牛舎をサシバエから守る!サシバエ対策にはサシバエネットと送風機
農業被害の大きい害虫と言えばアブラムシやハダニなどがあげられますが、畜産においては「サシバエ(刺蝿)」も非常に厄介な害虫のひとつです。
サシバエは、牛や馬などの家畜の血を吸う「吸血昆虫」であり、その攻撃対象には人間も含まれるため他の害虫と比較しても非常にストレスのかかる虫だと言えると思います。
本記事ではサシバエの特徴や発生時期、対策方法などを紹介して行きたいと思います。

サシバエとは?
■サシバエの特徴
サシバエは、体長5mm前後の「吸血性」のハエです。メスはオスに比べやや大型で最大で8mm程度の大きさがあります。身体の最大の特徴は口器にあり、動物に突き刺し血液を吸うための「針」のようになっており、主に牛や馬、加えて人間や鶏にも襲い掛かります。
日本全国に分布しており、北海道から沖縄までと生息範囲は広く、最長で4km程度移動が可能とされています。
■サシバエの発生時期
主に春から秋にかけて発生し、気温の上昇してくる5月頃から活動が活発となり、10月初旬程度まで発生します。特に高温多湿となる7月~9月は爆発的に増え、気温の低下とともに徐々に見られなくなっていきます。特に気温が15度以下になると一気に繁殖活動もおさまり、冬は冬眠、または死滅している場合がほとんどです。
■サシバエの早すぎる繁殖サイクル
高温多湿のもとで爆発的に繁殖すると書きましたが、条件が整うとサシバエはものすごい速度で繁殖を行います。成長速度は気温に左右され、最速となる25~30℃帯では卵は1日で孵化し、7~10日あれば成虫となってしまいます。
わずか1ヵ月の間に3世代が成虫となり活動をする計算になります。
サシバエはなぜ牛舎や馬小屋を狙うのか?
サシバエは多くの場合、竹藪の他、「牛舎」や「馬小屋」に生息しています。なぜサシバエがこれらの場所を生息場所として選ぶのでしょうか?
■哺乳類からの吸血が食事
サシバエは牛や馬など哺乳類から血を吸う吸血昆虫です。その攻撃対象には人間も含まれます。
血を吸うと言えば、真っ先に「蚊」が思い出されると思いますが、「蚊はメスしか血を吸わない」ことで知られています。これは「蚊の吸血目的が産卵」であり、産卵に必要な栄養を血液から摂取しているためです。蚊のオスは花の蜜などを養分と生息しています。
対して、サシバエにとっての吸血行動は食事そのものです。哺乳類の血液を食物としているため、蚊とは異なり、オスもメスも血を吸います。

■家畜の糞中に産卵する
サシバエは獣糞中に産卵を行いますが、特に飼料などで湿った場所を好みます。そのため牛床や堆肥がサシバエの産卵環境に非常に適しているのです。サシバエは普段より哺乳類の血液という栄養の高い食事を行っていることもあり繁殖力が高く、一度の産卵で100~200もの卵を産み、爆発的に増えます。
「食事」と「産卵」の二つの条件が整っている牛舎や馬小屋は、サシバエにとって非常に都合のいい生息環境となってしまうのです。
サシバエに毒はある?
■サシバエ自体に毒性はない
サシバエ自体に毒性はなく、人間の健康に大きな影響を及ぼすことは無いようです。ただ、刺された部分はかゆみや痛みが強く、強い腫れや皮膚炎を引き起こすことがあります。
【参考】Picture Insect:サシバエ(刺蠅)の特性
https://pictureinsect.com/ja/wiki/Stomoxys_calcitrans.html
■さまざまな病気を媒介する
これはサシバエに限りませんが、ハエは多くの感染症を媒介する生物です。やはりサシバエも例外ではありません。代表される感染症として、牛白血病やサルモネラ症、黄色ブドウ球菌などを媒介するとされています。東京農業大学WEBサイトによると国内での大きな被害報告はまだないそうですが、文献では多くの恐ろしい病害を引き起こしたことが記録されています。
またサシバエをつかまえて、サシバエの吸血した血液を分析したところ、一匹のサシバエが複数の動物(ブタや羊、ヤギなど)から血を吸っていることが分かりました。これは多種間で病原体を伝染させている可能性を示唆しています。
【参考】東京農業大学:家畜を吸血し、病気を媒介するサシバエの考察
https://www.nodai.ac.jp/research/graduate/0013/
サシバエによる家畜への被害
■病害だけでなく、家畜へストレスを与える
サシバエが感染症の媒介となるリスクはありますが国内でまだ大きな事例はなく、最も顕在化している被害は「家畜へのストレス」です。
牛、馬のいずれも不快そうに尻尾を振り回し、ハエを追い払う動作が見られます。ハエを避けるよう畜舎の隅に固まることも多く、十分な睡眠が得られず成長の阻害へと繋がってしまいます。
ストレスによる家畜への影響は非常に大きく、乳牛であれば最大で20%程度も乳量が減少することが確認されています。また馬では騎乗中に過敏になり暴れだすなどの行動もみられます。

サシバエへの対策
サシバエへの対策は大きく「産卵させない」「畜舎へいれない」「成虫になる前に駆除する」の3つに分かれます。いずれにおいてもサシバエの生息しやすい環境をつくらないことが重要です。
■1.産卵させない
まずは発生させない、卵を畜舎やその周辺に産ませないことが重要です。サシバエは獣糞や湿地、泥、汚水だまりなどを好み産卵を行います。畜舎の取糞や換気、乾燥を行いましょう。
ハエは乾燥に弱く、湿度50%以下になると卵の孵化率が半減するとも言われています。
■2.畜舎へいれない
サシバエを畜舎へ入れないための基本的な方法は「防虫ネット」の設置です。特にサシバエを対象とする専用防虫ネットは「サシバエネット」と呼ばれています。防虫ネットを選ぶ際は、必ずネットの目合いが2mmかそれ以下のものを選びましょう。特に4mm以上の目合いだと、サシバエはすり抜けてきます。
また「畜舎送風機」の設置も効果的です。ハエは飛翔力が低く、気流に弱いという弱点があります。一定の送風がなされている環境では、ハエは家畜に近寄ることが難しく、結果として発生量が減少することが確認されています。あわせて畜舎内の湿度の上昇を防ぐことにもつながり一石二鳥と言えます。

■3.成虫となる前に駆除を行う
成虫となる前に駆除を行うことも非常に重要で、サシバエの成虫は最大4kmもの広い範囲を移動するこします。行動範囲の狭い卵・幼虫・蛹の内に駆除してしまうことが効果的です。
80%のハエは卵や幼虫・蛹の状態で存在しているとされ、当然成虫になると卵を産み更に個体数が増えるリスクもあります。
駆除の具体的な方法として有効なのはやはり「殺虫剤」です。成虫は幼虫の時と比較し殺虫剤が効きにくくなるため「飛び始める前の対策」を心がけましょう。
サシバエ対策は東京戸張へご相談ください
東京戸張では、サシバエの対策となる「サシバエネット(防虫ネット)」や「畜舎送風機」「循環扇」などの取り扱いを行っています。またサシバエ対策に限らず、飼養衛生管理基準に基づいた防鳥ネットなど、畜舎を外敵から守る多くの資材の販売を行っております。
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