾燥」「脱穀」「籾摺り」「精米」の4工程が必要です。
・乾燥:収穫したお米から水分を取り除く作業です。品質を保った長期保存を可能にします。
・脱穀:稲の穂先から、可食部であるお米(籾)を取り分ける作業です。
・籾摺り:籾から籾殻を取り除き玄米にする作業です。
・精米:玄米から米ぬかを取り除き、白米にする作業です。この状態が「よく目にするお米」です。
しかし上記は最低限の工程だと考えてください。お店に並ぶとなると、これに加え当然「検査」や「包装」、「輸送」などの時間が加わることになります。
この他にも価格の決定やJANコード(バーコード)の登録申請など、実際販売されるまでに必要となる作業はいくつも考えられます。

■時代とともに高速化
実は筆者も兼業農家の息子で、毎年田植え、稲刈り、稲こきの際には、必ず駆り出されていました。
なんならコンバイン(稲刈りをする車)も運転していましたが、その経験から言うと、収穫してから実際に口にするまで「1ヵ月~1ヵ月半程度」かかっていました。
この中で一番時間を多く取られたのが「お米の乾燥」です。「はざかけ(天日干し)」という昔ながらの方法を使い、2週間前後乾燥させていました。
しかし現在商業用のお米は、ほぼ100%が機械乾燥のため半日あれば乾燥工程が終わってしまうそうです。
このような技術進歩により、多くの工程で収穫後必要となる時間が大幅短縮されています。乾燥の例で言えばただ早いと言うだけでなく天候に左右されず品質が安定するというメリットもあります。

■店頭に並ぶまでの期間は?
収穫されたお米がお店に並ぶまでに実際にかかる期間は、収穫後早ければ2~3週間、平均的には1ヵ月前後です。
これは、品種や流通経路にもよりますので平均的な時間として考えていただければと思います。また収穫された全てのお米が新米として販売されるわけではないこともあり、あくまで収穫後にすぐに出荷されるものについてのみとなります。
また店頭(お店)の種類もさまざまあり、スーパーなどの量販店より「直売所」の方が販売が早い傾向にあります。
参考:JA北びわこ「稲刈りからお米が店頭に並ぶまで」
https://www.jakitabiwako.jp/news_yumemaru/yumemaru-1895/
具体的なお米の販売開始時期
例年の実績から、地域ごとの販売開始時期を見て行きたいと思います。
品種により販売時期が異なるため、ひとつの目安として参考にしていただければと思います。
品種による違いの例を挙げると、日本で最も多く栽培されるお米はコシヒカリで全体の33%を占めています。一方で「こしいぶき」や「ふさおとめ」などの品種に代表される早生米(わせまい)は収穫量こそ少ないものの、コシヒカリよりも10日~最長1ヵ月程度早く収穫されています。
以下の販売開始時期には、この「早生米も含まれている」と考えてください。逆に早生米はそれだけ早く購入できる可能性があるという事になります。
【地域ごとの新米の販売開始時期】
・沖縄:6月下旬から(最速をイメージさせるため特に早い?)
・九州:7月下旬~8月上旬
・近畿、中国、四国:8月下旬から
・関東、東海:8月下旬~9月中旬
・北陸、東北:9月中旬~10月上旬
・北海道:10月頃から
新米をいち早く購入する方法
少しでも早く新米をゲットしたいという方に!店頭販売されるより早くお米を購入できる可能性がある方法をご紹介します。
■ネットショップを利用する
新米をなるべく早く購入する方法は、間違いなく「ネットショップを利用すること」です。
Amazonや楽天市場のような大手ECショップでもお米が多く取扱われています。
前述の通り、お米は暖かい地方ほど早く収穫され販売される傾向にあります。お住まいの地域での流通はまだでも、より南の地域ではすでに販売さている可能性があります。
販売自体は開始していなくても「予約販売」を行っていることもあるため、興味がある方は一度チェックしてみましょう。
※一例として、この記事を書いている令和7年6月20日現在、Amazonで令和7年産の「ゆめぴりか(北海道)」が10月27日配送予定で既に販売されています。
■農家さんから直接購入する(SNSの利用)
実はSNS上で個人農家さんや小規模農園が直接お米の販売を行っている例は少なくありません。
InstagramやX(旧twitter)、facebookなどが主流となりますが、各SNSの「ダイレクトメール(DM)」の機能を使って、希望者とやり取りを行うスタイルが広まっています。
「欲しい方はDMください」などと農家さんからコメントしているケースがほとんどですので、気になるお米があればこまめにチェックしてみましょう。
