■最終更新日:2025.12.10
庭のドクダミ掘ってみた。地下茎を持つ最強の雑草を抜くことはできるのか?スギナの塊茎も出現
根絶しにくい雑草の代表としてよく挙げられるのが「ドクダミ」です。
筆者の家の庭にもしっかりと生えています。地面に敷設した防草シートと壁のわずかな隙間から顔を出し、何度ちぎっても再生するため、今回思い切って「このドクダミを根こそぎ抜いてやろう」と決意しました。
ただ一本のドクダミを掘り起こす、それだけのことでしたが、いざ始めてみるとその長さはなんと「1メートル近く」と想像以上に深く伸びていました。
それだけでも驚くところなのですが、地中で起こっていたのはそれだけではありませんでした。

対ドクダミ。防草シートの弱点
まず簡単に筆者の家の雑草対策について紹介させてください。
筆者の家の庭には、ドクダミに限らず、全ての雑草の対策として「防草シート」が敷かれています。
防草シートの種類は、高い強度で知られるデュポン社の「ザバーン240G」、楽天市場で買いました。その上に、砂利を敷いています。
防草シートには耐用年数がありますが、実は砂利などで太陽光を遮ることで半永久的にその性能を維持することができます。

■防草シートの弱点
防草シート最大の弱点は「壁際」です。
防草シートは下方向に対しては極めて強力ですが、横方向に対して隙があります。その理由は「壁と防草シートの間を埋めることが難しく、空間があいてしまう」からです。そのわずかな隙間からでもドクダミは地上に顔をだします。
また防草シートと壁の間に、砂利や石など物体がはさまり、スペースを拡げてしまうことも少なくありません。
地上付近のドクダミの様子
まずは砂利をどけて、ドクダミの根を掘る場所の防草シートをはがしていきます。
防草シートを固定するピン「コの字ワッシャー」は4~5年の歳月が経ちましたが、非常にしっかりと地面に突き刺さっていました。また防草シート自体もどこから突き破られることもなく、高い強度を維持しています。
この防草シートの下には果たして何があるのか…いざピンをはずし、防草シートをめくってみます。

■防草シート直下のドクダミ
下の写真は、防草シートをはがした瞬間の土の様子です。
白く見えているのが、全てドクダミの地下茎です。ドクダミが地下に走らせているのは「根」ではなく「茎」です。ドクダミは主に地中を走るこの「地下茎」を使って繁殖しています。
地上に見えているドクダミの数より多くの地下茎が走っていることが確認できます。

■ドクダミはどこからくる?
多くの方が疑問に思うのが「このドクダミはどこから来たのか?」という事だと思います。
ドクダミも種を作りますが、特に日本のドクダミは「種が作られにくく発芽率も低い」という特徴があります。これはドクダミの持つ染色体が特殊な構造(3倍体)をしており、種子の生成に適していないことが理由です。この染色体構造は「種なしスイカ」などにも応用されています。
そのため、ドクダミが庭に入り込むほとんどのケースは「地下茎」による侵入です。隣地や空き地から、フェンスの下の隙間やコンクリ基礎と土の間などを通って地中から侵入しています。
また、防草シートを敷く前から土の中にドクダミの茎が混ざっていたという可能性も考えられます。ドクダミの生命力は凄まじく、1cmの根片からでも再生すると言われています。
地中20cmの世界「ドクダミとスギナの共存」
ドクダミの茎に沿って20cmほど土を掘ったところ、思わぬものに遭遇しました。
ドクダミの茎自体はまだまだ続いており、筆者が秋までに摘んだためか、千切れた茎も多く見えています。しかしここで、別の植物が姿をあらわします。
■スギナの地下茎を発見
下の写真の中央よりやや下、横に伸びる黒い針金のようなもの。これは「スギナの地下茎」です。
防草シートの下には、ドクダミだけでなくスギナもその根を伸ばしていました。
スギナは、この掘削作業を行った12月現在、地上に顔を出していませんでしたが、ドクダミの間をぬい、地下には非常に長い根(地下茎)を展開させていたのです。
「ドクダミ」と「スギナ」は、言わずと知れた雑草界の2大強者です。2種類の強害雑草が地下で絡み合って進行している…この事実は想像以上にショッキングでした。

■さらにスギナの「塊茎」を発見!
ドクダミの茎を追っていく中、さらにはちぎれた「スギナの塊茎(かいけい)」を発見しました。「塊茎」を多くの方は目にしたことがないのではないでしょうか?かくいう筆者も塊茎と意識して見るのは初めてです。
塊茎とは長径が1cmほどの黒いコブのような見た目をしていて、一見すると種子や何かの卵のように見えます。しかし、その正体は「スギナの栄養の貯蔵庫」です。
スギナは夏から秋の間に光合成で作った栄養を、地中にひそませたこの塊茎に蓄え、春に萌芽させるためのエネルギーにします。
この塊茎が地下茎とつながっているかは問題ではなく、たとえ千切れていたとしても、この塊茎は独立してスギナを群生させるだけの栄養を内包しています。
この塊茎が地中に存在することが、スギナを根絶できない最大の理由といっても過言ではありません。
筆者も写真でしか見たことがありませんでしたが、実際に触れるとコブは非常に硬く、スギナのしなやかなイメージとは大きく異なるものでした。

地中40~50cm、ドクダミの茎はどこまでも続く
地中40~50cmにはいると、一気に茎や根といったものは減ってきました。
見えるものはほとんど土ばかりで、その土もかなり固くなり、掘るのが大分困難になっていきます。
もっとも家の周りなので、そのくらい地面が固くないと不安になってしまいますが…
標的を一本の地下茎にしぼり、ひたすら掘り進んでいきます。
このくらいの深さから、ドクダミの茎は進行方向を垂直方向から水平方向へと変え、比較的柔らかい土を選び、まだまだどこまでも伸びています。

ちなみに手前側に写り込んでいるのが、スギナの塊茎です。地中では綿のような毛のようなものに包まれているように見えます。
防草シートを少しずつはがしながら、ドクダミの茎の進む方へ、さらに慎重に掘っていきます。
この時点で掘り出しているドクダミは相当な長さになっています。
下の画像の白い茎が、たった一本のドクダミだと言ったら信じてもらえるでしょうか?

掘り切ることはできず、切れる
丁寧に丁寧に掘り進んでいたつもりでしたが、ちょっとした力加減の誤りで「プチッ」という音とともに、ついにドクダミの地下茎が切れてしまいました。
あまりにももろく切れやすい。このもろさなら、地上部分を摘んで除去することはかなり簡単に感じられるでしょう。しかし、この切れやすさこそがドクダミの「生存戦略」なのか知れません。
一本の茎をふたつに切った時、切断部はふたつできます。ドクダミは両方の切断部から再生し、その数を増やしていくのです。
■ドクダミの長さを計測
口惜しいですが、これ以上の掘削をあきらめ、今回掘り出したドクダミの長さを計測しました。
なんとその長さは約91cm。ピンと伸ばせば1mに達しているかも知れません。
繰り返しますが、このドクダミは掘削の途中で切れてしまったものです。
もし切れることがなければ、このドクダミの地下茎はどこまで続いていたのか、はかり知れません。


まとめ:ドクダミを掘ってわかったこと
今回、ドクダミの地下茎を掘ったリアルな感想。それは「ドクダミは紛れもなく最強の雑草のひとつ」だという事です。
■ドクダミを抜くことは非現実的
ドクダミを抜いて処理することが難しいという話はよく耳にしますが、実際にその地下茎を掘り進むことで「ほぼ不可能である」ことを体感しました。
ドクダミの茎自体がもろく折れやすいというだけでなく、一本の地下茎が90cmも続いているのです。
これを掘り出すというのはあまりにも非現実的です。庭を穴だらけにする覚悟が必要です。
■ドクダミを抜く、掘る行為自体にリスクがある
実はドクダミを抜こうとする行為自体にリスクがあります。
先述した通り、ドクダミは千切れた茎からも再生する強い生命力を持ちます。加えて、折れやすいというのもドクダミの茎の持つ特徴のひとつです。もしドクダミの地下茎がバラバラに千切れたら、もし切った地上部が土の上に放置されたら…
想像以上の速度でドクダミは繁殖していくことになると思います。
ちなみにドクダミは刺激しないよう「ハサミで地上部分を切るべき」だと言われています。
今回掘り出した土は、当然もとに戻しましたが、その際、ドクダミの地下茎、スギナの地下茎、そして偶然発見した「スギナの塊茎」は徹底的に取り除きました。
しかし、庭のわずか一隅。本当の意味で、氷山の一角です。何もしなければ、来年の春も満を持してドクダミもスギナも顔を出すでしょう。
雑草を相手にする場合、短期決戦で勝とうとすると失敗すると言われています。重要なのは 「勢力を弱らせて、毎年の管理を楽にする」 という考え方です。結果ドクダミは切れてしまいましたが、たとえ一隅でも雑草勢力の一部を取り除くことが出来ました。
東京戸張株式会社のWEB担当。
兼業農家に生まれ、家庭菜園と米づくりの経験は20年近くとなる。
副業でミミズを育て売るというかなり特殊な父親に育てられた。
土いじりもパソコンいじりも好き。だが、この世界で最も嫌いなものはきゅうり。












