■最終更新日:2025.12.4
ブレンド米が売れ筋!安いお米=まずいではない。価格高騰の今こそ知りたい、お米選びの3つのコツ
2025年の新米が販売されるもお米の価格高騰が続き、11月14日、全国のスーパーで販売される「米5kgの平均価格は4316円」と過去最高値を更新するに至りました。
そんな中で多くの消費者が悩むのは「値段を抑えつつ、できるだけ美味しいお米を選びたい」ということだと思います。
「何が美味しいか?」は個人個人の感覚であるため明確な定義はできませんが「一般に美味しいとされるお米や、その基準」は存在しており、安いお米でも十分な品質を確保しているものが多くあります。
本記事では、食味値や整粒比といった美味しさの指標について解説していきたいと思います。
安いお米は美味しくない…そんなことは決してありません。お米の高騰する時代だからこそ賢く選び、毎日のご飯をもっと楽しんでみましょう。

新米の発売後も続くお米の高騰
「令和の米騒動」とも呼ばれるお米の高騰は、当初お米の供給量の不足が原因と発表されていました。
しかし、新米の販売が始まってもお米の価格が下がらない現実があります。特に2025年のお米の収穫量は2017年以来最大だと報じられています。
■11月14日、最高値を記録
2025年新米は早い地域では6月下旬に販売が開始されました。それ以降順次各地域で新米が発売されてきましたが、お米の高騰は止まることなく、2025年11月14日「米5kgの平均価格が4316円」と過去最高値を記録しました。
【参考】朝日新聞「コメ半年ぶり最高値更新 5キロ4316円、ブランド米が出回り」
https://www.asahi.com/articles/ASTCG34N5TCGULFA01LM.html
■なぜお米の価格は下がらない?
お米の価格が下がらない理由として、多くのメディアで最も紹介される理由が「概算金」です。
概算金とは、JAなどがお米農家からお米を仕入れる際にあらかじめ支払われる手付金です。手付金を払うことで、他の業者、特に県外へのお米の流出を防いでいます。
この概算金(≒仕入れ値)をベースとして販売価格を決定しているわけですが、この概算金が昨年の1.7倍とも言われています。
筆者も農家から直接お米を購入しましたが、実際に「概算金より安く売ることができない」との話をいただきました。
■今後は価格が下がるのか?
お米の価格は今後下がるのか?という問いに対して、多くのメディアで2026年中旬~2027年にかけ緩やかに下がっていくと予想されています。その背景にあるのが「お米が余っている」という事実です。特に2025年は過去10年間で2番目となる豊作となりました。
価格高騰による買い控えだけでなく政府備蓄米の放出もあり、問屋や店舗の抱える在庫は消費者の需要を越えているとされています。
どのようなお米を選ぶべき?
ここからが本題となります。どんなお米を選ぶべきかについてですが、考え方は色々あると思います。
まず大前提として、例えば「○○産 コシヒカリ」のような銘柄米のファンである、応援しているという方は、そのお米を選ぶべきだと筆者は考えています。
高騰する米価格の中で、銘柄にこだわりがなく、なるべく安いながらも美味しいお米を見つけたいという方へ、どのようなお米が美味しいとされているのか?その判断基準を紹介したいのが本記事の趣旨となります。
■ブレンド米が売れている
先に現在のお米のトレンドについてご紹介させてください。2025年12月現在「ブレンド米(複数原料米)」が多く売れていることが報道されています。
逆に新米は今ひとつ売れず、ふるさと納税で選択されることも激減しています。
ブレンド米とは、複数の品種や産地、収穫年の異なるお米を混ぜ合わせたものです。毎年変動する単一銘柄米の品質に対し、ブレンドすることで1年を通じて安定した食味を提供でき、価格も調整しやすいのがブレンド米の特長です。
事実として、ブレンド米は銘柄米と比較し、価格が5kgに対し1,000円近く安い傾向にあります。
Amazonや楽天市場のようなネットショップで政府備蓄米を見ることはほとんどなくなりましたが、ブレンド米は様々な店舗から数多く販売されています。本記事にも特にレビュー数の多いもののリンクを掲載しますが、「ブレンド米」と検索していただくだけで、多くのブレンド米が見つかると思います。
また、本サイトでは、まだ備蓄米を購入できる可能性のある店舗をまとめています。本記事最下部にリンクを掲載いたしますので興味のある方はご覧いただければと思います。
【参考】HOME広島ニュース:「コメ再び最高値更新…ブレンド米が売れ筋に」
https://www.youtube.com/watch?v=A634CnvJTFE
美味しさの基準1:「食味値」
お米の味を、最も機械的、客観的に判断できる指標と言えば「食味値」です。
■食味値とは?
食味値は「お米の味を数値で表した評価指標」です。
食味計と呼ばれる機械を使い「甘み・粘り・香り・硬さ」などの成分を測定し、数値化します。
100点を最高点とし、80点を超えるお米は「ハイエンド米」と呼ばれます。食味計は色々なメーカーのものがあり、測定する機器により多少のズレはあるものの、お米の美味しさを判断するための客観的な指標であると言えると思います。
中には食味計における食味値の測定で、100点を獲得したお米も存在します。
【参考】おのづか米工房:「一生懸命米作り 食味値100点が出た!」
https://shiozawa-dash.jp/sp/komedukuri.htm
■食味値を決定する要素
食味値は主に以下の要素をもとに、お米の味を数値化しています。実際に人間が食べて「美味しい」と判断されたお米との成分の相関性から、各メーカー独自の計算式で得点が決められています。
【食味を決定する主要素】
・アミロース含有量:お米の粘り気、食感を決定づける
・タンパク質含有量:多すぎると硬くパサつき、粘りや甘みを弱める
・水分量:過乾燥や水分過多は食味低下の原因に
・脂肪酸度:高いほど古米臭や劣化のリスクが高く香りや味に影響する
■備蓄米は食味値が低いのか?
本ブログでも何度か登場していますが、実は政府備蓄米のような古いお米、古古古米、古古古古米であっても食味値は決して低くありません。
備蓄米として販売された最も古い年度のお米であっても70点以上を保たれていることが農水省より発表されています。この70点と言う得点は70%以上の人が美味しいと感じる点数だそうです。
後述しますが、収穫後のお米は保存方法によりその美味しさを十分に保つことが可能です。
【政府備蓄米の】評価値
| 年産 | たんぱく(%) | 水分(%) | 品質評価値 |
|---|---|---|---|
| 令和6年産 | 5.6 | 13.5 | 75 |
| 令和5年産 | 6.2 | 13.7 | 76 |
| 令和4年産 | 7.0 | 13.8 | 71 |
| 令和3年産 | 6.4 | 13.7 | 74 |
美味しさの基準2:「食味ランキング」
成分を機械的に測定し数値化する食味値に対し、実際に人間が食べることで評価を行いランキング付を行うものが「食味ランキング」です。
■食味ランキングとは?
食味ランキングは「日本穀物検定協会」により毎年実施されている、お米の美味しさを評価する格付けです。最大の特徴は、専門の評価員により試食審査されランク付けされる点で「官能評価」と呼ばれています。
機械的ではなく、人間の感情や心理が反映される点が食味値での計測とは大きく異なり、お米に関し主観的で「人間らしい感じ方」が反映されている評価軸であると言えます。
■お米のランク付け
日本穀物検定協会による食味ランキングは得点を付けるものではなく、日本各地から集められたお米をブレンドした「基準米」との相対評価となります。基準米と比べ良好、もしくは劣るを主観的に評価するものです。
【評価ランク】
・特A:基準米よりも「特に良好」なもの
・A:基準米よりも「良好」なもの
・A’:基準米よりと「おおむね同等」なもの
・B:基準米よりも「やや劣る」もの
・B’:基準米よりも「劣る」もの
お米のパッケージに特Aなどと紹介されているものは、この食味ランキングの結果が記載されています。
2025年(第53回)の食味ランキングの結果は以下のリンクよりご確認いただけます。
【参考】美味しいお米ランキング:「第53回食味ランキング2025」
https://www.kome-ranking.com/y_2025/
美味しさの基準3:「整粒比(粒の大きさ・揃い)」
3つ目の評価軸となるのが「整粒比」です。お米のランクについて「一等級」や「一等米」という表現をする場合、この整粒比を参照とした評価になります。
■整粒比とは?
整粒比は「お米の粒の揃い具合を示す指標」です。
単純にはお米の大きさが揃っているか、バラバラかの測定であるといえます。
お米全体に対し整った粒の歩合で分けられ、大きく一等級から三等級に分類されます。
整粒比は炊飯時の水分吸収や食感の均一性に大きく影響します。整粒比が高いほど粒の大きさが揃うため、炊き上がりのムラが少なくふっくらした口当たりになります。逆に整粒比が低いと、砕けた粒や未熟粒が混ざり、硬さや粘りに差が出て食感がばらつくことがあります。
細かいことは抜きにし「一等級のお米の方が美味しく感じられる(可能性が高い)」と覚えていると良いと思います。
■整粒比による等級
整粒比により、等級は以下のように分けられています。これは農林水産省の定める「農産物検査法」に基づき決定されています。
【整粒比による等級の区分】
・一等A:75%以上
・一等B:70%以上
・一等級(一等米):70%以上
・二等級(二等米):60%以上
・三等級(三等米):45~60%
※一等Aと一等Bは区別しない場合もあります。
■等級の表示義務はない
おそらく一番気になるのは「どこを見ればそのお米の等級がわかるか?」ではないでしょうか?
結論から言うと、一般の消費者がお米の等級を知ることは極めて難しいです。
というのも、パッケージに等級を表示する義務はありません。そもそもですが「等級」は玄米に対する格付けであるため、玄米であるときに評価を受けます。
しかし、たとえ一等級の評価を受けたお米であっても、消費者の手元に届くまでには精米や袋詰めの過程を経るため、場合によっては購入した一袋に偶然不揃いの部分がかたよってしまうというケースも十分に感がられます。検査は精米し販売される一袋一袋に対し行われるわけではない、というわけです。
これがパッケージに等級の表示義務がない大きな理由のひとつです。
とはいえ、もともと不揃いである玄米の割合が少ない程、精米・袋詰めした際にばらつきがでる確率も減るため、等級が高いと発表されているお米を選ぶべきであることに、やはり変わりはありません。
■一等級のお米は全体のどのくらい?
年によって割合は前後しますが、一等級のお米は例年「全体の5割~7割程度」だと考えるのが良いです。2025年8月時点では、検査を受けた玄米の中で一等米の比率は66.5%。これは昨年比+2.8ポイントであることが報じられています。
【参考】テレ朝NEWS:今年の新米 一等米比率は66.5% 8月末時点の結果
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/
3.精米時期と保管方法
ここからはお米そのものの品質やランクとは別の話になりますが、お米の味に直結する要素として「精米時期」、そして「保管方法」があげられます。
■精米後の影響1「栄養成分・風味の変化」
お米は玄米の状態だと糠層に脂質やビタミン、酵素を含んでいます。
精米を行うと糠層が削られ栄養や風味成分が減る一方で、酸化が始まるため、時間が経つと味や香りが劣化していきます。
精米してから日が経ったお米は、香りが飛び粘りや甘みも弱く感じられることがあります。基本的には精米してから1ヵ月程度の間で食べきることが推奨されています。
■精米後の影響2「水分の蒸発や劣化」
お米は精米を行うと、表面の微量の水分が蒸発しやすくなり、粒が乾燥して硬くなる原因となります。
特に新米が柔らかく美味しく感じられる一番の理由は水分の含有量です。また、硬くなるというだけでなく、空気中の酸素と反応して脂質が酸化し「古米臭」へと変化していきます。
このように精米日が新しいほど、水分や香りが保たれ、炊き上がりもふっくらします。
■お米の保管方法
お米の保管方法は玄米の場合と、精米後の白米の場合で変わります。それぞれ確認していきたいと思います。
● 玄米(精米前)の保管
玄米は、糠層に脂質や酵素が含まれており、白米より酸化しにくく保存性が高いのが特長です。備蓄米など長期で保存されるお米は、玄米の状態で保管されています。
【玄米の保管方法】
・風通しが良く、湿気の少ない涼しい場所で保存
・温度変化が少ない常温で保管可能
・虫害が心配される場合は密閉容器や冷暗所での保管する
● 白米(精米後)の保管
玄米と比較し糠層が削られているため、脂質が酸化しやすく、香りや味が劣化が早まります。お米の味を落とさず食べ続けるには、精米したてを少量ずつ消費するのがベストです。
【白米の保管方法】
・開封後は密閉容器に移して保存
・冷暗所、できれば冷蔵庫・冷凍庫での保管することで鮮度が長持ちする
・冷凍する場合は結露を防ぐためラップや密閉袋で包む
玄米は保存性が高く、常温で長期保管可能。白米は酸化が進みやすいため、涼しく密閉した環境で短期消費することが美味しさを保つコツだと覚えておきましょう。
「精米時期」や「保管方法」の影響は非常に大きく、備蓄米のように古いお米の食味値が保たれているのも、これらの条件が整えられているからだということができます。
まとめ
新米が発売され、市場へのお米の供給量が増加しても、まだお米の高騰が続いています。
そんな中、なるべく安いお米を買いたいというのは当然の考えの方と言えるのではないのでしょうか。
しかし安いお米は味が大きく劣るのか?そこが気になる方も多いと思います。味は個人の好みだと言ってしまえばそこまでですが、お米の質が客観的に評価された「食味値」や「食味ランキング」、「整粒比」といった指標も存在し、十分参考にしえる評価軸であると言えると思います。
そしてその情報は、スマートフォンを用いれば、お店にいても簡単に手に入れることができます。
気になるお米を見つけた際は、是非そのお米について検索してみましょう。
最後になりますが、本ブログでは備蓄米の販売情報について、11~12月でも購入できるか可能な限り追っています。ご興味ある方は、以下の記事もお読みいただければと思います。
お米、備蓄米に関する記事を多く書いています。是非あわせてお読みください!
【お米、備蓄米に関する記事一覧】
◆ 備蓄米はどこで買える?
備蓄米はブレンド米から探せ!通販やネット、どこで買える?【12月販売情報】
◆ まだ備蓄米を販売しているお店は?
【2025年12月速報】備蓄米はまだ手に入る?販売店まとめ|最後のチャンス!
◆ 備蓄米の買いだめはアリ?
【販売延長!】政府備蓄米、買いだめはアリ?これが最後のチャンスかも
◆ お米の価格はどうして下がらない?
【2025年】新米価格は過去最高を記録!新米がでても値段が下がらない理由は?
◆ お米の価格はどれくらい上がってる?お店を調査
【徹底調査】2025年新米の価格は?店頭価格と昨年比まとめ
◆ 備蓄米がおいしくないって本当?
【古古古米】備蓄米を食べてみた正直な感想!まずい?これで??|12月最新情報あり
◆ 新米を農家さんから買ってみた
新米を安く買える?農家から直接購入した価格や精米手順【2025年】
◆ お米の美味しさの指標について解説!
ブレンド米が売れ筋!安いお米=まずいではない。価格高騰の今こそ知りたい、お米選びの3つのコツ
東京戸張株式会社のWEB担当。2児の父。
兼業農家に生まれ、家庭菜園と米づくりの経験は20年近くとなる。
副業でミミズを育て売るという、かなり特殊な父親に育てられた。
土いじりもパソコンいじりも好き。だが、この世界で最も嫌いなものはきゅうり。











