日本人の56%が花粉症?スギ花粉はどこから来る?
2026年、特に北日本、東日本では過去10年の平均を大きく上回る花粉が飛散していることが報じられています。実は昨年2025年は比較的花粉の飛散量は少なく「今年は特に多く感じる」「今年から発症した」という声も少なくありません。
山間部であればともかく都市部でも多くの花粉症患者がおり、その7割以上が「重症」とされています。
国民病、社会問題とさまざまな呼ばれ方をする花粉症ですが、特に日本人を悩ませるスギ花粉はどこから飛来しているのでしょう?
また花粉症で注意すべき点や、今後の見込についてまとめました。
参考:ウェザーニュース『実は花粉症患者の7割以上が「重症」以上?』
https://weathernews.jp/news/202603/090086/

日本は世界で最も花粉症の多い国
残念ながら、本当に残念ながら日本は世界で最も花粉症の人の割合が多い国です。
2026年の調査では、日本人の約56%が花粉症の可能性があるという結果が出ており、2人に1人以上が症状を経験しているという恐ろしい計算になります。
ここまで花粉症が広がっている国は珍しく、日本特有の社会問題となっています。
日本の花粉症が海外と大きく異なる点は「花粉の種類」です。
日本と同じく花粉症大国であるアメリカでは主にブタクサ、その他の地域で多いものはイネ科の植物より発生する花粉ですが、日本で圧倒的に多いのは春に大量の花粉を放出する「スギ花粉」です。
スギ花粉の多くは山のスギ林から
日本の森林の約7割は山地にあり、その中でも非常に多いのが「スギ」です。
特に戦後に植えられた人工林のほとんどがスギであり、大きな割合を占めています。スギは春になると雄花から大量の花粉を放出します。広い面積のスギ林がある地域では花粉の発生量も自然と多くなります。ちなみに筆者の地元でも、春になると山の端が黄色く見えるほどのスギ花粉が飛散しています…
都市部の公園や街路樹にもスギはあります。しかしその数は山林と比べるとごくわずかです。
実際に国民の半数以上を悩ませるスギ花粉の多くは、山から放出されたものと考えられています。たとえそれが都市部であっても、花粉の発生源は遠くの山にあることがほとんどです。

なぜ日本にはスギが多いのか
日本にスギが多い理由には、戦後の森林政策が関係しています。
前後、建築資材として木材の需要が急増しました。真っ直ぐ縦に伸びるスギやヒノキは加工が簡単なこともあり、全国の山に大量に植えられました。
特に「スギ」は成長が早いことが特徴のひとつであるため、資材不足の対策として重視されたのです。
このようなスギ・ヒノキ林は「人工林」と呼ばれる、人の手で計画的に植えられた森林です。当時は木材生産が主目的でしたが、その後輸入材が増えたことで伐採が進まず、スギ林が広い面積で残ることになりました。
その結果、春になると大量の花粉が放出される環境が生まれ、花粉症の原因の一つになったと考えられています。

花粉は100km以上飛ぶことも
スギ花粉はとにかく長い距離を飛びます。その距離は100kmを超えることもあります。
スギ花粉の大きさは非常に小さく、およそ「30マイクロメートル」ほどだそうです。これは1mmの1/3ほどの大きさで、肉眼ではほとんど見えない小さな粒です。
この花粉は風に乗って運ばれる「風媒花」という仕組みを持っており、遠くまで移動することができます。気象条件によっては数十キロ以上、場合によっては100km以上離れた場所まで飛ぶこともあります。
100kmというと、東京から栃木県宇都宮市ほどの距離…
このため、近くにスギ林がない都市でも花粉症の症状が出ることは少なくありません。春の花粉症は遠くの森林とも深く関係していたのです。
花粉は雨でも飛ぶ?
一般的に、雨の日は花粉の飛散量が少なくなります。
雨粒が空気中の花粉を地面に落とすためです。雨上がりはホコリが雨に落とされ、空気が澄んでいるのと同じです。また、雨に至らなくとも、湿度が高くなると花粉が水分を含んで重くなり、遠くまで飛びにくくなります。そのため、花粉症の人は雨の日のほうが症状が軽く感じられると思います。
しかし真に注意したいのは「雨が止んだ後」です。晴れて気温が上がると、雨により地面に落ちていた花粉が舞い上がり、飛散量が一時的に増えることがあります。
特に雨の翌日が晴天で風の強い日になると、花粉が多く飛ぶことがあるため注意しましょう。
花粉は夜でも飛ぶ?
花粉は昼間に多く飛ぶイメージがありますが、スギ花粉は夜でも飛んでいます。
花粉の放出自体は気温が上がるお昼前後に多くなりますが、昼間に舞い上がった花粉が大気中に残り、風によって夜まで舞い続けるためです。また、夕方から夜にかけて気温が下がると、上空に浮いていた花粉が地表付近に降りてくることがあります。その結果、夜になっても花粉濃度が高い状態が続く場合があります。
特に風の強い日や乾燥した日は、夜でも花粉が飛散しやすい傾向にあります。花粉症の人は、日中だけでなく夜の外出でも対策を心がけましょう。
ちなみにスギ花粉が最も多く飛ぶ時間帯は、一般的に「昼前後と夕方」とされています。

そもそもなぜ花粉なんて飛ばすの!?
スギに限らず花粉を飛ばす理由は、他の植物と同じく、子孫を残すための繁殖行動です。
スギは「風媒花」と呼ばれる植物で、昆虫ではなく、風の力を利用して受粉を行います。
春になると雄花から大量の花粉が放出され、風に乗って遠くまで運ばれます。そして、別のスギの雌花に花粉が付くことで受粉が起こり、やがて種子が作られます。大量の花粉を作る理由は、受粉の成功率を高めるためです。その結果、春には大量の花粉が空気中に広がり、人間にとっては花粉症の原因にもなってしまうのです。
花粉を出さないスギの研究も
近年では花粉症対策として、花粉の少ないスギや花粉をほとんど出さない「無花粉スギ」の研究が進められています。
これらは林業の研究機関などによって育成された品種で、通常のスギに比べて、花粉を生み出す「雄花がほとんどできない」という特徴をもちます。
各地でこうした苗木を植える取り組みも進められており、将来的には花粉の少ない森林に置き換えていくことが期待されています。
とはいっても、森林はすぐに入れ替わるものではありません。スギの成長には数十年の時間がかかるため、花粉をださないスギの育生も、長い時間をかけて進めていく必要があります。
花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)に注意!
花粉症の存在自体は筆者も子供のころから知っていますが、今年ニュースを見ていて初めて知った花粉症に関する話題があります。
それが「花粉・食物アレルギー症候群」です。とてもざっくり説明すると、花粉と野菜の成分には似ているものがあり、特定の野菜を食べた際に、身体に異常がでることがあるというものです。
スギ花粉症の場合、特に知られているのがトマトとの関係です。体がスギ花粉に反応する人は、トマトに含まれる似た構造のたんぱく質にも反応してしまうことがあるそうです。
その結果、トマトを食べたときに口の中のかゆみや、軽いアレルギー症状が出る場合があります。これは、すべての花粉症の人に起こるわけではなく、また加熱したトマトでは症状が出にくいことも知られています。

まとめ|スギ花粉は山の森林から飛んでくる
春に飛び交うスギ花粉の多くは、都市の木ではなく山に広がるスギ林から放出されたものです。
スギ花粉は非常に軽く、風に乗って数十km以上、時には100km離れた場所まで運ばれることがあります。そのため、近くにスギ林がない地域でも花粉症の症状が出ることは多くあります。
日本は世界最大とも言われる花粉症大国であると同時に、他の国とは異なり「スギ花粉」が猛威をふるっています。日本でスギが多い背景には、戦後の建築資材である木材を生産するための「植林政策」があり、その森林が現在も広く残っていることが挙げられます。
近年は無花粉スギなどの研究も進んでいますが、森林そのものを作り替えるためには、まだまだ長い時間が必要となりそうです…
東京戸張株式会社のWEB担当。
兼業農家に生まれ、家庭菜園と米づくりの経験は20年近くとなる。
副業でミミズを育て売るというかなり特殊な父親に育てられた。
土いじりもパソコンいじりも好き。だが、この世界で最も嫌いなものはきゅうり。















