トウモロコシの粒の正体は?実は種ではなく「穎果」という果実

トウモロコシの粒の正体は?実は種ではなく「穎果」という果実

トウモロコシの粒の正体は?実は種ではなく「穎果」という果実

世界三大穀物にも数えられる「トウモロコシ」ですが、皆さんが口にするあの黄色い粒々、植物としては何にあたるのかご存知でしょうか?
見た目から考えると「種」と思う人が多いかもしれません。実際、畑にまけば芽が出ることからも、種であるかのように感じます。
しかし植物学の分類では、トウモロコシの粒は種ではなく「果実」とされています。しかも、この構造はトウモロコシだけでなく、私たちが主食としている穀物にも共通するものです。身近な作物に隠された、意外な植物の構造を紹介したいと思います。

トウモロコシの粒は実?種?

トウモロコシの粒は「果実」

トウモロコシの粒は、一見すると「種」に見えます。
しかし植物学では、この粒は「果実」に分類されています。ところで、そもそも果実とはなんでしょう?果実の定義ですが「花が受粉したあとに子房が発達してできる部分」のことを指します。
トウモロコシの場合、穂に並んでいる一本一本の粒は、もともと雌花だった部分が発達してできたものです。つまり、粒の一つ一つが花から生まれた果実ということになります。
ただし、一般的にイメージされる果物のような果肉はほとんどありません。その代わり、果実の内部にある種子と外側の果皮がほぼ一体化している特殊な構造になっています。
この特殊な果実の構造は「穎果(えいか)」と呼ばれています。

穎果:果肉がほぼなく、皮が種子にぴったりくっついている果実

なぜ果実になる?トウモロコシの花の仕組み

トウモロコシの粒が果実になる理由は、その花の構造にあります。
トウモロコシにも他の植物と同じように雄花と雌花があり、茎の上部にできる穂が雄花、葉の付け根から出る部分が雌花です。
雌花から伸びている細い糸のようなものは「絹糸(けんし)」と呼ばれ、一本一本がそれぞれの粒につながっています。ここに花粉が付くことで受粉が起こり、内部の子房が発達して粒になります。
つまり、トウモロコシの一本の粒は、一つの雌花が受粉してできた果実なのです。トウモロコシの粒が整然と並んでいるのは、雌花が規則的に並んでいた名残といえます。

トウモロコシの花。意外と幾何学的な構造とも言える。

穀物の粒はほとんどが果実

と言ってもトウモロコシだけが特別というわけではありません。
日常的に食べている穀物の多くは、同じ「穎果」という果実の構造をしています。同じく三大穀物である米や小麦なども植物学的にはすべて果実です。
人類が主食とする穀物の粒は、種のようなサイズや形をしているため勘違いされがちですが、植物学的には果実という少し不思議な存在なのです。

米もトウモロコシと同じく穎果と呼ばれる構造

なぜ種だと思ってしまうのか?

トウモロコシなど穀物の粒を多くの人が「種」と思ってしまうのには理由があります。
一つ目の理由は、粒を土にまくと芽が出ることです。果実は種を内包しており果肉が薄いため、実際に種としての役割を果たしてしまうのです。
二つ目の理由はやはり「見た目」です。リンゴや桃のような果物とは違い、果肉の部分がほとんど目立たないため、果実という印象を持ちにくいのも原因です。
見た目と言う意味では、穀物は収穫後に「乾燥した状態で流通する」ことが多く、果物というより「粒」や「種」として認識されやすい面があります。要は果物というにはみずみずしくないのです。
このような理由から、植物学上は果実であっても日常感覚では「種」だと錯覚してしまいがちです。

トウモロコシの不思議な特徴

トウモロコシの粒には少し面白い特徴があります。
一般的なトウモロコシでは一本におよそ500〜800ほどの粒が並んでいますが、粒の列はほとんどの場合「偶数」になり、14列や16列、18列といった形で並ぶことが多いとされています。
これは受粉前の花の地点で、雌花が規則的に並んで咲くためだそうです。

トウモロコシの実は偶数列というトリビア

まとめ|トウモロコシの粒は果実だった

トウモロコシの粒はその見た目から「種」と思われがちですが、植物学では果実に分類されます。
粒は子房が発達してできる部分だからです。ただ、この果実は種子がほぼ一体化しており、「穎果」という特殊な形をしています。この構造はトウモロコシだけでなく、米や小麦など多くの穀物に共通しています。
私たちが日常的に食べている穀物の粒は、実はほとんどが果実です。とは言っても果肉がほぼなく、正直、種子とどれほどの差があるのかと言われるとなんとも言い難いのも、植物の面白いところだと思います。

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