温暖化で作れなくなる作物一覧|主食の米も?2050年の農業予測
地球温暖化、日本の亜熱帯化、異常な暖冬…
夏は年々更新される最高気温が大きなニュースとなり、冬は関東で20℃を超え、5月上旬並となる異常な気温が観測されています。
この温暖化、亜熱帯化に影響を受けるのは人間だけではありません。植物も気温上昇による影響を受け、このまま気温上昇が続けば2050年までに日本で作れなくなる作物が出る可能性も指摘されています。将来私たちの食卓から消えてしまうかもしれない野菜や果物とはいったい何なのでしょうか?
※本記事は研究や公的資料をもとに将来予測をまとめたものであり、作物が必ず栽培不能になることを断定するものではありません。

温暖化で作れなくなる作物は本当にあるのか?
気温が上昇することで作れなくなる作物なんて本当にあるのでしょうか?
極論をいえば、ビニールハウスの中でエアコンにより気温を管理すれば、外気が何度であろうと関係ない気もします。しかし現実にはそうは行かないのです。
■「作れなくなる」の定義
温暖化によって作物が「作れなくなる」とは、野菜や果物が栽培できなくなることそのものではありません。
高温や異常気象の影響で、作物の品質が落ちたり収量が減ったりし、野菜や果物を生産することの採算が合わなくなります。早い話、作ったところで赤字になる可能性が大きくなってしまいます。
その結果、より気候条件の合う地域へ産地が移動し、元の地域では栽培を行う人がいなくなります。
つまり、農業における「作れなくなる」とは「消滅する」のような意味合いではなく、特定地域で徐々に栽培が行われなくなる変化を指しています。
基本的に産地は気温上昇により北上していきますが、この北上が日本列島を出てさらに北へと移ったとき、日本からその作物は消えてしまうことになります。
■すでに起きている日本農業の変化
まだ日本にあると考えると、問題は分かりにくくなってしまいます。
産地が北上している。このことを延長して考えて行くと、いずれ日本の外へ出て行くことが現実味を帯びて考えられると思います。
わかりやすい例として、茨城・宮城県周辺が栽培の北限とされていたサツマイモが2017年には北海道でも生産されるようになりました。

【要注意】2050年に作れなくなる可能性が高い作物
それでは、このまま温暖化が進むと栽培が難しくなってしまう作物について紹介したいと思います。
1.米(高温弱品種)

・気温上昇の影響:白未熟粒の増加、粒割れ、等級落ちが起こりやすくなる
・なぜ起きる?:夜温が高いと光合成によるデンプン形成が乱れるため
・現在の被害:西日本を中心に猛暑年は一等米比率が低下
・将来の予測:主産地が東北、北海道へと北上していく可能性が高い
2.りんご

・気温上昇の影響:色づかない、糖度低下、酸味増加、日持ち低下
・なぜ起きる?:着色に必要な寒暖差が高温化で不足するため
・現在の被害:暖秋の年は主産地(青森県や長野県)でも着色不良が発生
・将来の予測:栽培適地が北海道などさらに寒冷地へ移動
3.レタス

・気温上昇の影響:結球しない、苦味増加、葉焼けなど
・なぜ起きる?:冷涼性作物であり25℃以上で生育が止まってしまう
・現在の被害:猛暑年は高原地帯でも収量減少が報告されている
・将来の予測:露地栽培では高冷地限定になる可能性がある
4.わさび

・気温上昇の影響:色づかない、糖度低下、酸味増加、日持ち低下
・なぜ起きる?:生育適温が低く(12℃~15℃)、水温上昇に極端に弱いため
・現在の被害:清流温度の上昇で産地縮小
・将来の予測:天然沢わさび栽培は大幅減少の可能性が高い
上記にあげた4種以外でも、葉菜類では「ホウレンソウ、ネギ、キャベツ、レタス」、果菜類では「トマト、ナス、キュウリ、ピーマン」、根菜類では「ダイコン、ニンジン、サトイモ」などが、高温・多雨の影響による生育不良が報告されています。
参考:環境省「気候変動影響評価報告書 2025年度版(PDF)」
https://www.env.go.jp/content/000377732.pdf
なぜ温暖化で作物は栽培できなくなるのか?
温暖化で作物が栽培できなくなる理由について、主な3つ要因を挙げたいと思います。
■植物には耐熱限界がある
そもそも植物にはそれぞれに成長に適した温度があります。
適温下でないと植物は発芽することさえままなりません。無事発芽ができたとしても高温下では受粉不良や生育不労がおこってしまい、特に40℃を超えると、熱帯産の植物であっても耐熱限界を迎えるとされています。
■夜の気温上昇が最大の敵
植物は光合成だけでなく、呼吸もしています。呼吸は光合成とは逆にエネルギーを消費するプロセスです。夜の気温が高いと植物の呼吸は活発になり、日中に蓄えた養分をに必要以上に消費してしまいます。
その結果、成長不良や収量減少、品質低下を引き起こし、栽培が困難になっていきます。
■害虫・病気も北上する
気温の上昇にあわせ、害虫や病害も一緒に北上してきます。
虫や菌も生物なので、気温が上昇すると活動は活発になります。中でもカメムシの分布が大きく広がっていることが報じられています。暑すぎると虫も活動をやめるのですが、その暑さには野菜や果物も耐えきれない場合がほとんどです。
育てられなくなる作物を守る方法はある?
2050年に育たなくなる作物があるという話は、あくまで「このままでは」という話になり、実際には既にいくつも対策が講じられています。代表的なものは「品種改良」と「施設栽培」の2つです。
■品種改良
品種改良は、作物そのものを環境に合わせる手法です。単純には暑さに負けない作物をつくる、ということになります。
暑さを克服するために改良された作物の例として、農研機構が開発した水稲「にじのきらめき」が有名です。穂が葉に隠れることで直射日光を避け、猛暑の中でも安定した品質を保つことができます。
■施設栽培
屋内で作物の適温に合わせ、気温管理を行いながら育てていく方法です。
気温を調整するためのコストや栽培面積に課題が残りますが、産地を変えずに環境を整えるという意味では現時点では最も誰もがイメージしやすい方法なのかもしれません。

まとめ
ここまで地球温暖化や日本の亜熱帯化による気温上昇により、日本で育たなくなる可能性のある作物についてまとめてきました。
「作れなくなる」とは突然栽培できなくなることではなく、気候条件の変化によって徐々に品質が劣化し、別の地域へ移動していく過程を指します。特に高温に弱い作物は今後さらに影響を受け、その産地は大きく北上していくことになるでしょう。
一方で、南国フルーツであるマンゴーやパイナップルなど、温暖化によって新たに育てられる作物も増えていく可能性もあります。日本の作物は今まさに転換期にあると言えるではないでしょうか。
最後に繰り返しになりますが、本記事は2026年2月現在での可能性をまとめたものです。今後の環境変化で状況が大きく変わることがあることをご了承ください。
東京戸張株式会社のWEB担当。
兼業農家に生まれ、家庭菜園と米づくりの経験は20年近くとなる。
副業でミミズを育て売るというかなり特殊な父親に育てられた。
土いじりもパソコンいじりも好き。だが、この世界で最も嫌いなものはきゅうり。














