クビアカツヤカミキリ対策│桃・梅・桜を特定外来生物から守れ!

クビアカツヤカミキリ対策│桃・梅・桜を特定外来生物から守れ!

クビアカツヤカミキリ対策│桃・梅・桜を特定外来生物から守れ!

近年、日本各地で深刻な被害をもたらしている「クビアカツヤカミキリ」という昆虫をご存じでしょうか?サクラやウメなどのバラ科の木を好んで加害し、美しい街路樹や果樹園に大きな損失を与えている昆虫です。
この記事ではクビアカツヤカミキリについて、その特徴や見つけ方、被害の実態、そして防除方法について詳しく解説します。

クビアカツヤカミキリとは

■クビアカツヤカミキリの特徴

名前の通り首(に見える前胸部という部分)が赤く、その他の部分は黒い、ツヤのあるカミキリムシです。 本来は中国、モンゴル、朝鮮半島、台湾、ベトナムに自然分布していますが、2012年から日本でも発見されています。現在は「特定外来生物」に指定され、農林水産省や環境省からも警戒が呼びかけられています。

■どんな樹に被害が出るの?

クビアカツヤカミキリは主にバラ科の樹木に被害を与えます。特に好むのは以下の樹です。
・サクラ
・ウメ
・モモ
・スモモ

クビアカツヤカミキリはバラ科の植物の樹の内部で2~3年の幼虫時期を過ごし、成虫となり2週間ほどで寿命を迎えます。この幼虫時期に内部から樹を食い荒らし、枯らせてしまうこともあります。

日本では2012年に愛知県で最初の被害が確認されて以来、2025年2月までの間に以下の15都府県で発生が確認されています。

◆関東地方
栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県
◆中部・近畿地方
愛知県、三重県、では大阪府、京都府、奈良県、和歌山県、兵庫県
◆四国地方
徳島県

画像提供:埼玉県環境科学国際センター
https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka_freeimage.html

参考:農林水産省「クビアカツヤカミキリに関する情報」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/k_kokunai/kubiaka/kubiaka.html

こんな場所は特に注意!

近年、東京戸張にもクビアカツヤカミキリ対策でのお問い合わせが増えています。
お問い合わせいただく場所の条件で多いのが、「土が多く」「サクラの樹が多い」場所です。
同じようにサクラがあっても、土がアスファルトに覆われた都心より、自然や土が豊かな土地を好むようです。
また、全国的にはサクラの被害本数が最も多いですが、クビアカツヤカミキリが最も好むのはモモの樹とも言われています。

【注意が必要な場所】
・サクラ、モモ、ウメの樹が多い
・土の面積が多い(舗装されていない)

守りたい、桜並木!

また、国立環境研究所のデータベースで日本における分布状況が示されています。
(リンクに発生地区を示した地図があります。)
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/image/map/60560d.jpg

クビアカツヤカミキリの発生状況

クビアカツヤカミキリが発生している自治体では対策や分布をホームページで示しています。お住いの自治体でクビアカツヤカミキリが発生していないか?状況を確認してみましょう。
クビアカツヤカミキリの発生は日本全国で見ると15都府県と、全国的にはまだ発生していない道府県の方が多い段階です。ただし、発生してからは駆除までの労力が大きいため、未然に防げるよう注意しておくことが重要です。
以下の地域は一例ですが、クビアカツヤカミキリの発生により、地域に親しまれた桜の樹が枯れてしまうなど、悲しい事象が起こっています。

写真中央、クビアカツヤカミキリによって枯れたサクラ
提供:埼玉県環境科学国際センター

■東京都

2015年から2023年にかけて、福生市、あきるの市、羽村市、昭島市、八王子市、足立区、江東区、日の出町、台東区、墨田区で発見され、4区5市1町で被害が発生しています。

参考:東京都環境局「クビアカツヤカミキリの被害が発生・拡大しています!」
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/400100a20191204115758336

■群馬県

2017年から2023年にかけて、前橋市、高崎市、桐生市、伊勢崎市を始めとした24の市町村において10,508本の樹で被害が確認されています。

参考:群馬県「特定外来生物クビアカツヤカミキリに注意してください」
https://www.pref.gunma.jp/page/7132.html

■埼玉県

2024年の調査で、熊谷市、行田市、加須市、羽生市をはじめとした44市町村での931か所から被害が確認されました。

参考:埼玉県環境科学国際センター「サクラの外来害虫“クビアカツヤカミキリ”情報」
https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka.html

■栃木県

2023年までに、宇都宮市、足利市、栃木市をはじめとした12の市町で被害が確認されたほか、2024年には芳賀町、益子町でも新たに被害が確認されました。

参考:栃木県「クビアカツヤカミキリにご注意ください」
https://www.pref.tochigi.lg.jp/d04/seibututayousei/kubiakatuyakamikiri.html

■兵庫県

2022~2024年で明石市、芦屋市、神戸市、西宮市、三田市で344本の樹で被害が確認されています。

参考:ひょうごの環境
https://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/jp/environment/leg_240/leg_290/22313

■京都府

2024年7月~2025年5月の間で京都市、福知山市、向日市で56本の樹で被害が確認されています。

参考:京都府 特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」について
https://www.pref.kyoto.jp/gairai/kubiakatsuyakamikiri.html

■大阪府

2024年までに29市町村で発生が確認され、2023~2024年までの間にも分布が拡大しました。

参考:大阪府「特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」警戒中!!」
https://www.pref.osaka.lg.jp/o120030/midori/seibututayousei/kubiaka.html

クビアカツヤカミキリを見つけたら?

クビアカツヤカミキリを見つけたら「逃がさない」で、「その場で捕殺」してください。 特定外来生物であるクビアカツヤカミキリは生きたまま持ち帰ることは法律で禁止されています。飼育や販売も違法であり、違反した場合は罰則が設けられています。

◆ 見つけ方のポイント

クビアカツヤカミキリの被害は、成虫よりも幼虫による内部の食害が深刻です。以下のような兆候が見られたら、被害の可能性があります。
・木の根元や幹の割れ目から「フラス」と呼ばれる木くずのようなものが出ている
・成虫の姿(特に6月〜8月)にクビアカの特徴があるか見る
・樹皮がめくれていたり、弱ってきている樹がないかチェック

あまりおられないと思いますが…目が合ってかわいそうに思っても、見た目が格好良くても連れて帰ってはいけません!
幼虫を見つけた場合や成虫を捕殺した場合にも、見つけた場所の市区町村の環境担当窓口に連絡しましょう。

ブローチみたいでも、逃がしちゃダメ!
提供:埼玉県環境科学国際センター

また、自治体によってはクビアカツヤカミキリに懸賞金をかけている所もあります。
1匹あたり50円の地域や、中には1か所1万円の地域まで!ウメなどバラ科の樹が主要な農業となっている地域では特に深刻な問題とされ、高額な懸賞金を出すに至っています。
お住いの自治体も、クビアカツヤカミキリの対策を行っているか確認してみましょう!

クビアカツヤカミキリの対策

クビアカツヤカミキリの駆除、防除のための対策には以下のようなものがあります。

①成虫を見つけたら

すぐに捕殺し、自治体に通報する。
クビアカツヤカミキリは名前の通りの特徴的な見た目をしています。
形はその他のカミキリムシと大差ありませんが、特徴的な赤い首、クビアカ!と覚えてきましょう。

クビアカ!
提供:埼玉県環境科学国際センター

②卵を見つけたら

卵を潰して駆除し、自治体に通報する。
卵は成虫に比べて目立ちません。樹のウロや皮が厚く捲れている所など、卵が収まりやすい場所に産み付けられている傾向があります。
また、栃木県農業試験場の研究では卵は紫外線を受けると青白く蛍光を発することが分かっており、日陰や夜間にブラックライトを当てることで発光した卵を見つけやすくなります。

クビアカの卵!
提供:埼玉県環境科学国際センター

参考:栃木県農業試験場  研究成果集第42号
https://www.agrinet.pref.tochigi.lg.jp/nousi/seikasyu/seika42/seika_ken5_blacklight.pdf

③樹に成虫の脱出孔、フラスを見つけたら

自治体に通報する。
クビアカツヤカミキリは幼虫期を木の中で過ごす際に樹を食い荒らします。この際に出る木くずと虫糞が樹の外に押し出されたものが「フラス」と呼ばれます。この「フラス」が出ている気が、クビアカツヤカミキリに食害されている樹の目印になります。

提供:埼玉県環境科学国際センター

また、見つけづらいですが樹に空いた成虫の脱出孔も目印になります。樹の中で成長したクビアカツヤカミキリが脱出した孔で、フラスが残っている場合もあります。

提供:埼玉県環境科学国際センター

④成虫が樹により付かない、卵を産まないように樹を守る。

クビアカツヤカミキリの対策は、薬剤の散布と物理的な防除です。薬剤散布は主に幼虫に対して有効で、フラスが出ている孔から薬剤を注入して幼虫を殺すことができます。ただし、幼虫の生育度合いによって樹の奥に行っている場合は薬剤が届かず駆除が難しい場合があります。
一方、物理的な防除はネットで樹を覆う方法です。
一つは、樹にクビアカツヤカミキリの卵を産み付けられないように防虫ネットを巻いておくことです。地面から高さ2m程度を目安として、樹に虫が近づけないよう空間を空けて巻きつけることがポイントです。

提供:埼玉県環境科学国際センター

もう一つは、既に入り込んでしまった幼虫の駆除が難しい場合、成虫となって飛散するのを防ぐためにネットで樹を覆う方法です。成虫が樹から脱出するのが5月~8月といわれ、その期間に脱出した成虫を捕殺し、期間後はネットを取り外し薬剤による駆除を施します。

参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構
https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/5th-chuukiseika12.pdf

どちらの対策も、クビアカツヤカミキリのライフサイクルを意識して行う必要があります。

◆クビアカツヤカミキリのライフサイクル

【1年目】
・6月〜8月頃:卵が産みつけられる。
・9月〜翌年6月頃:孵化した幼虫が木の内部で成長。

【2年目】
・7月〜翌年5月頃:幼虫のままさらに成長し蛹室(ようしつ:蛹になるための部屋)を木の中に作る。

【3年目】
・5月〜6月頃:幼虫が蛹になる(約1か月)。
・6月〜7月頃:蛹が成虫になって木の外に出てくる。

※ポイント
・卵→幼虫→蛹→成虫まで約3年かかる。
・幼虫期間が長く、約2年半~3年近く木の中で過ごす。
・成虫になると外に出て、交尾・産卵し、次世代へ。

景観にも配慮した防除ネット

クビアカツヤカミキリを未然に防ぎたい、でもサクラの景観を守りたいのにネットがぐるぐる巻きなのは嫌だ…という場合もあるのではないでしょうか? そんな時は!東京戸張の「草おさえ」が一役買います。

本来はこのように地面に設置して草をおさえるシートです。これを樹に!

◆草おさえの利点

草おさえはもともと、「草を枯らさずに抑える」ことに特化した「高強度」で「透水性が高いネット」です。目合いが1mmと細かいのでクビアカツヤカミキリの侵入を防げるほか、水を良く通すため蒸れる心配が少ないです。

草はしっかりおさえつつ、水や空気を通して枯らせない。
中央にいるのが1cmちょっと位のクモ。細かくて潜れません!

東京戸張の草おさえは「幅8種類」「長さ2種類」 の豊富なラインナップがあり、場所に応じてサイズ選びが可能です。

■ 最後に

クビアカツヤカミキリは、一見すると美しい昆虫ですが、日本の自然や農業に甚大な被害を与える危険な存在です。特に春から夏にかけて活動が活発になるため、今こそ注意が必要です。
自宅の庭や近所の街路樹で気になる兆候を見つけたら、早めの対処と情報共有を心がけましょう。
未来の春の風景を守るために、私たち一人ひとりの行動が大切です。

画像提供元:埼玉県環境科学国際センター
https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka_freeimage.html

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