庭のスギナ掘ってみた。垂直60cmもの地下茎を「自分で育てていた」衝撃的事実

庭のスギナ掘ってみた。垂直60cmもの地下茎を「自分で育てていた」衝撃的事実

■最終更新日:2025.12.13

庭のスギナ掘ってみた。垂直60cmもの地下茎を「自分で育てていた」衝撃的事実

冬に入り気温も大きく下がってきました。外にでると多くの雑草は姿を隠しています。
そのしつこさから「地獄草」とも呼ばれるスギナも、さすがにこの寒さの中では元気がないようです。
「今こそスギナ根絶のチャンス!」と思い、根こそぎ抜いてやろうとスギナの根元を掘りはじめました。
スギナの地下茎の深さは通常約20cm程度と言われています。しかし、どれだけ土をかき分け掘り進んでも、スコップを持つ手が止まりません…
実は平均を大きく越えるスギナの成長には、自分自身の行動が強く影響していました。
今回は、撮影した写真とともに、我が家のスギナの地下構造についてリアルにご紹介していきたいと思います。

2本並ぶこのスギナを掘っていく。

2本並ぶスギナの地下茎を掘る

筆者の家の庭で、防草シートと壁面の間に2本並んで顔を出したスギナ。
今回ターゲットにしたのはこのスギナです。この2本のスギナを掘ろうと掘削を開始しました。

地上部の複数のスギナがひとつの地下茎で繋がっている、というのは雑草界隈では有名な話だと思います。隣り合う2本のスギナです。当然一つの茎が別れたのだろうと筆者も考えていましたが、現実は大きく違っていました。
下の写真は、防草シートをはがした瞬間の様子です。何か気付くことはあるでしょうか?
これを見ても筆者は、防草シート下のスギナがどのような構造になっているのか理解することができませんでした…

防草シートをはがした瞬間の写真

表層型|地表を這うように走る地下茎

とりあえず2本のスギナを追いかけるため、それぞれの茎を伸ばそうとした瞬間、違和感に気付きます。
1本のスギナは素直に伸びてくれましたが、もう1本のスギナは、今めくり上げた防草シートの裏面に絡まり全く動きません。少し剥がしてみましたが、防草シートに絡まり続けながら先へ先へと伸びていきます。つまり、このスギナは地中へと向かう垂直方向ではなく、敷かれた防草シートのすぐ下を水平方向に伸びていたのです。
この防草シートに絡まったスギナは、シートから剥がそうと力を入れた際切れてしまい。それ以上追うことができませんでした。
とは言え、いきなり大きなショックを受けました。隣り合う2本のスギナは別々の経路をたどり、そこに立っていたのです。

防草シート裏面に絡まる地下茎。

深層型|地中へと伸びていく地下茎

いきなりの表層型のスギナとの遭遇に動揺し1本の地下茎を切ってしまうアクシデントはありましたが、気を取り直して元々想定していた地中へと伸びていく典型的なスギナ、言うなれば「深層型」である、もう1本のスギナを掘っていきます。

■いきなり茎が太くなった

地上部はかなり細い茎でしたが、少し掘ると急に茎が太くなりました。おそらく筆者が以前に引きちぎった茎が再生して地上部が生えたのだと考えられます。
地下茎を追う中で最も怖いことは、途中で茎が切れてしまい見失ってしまうことです。茎が太くなったという事はそれだけ深くまで続いている可能性が高まったのですが、「茎が切れにくくなったとも言えるため僥倖だと考えよう」などと気楽なことをこの時は考えていました。

■平均とされる深さ20cmを越える

スギナの地下茎は通常であれば平均的な深さは20cm程度。そこまで深いものではありません。
事実、以前同じ庭でドクダミを掘った際にスギナの地下茎も発見しましたが、その際の深さはまさに20cm程度でした。
しかし、このスギナは20cmどころか、30cm、40cmと続いていきます。「何かがおかしい…」。疑心暗鬼が少しずつ心の中に芽生えていきます。

平均20cmって言ったでしょ!

壁から生えている。そう錯覚するほど壁沿いを伸びる

さらにスギナを掘り進めていくと、急に茎がなくなったような錯覚を受けました。
茎の左右を掘っても、下を掘っても茎が続いていません。
「切れた?」とも思いましたが、茎をひっぱるとまだ何かにくっついている手応えを確かに感じます。

まるで壁に穴を開けそこから生えているような、そんな恐怖を感じましたが、壁にべっとりと茎は貼りつき、さらに下へと伸びていました。茎が切れないように、慎重に壁から剥がしていきます。

まるで壁の中から生えているよう。

地中50~60cm|光の届かない地中深く

地中50~60cmまで掘り進むと、ほとんど植物と呼べるものは無くなっています。虫の幼虫だとか卵だとか、そんなものの一切ありません。その深さでもスギナの地下茎はまだ続いており、更に慎重に掘り進めて行きます。
いつしか穴の中は、光が届かず自分の手元が見えないほどの暗闇となっていました。その中で、スギナの茎の感触だけを頼りにさらに掘り進めて行きます…
現在スギナを掘っている場所は方角的に家の東にあたり、決して陽当たりの悪い場所ではありません。防草シートにも太陽の光が当たっているのが写真にうつっています。

掘り進むほどに土は固くなっていきますが、より深い穴を掘るために穴の大きさを拡げていく必要があります。「人間 VS スギナ」、ここまできたら意地の張り合いです。

ここまで掘って底を見ないなんて絶対にイヤだ!

掘削の終わり|地下茎のT字路にぶつかる

どこまでも続くように感じられたスギナとの戦いでしたが、遂に終わりを迎える時が来ます。スギナの茎に沿いひたすら掘っていくと、地下茎のT字路にぶつかり、茎はそこから水平方向へ左右に分けれていました。
穴の中はひたすらに暗く、指先の感覚でT字路にぶつかったことを察知しました。
肉眼ではとても見えませんでしたが、iPhoneの高い集光性能のおかげで、垂直に降下し続けるスギナの茎の行く先(T字路)を撮影することができました。

深さ60cmで分岐するスギナの地下茎。

このT字路、水平方向へ伸びた地下茎の先には、110cm離れた先に別のスギナが顔を出しています。
おそらく、と言うより、まず間違いなく先程の地下茎はこのスギナへと繋がっています。
仮にこのスギナを掘れば、また地中60cmの暗闇へといざなわれることでしょう。

穴から110cm先に顔を出すスギナ(写真右上)。地下茎で繋がっている?

掘削を断念し、長さを測定

地中深く水平方向に伸びる地下茎にたどり着き、ある種絶望に近い感情とともにそれ以上の掘削を断念しました。掘削を断念した最大の理由は、ここが「家の庭」であるということです。
垂直方向60cm以上の深さの穴を、さらに横方向に数メートル掘り進めて行くと、家の基礎や給排水にも近づいてしまいます。
家・庭の構造上、現実的ではなく「限界点」に近いと感じました。

■垂直方向の長さ64cm

今回掘り出したスギナの長さを測定すると、T字路までの長さは約64cmでした。ピンと伸ばせば70cmを大きく越えていると思います。
しかし、この60cm超の最下層部から水平方向にスギナの地下茎はさらに続いていきます。水平方向にのびる地下茎の距離は一般に数メートルに及ぶと言われています。

水平方向への掘削を断念。それでも長さは64cm
あくまで垂直方向に64cm。ここからどこまで水平方向に伸びているのか…

なぜ地下茎はここまで深くなった?

ところで、何故スギナの地下茎はこんなにも地中深くまで続いていたのでしょう?前述したようにスギナの地下茎の平均的な深さは20cm程度とされています。
これは今回の掘削作業の後で調べて分かったことなのですが、スギナは特定の条件下では20cmを大きく越え、さらに地中深く垂直方向へと伸びるようです。そして、その「条件」には筆者の行動が大きく影響していました。

■スギナを摘んだために地中深くへと伸びた

スギナが地中深く伸びる要因として、「スギナには地上部が刈り取られるなどのストレスを受けた場合に、より安定した水分や養分を求めて地下茎を深く伸ばす性質がある」ようです。
本ブログでも書いたことがありますが、スギナの根絶には地上部をこまめに刈り取り、光合成の時間を与えないことが重要です。そうすることでスギナ全体の成長に必要な栄養の生成を幾分か止めることができるからです。
しかし今回のケースでは、頻繁にスギナを摘んでいた筆者の行動が、スギナにストレスを与え、結果としてスギナの地下茎を地中深くへ追いやっていたのです。

夏(7月9日)の様子。こんな元気に生えてたら摘みたくなるでしょ!

まとめ|株ごとに異なるスギナの生存戦略

今回スギナの地下茎を掘って目にしたものは、「スギナそれぞれの生存戦略」でした。
地中へ潜る深さはスギナごと株によりさまざまで、それぞれの環境や外的要因に適応し、伸ばす深さを決定していると言えます。

■地中で複雑なネットワークを構築

今回追いかけた、隣り合うたった2本のスギナでさえ、全く別々の経路で地上へとたどり着いていました
1本のスギナはその茎が防草シートの裏面に絡みついていました。千切れてしまったため少ししか追うことができませんでしたが、このスギナは少なくとも十数センチの間、地中にすら入らず伸び続けていたことになります。
そしてもう1本のスギナは、地中深く60cm付近まで潜り、そこから水平方向へ分岐していました。
また以前、ドクダミの地下茎を追った際に偶然発見したスギナは、地上から10~20cm程度のかなり浅い部分に茎を伸ばしていました。
これらを総合して考えると、スギナはさまざまな高さで地中に地下茎によるネットワークを広げていることになります。

スギナは地下茎で繋がっているという話は有名ではありますが、一本の地下茎から全てのスギナが生えているわけではありません。
地中に、複数の株により構成される幾層もの複雑な地下茎ネットワークを展開させるスギナを一掃することは、どうやらかなり難しそうです。

ドクダミを掘った際に出てきたスギナの地下茎(地中10~20cm程度)

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
以前、筆者の家の庭のドクダミを掘った記事も書いています。今回のスギナ掘削では見つけられなかったスギナの栄養貯蔵庫も登場します。是非、合わせてお読みください!

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