雨季・梅雨の病害対策!どうして野菜・果物は病気になるの?

雨季・梅雨の病害対策!どうして野菜・果物は病気になるの?

雨季・梅雨の病害対策!どうして野菜・果物は病気になるの?

雨が続くと陰鬱な気分になる、という人が少なくないのではないでしょうか?かく言う私もその一人なのですが、気分の問題だけでなく人体そのものに太陽光というのは非常に重要な存在です。一例ではDNA細胞の損傷を修復する「光回復」などがあげられると思います。
ですが、光合成により栄養や免疫機能をつくる植物にとって、人間とは比較にならないほど梅雨は厄介な季節です。雨が続くことにより太陽光を遮られるだけでなく湿度が大きくあがり、カビの寄生・繁殖をはじめ、さまざまな病害が発生しやすくなるためです。
本記事では、梅雨をはじめとする雨季に作物に起こる病害の種類や原因、その対策について取り上げ行きたいと思います。

植物も梅雨は憂鬱な季節??

梅雨の季節はなぜ病害が発生しやすいのか?

なぜ梅雨の季節は植物の病害が多くなるのでしょうか?梅雨がもたらす環境の変化には大きく次の三点があげられます。

■雨の日が続き、光合成が妨げられる。

当たり前のことのように感じるかも知れませんが、梅雨の最大の特徴は雨が続くことです。
雨が続くということは必然的に空は雨雲で覆われ太陽光が遮られます。現代では太陽光以外の光でも植物が光合成を行うことが分かっていますが、ほとんどの植物は太陽光を主とし光合成を行っています。
光合成は植物の成長のための栄養を(デンプンなどの有機物)をつくることが広く知られていますが、
光合成により作れらる「糖」は植物の病害への抵抗を高める機能があります。そのため、太陽光を長時間遮られることは、植物の免疫力を低下させることにつながってしまうのです。

■湿気が多くなり、細菌が繁殖しやすくなる。

雨が長く降ることで普段より湿度の高い状態が続くことも植物の病害が発生しやすい理由のひとつです。病害の原因となるカビや細菌の多くは湿気を好みます。梅雨の時期は必然的に湿気が多くなるため、病害の原因となる菌が非常に繁殖しやすくなるのです。
また、高い湿度は空気中だけでなく土壌にも大きな影響をもたらします。雨水により過湿状態となった土は、植物の根の「呼吸」を妨げてしまいます。植物に水をあげすぎると逆に枯れてしまうことがありますが、土にある程度空気のすき間(間隙)がないと、植物は窒息してしまうのです。

カビや細菌は湿気を好むため、梅雨の時期は一気に繁殖

■雨水が病原菌を運ぶ媒介となる。

雨が降ると必然、作物に雨水が付着し、地面に水たまりができます。この雨水を媒介とし、裂傷などから病原菌が植物中へと入ることが多々あります。例えば葉に溜まった水滴で葉がしなり下の葉へ雨水のリレーを行っていく、はねられた泥水にカビの胞子が含まれ植物にかかってしまう、こういった経緯で二次感染が起こることは決して少なくありません。水は非常に柔軟な媒介であると同時に、その中にさまざまな物質を含むことができます。悪天候のため蒸発せず農園に溜まる水は菌に限定せず多くのものを運ぶ媒介の役割を果たすのです。
この雨水の存在が梅雨の時期に病害が発生しやすい理由のひとつとなっています。

梅雨の季節に発生しやすい病害

梅雨の時期に発生しやすい病害をいくつか紹介したいと思います。梅雨は低温で湿気の多い時期です。低温多湿で繁殖する最近と言えば、やはり「カビ」です。以下4例は、いずれもカビ(糸状菌)が引き起こす病害です。

■うどん粉病

葉や茎に、白い「うどん粉をまぶしたような斑点が現れる」病害です。この白いうどん粉のようなカビは植物に寄生することで栄養を吸収し繁殖して行きます。寄生された葉や茎は次第に変色していき、最終的には枯れてしまいます。
うどん粉病の対策には、斑点の現れた葉を切り取り燃やす、農薬を使用するなどがありますが、一番の予防方法は作物の通気性を確保することとされています。

うどん粉病にかかったキュウリの葉

■灰色カビ病

植物の花弁やつぼみに、カビが寄生し灰色のシミのような模様をつくる病害です。カビであるため胞子をとばし繁殖して行きます。灰色カビ病が現れた場合は、感染部分を切り取り胞子が飛ばないようにビニール袋に密閉するなどして処分してください。
4~11月に主に発生する病害ですが、特に湿気の多くなる梅雨の時期に多く見られます。灰色カビ病の対策にも換気をよくすることが非常に重要となってきます。

灰色のシミのような病斑が現れ、葉が枯死してしまう

■炭疽病(たんそびょう)

葉や茎、実など植物のいたる部分に黒い病斑が発生する病害です。「疽」とは悪性の腫物をあらわす言葉で、炭疽病の病斑があらわれた先の部分は枯死してしまいます。うどん粉病や灰色カビ病同様に、カビが主因となる病害で、発見次第発症部を切り取り処分してしまうことが必要です。
感染ルートとして雨水による二次感染も多くみられ、やはり梅雨の時期に大きな繁殖をみせます。

泥はね、雨水を媒介に二次感染を引き起こす

■葉枯病

葉枯病は、茶色・赤褐色の斑点が植物にあらわれる病害です。やはりカビの一種で、その名の通り感染した葉を枯らしながら繁殖して行きますが、葉だけではなく花やつぼみにも発生します。ブドウやブルーベリーといった果樹の他、ユリや稲など平行脈をもつ植物に多く見られるのも特徴の一つで、収穫量を大きく減らしてしまいます。

ブドウの葉に赤褐色の病斑。ブドウは雨・湿気に弱い果樹の代表

上記の全ての病害について共通して言えることは「湿気を好み繁殖する」という点です。胞子を飛ばし繁殖する点はコケやシダ植物に近いとも言えます。処分する際は、必ず胞子による他の葉や植物に二次感染がおこらないよう、密閉・もしくは圃場から離れて処分を行いましょう。

雨季の病害の対策は?

梅雨をはじめとする雨季の病害の予防に非常に重要になってくるのが「換気」と「雨よけ」です。
これは「梅雨の季節はなぜ病害がおおいのか?」の要因として記載した「湿気が多い」「雨が病原菌を運ぶ媒介となる」への対策そのものと言えます。
正直、雨雲を吹っ飛ばせるのが一番良いのですが現在では技術力が及びませんので、人事を尽くして天候を待ちましょう!

■対策①:雨除け(トンネルメッシュ)

雨の日は人間も傘を差しますが、作物にも直接雨が当たらないよう、雨よけを施すことが大切です。
特にブドウやブルーベリーなどは雨に弱い果樹として知られており、雨よけが非常に重要になってきます。これらの果樹が雨を多くうけると、病害のリスクだけでなく、実が割れてしまう「裂果」が起こることもあります。

雨除けには、作物の上部にアーチ状の屋根を作る「トンネルメッシュ」が非常に有効です。トンネルメッシュは、ブドウやブルーベリーなどの果樹だけでなく、トマト、アスパラといった野菜の栽培にもオススメです。

トンネルメッシュ:ブドウ棚をアーチ状のビニール屋根が覆い雨を防ぐ
並列させれば農場一帯に簡易的な屋根を作ることも!

ブドウの雨対策、高温障害対策!果樹棚にはトンネルメッシュ!
https://tokyotobari.co.jp/tobari-net/2025/02/12/post-1014/

■対策②:通気性の確保(支柱ネット)

病害の原因となるカビなどの細菌が湿気を好むため、通気性の確保(換気)も非常に重要です。
作物の通気性を確保するためには、不要な枝や葉を剪定しながら、作物を「誘引」し、育てることが必要です。
誘引とは、作物を支柱や網、棚などにテープや紐などで括り付けることで形を整え、成長していく方向を誘導することを言います。
自然の成長に任せずに、意図的に通気性のよい樹形に作物を誘導していきましょう。葉が密集しないよう配置していくことは通気性を確保するだけでなく、植物の採光を高め光合成を促し、成長を促進することにもつながります。

作物を誘引するためには、多くの場合で誘引用のネットを使います。このネットは「支柱ネット」「園芸用ネット」「誘引ネット」「きゅうりネット」など、さまざまな呼び方をされています。
「きゅうりネット」ってきゅうりにしか使えないの?と思われた方は以下の記事を参考にしていただければと思います。

【ナス・トマト栽培】園芸用ネットは本当に全部きゅうりネットでいいのか?
https://tokyotobari.co.jp/tobari-net/2025/03/21/post-1669/

張られたネットで誘引され成長するきゅうり。通気性・採光性ともに抜群!
フラワーネット:水平に張るタイプの支柱ネット。作物を整列させ均等な密度を保つ

■対策③:土壌の水分調整

梅雨など雨が多く降り多湿となる時期は、土壌の水分量が過剰になり、根が呼吸をできずに窒息してしまうケースがあります。
そのため土の換気は、雨季の大きな課題のひとつです。基本的な対策としては、水は高いところから低い所へ流れるという性質を利用し、畝を高く作り、雨水で土が流出しないよう「マルチシート」を張り畝全体を覆う方法があります。

高く盛った畝にマルチシート。フィルムが雨をはじく上に、余剰水分は低い方へと流れていく。

雨季の雨除けや病害対策をご検討されている方は、是非下記の問い合わせ先より、最寄りの営業所へご連絡ください。

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トンネルメッシュ

ブドウやイチジク栽培の雨除けに!設置もしやすく病害の予防に最適です。

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つるものの栽培、特にきゅうり栽培に特化したネットです。作物の誘引を助け、通風・採光性に優れます。

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