■最終更新日:2025.11.26
1月~2月から始める!冬でも失敗しないオススメ野菜5選【家庭菜園】
気象庁の統計によると、日本の平均気温が最も低くなる時期は「1月下旬~2月下旬」です。
夜が最も長くなる冬至は12月下旬にありますが、気温の底は1カ月ほど遅れてやってきます。大陸から強烈な寒気も吹き込み降雪も年間で最大となる時期です。その強烈な寒さから、木の葉は落ち、多くの草花は姿を隠してしまいます。
1月~2月はこの寒さの影響で、真夏(7~8月)とともに「一年で最も作物の育成が難しい時期」と考えられています。
それでもこの時期に家庭菜園を楽しみたいという方へ、この時期に育てやすい「とっておきの野菜5選」をご紹介したいと思います。

1月~2月は野菜栽培が難しい時期
1月~2月はその強烈な寒さから、野菜の栽培が難しい時期とされています。
暖かいコタツからでて水をあげるのがイヤになる…という話ではなく、作物たちにとっても冬というのは非常に厳しい環境であることが理由です。

■理由1:低温で成長が止まる
野菜は適温であれば酵素が養分を吸収して成長しますが、冬の低温では酵素の働きが大きく低下します。すると根の吸水力は一気に弱まり、葉や茎への栄養供給が絶たれ生育がほぼ停止した状態になってしまいます。
特に10℃を下回ると多くの野菜は、見た目には枯れていなくてもほとんど成長しない「休眠状態」のような期間が続いてしまいます。
■理由2:日照不足で光合成が進まない
冬は日照時間が短いため、植物が光合成を行える時間が大きく減ります。
光合成が十分に行われないと糖やデンプンなどをつくることができず、植物の成長は大きく制限されてしまいます。特に曇りや雪の日が続く地域では、数週間ほとんど作物の生育が見られないことも珍しくありません。
■理由3:凍結による枯死の可能性
気温が氷点下になると植物の細胞内の水分が凍結し細胞膜や細胞壁が破れてしまいます。これは「凍害」と呼ばれ、組織が壊れた部分は回復することなく、葉や茎は変色し、やがて枯れていきます。
特に水分量の多い葉物野菜は凍害を受けやすく、地温が低い地域では根まで凍り株全体が枯死することもあります。
■理由4:そもそも発芽しにくい
冬は気温だけでなく地温が大きく下がり、発芽に必要な温度を確保できません。多くの野菜の種は地温15〜20℃前後を必要とするため、真冬は発芽率が極端に低くなります。
また、発芽しても根が活動できず、寒風や霜で枯れやすくなります。このため特に露地では新たな作付けがほぼ不可能となり、冬は保温設備のない環境では栽培の幅が大きく制限されることになります。
冬ならではのメリットはないの?
1月~2月には、寒い冬だからこそのメリットも存在します。
それはこの時期は虫がいないことです。虫がいないことのメリットは大きく二つあり「食害が起こらないこと」と「虫を媒介とする病害をもちこまれないこと」です。
そのため、冬の家庭菜園は農薬をほとんど使わなくていいという点でコスト面に優れているといえます。
しかしこのことを差し引いても、1月~2月の作物の育成は春や秋に比べ難しいのです。
冬でも失敗しないオススメ野菜5選
1月~2月は前述の通りとにかく寒い…野菜たちにとっても厳しい環境だといえます。
そんな環境の中なので育てる野菜には最新の注意を払いたいところ。家庭菜園初心者でも失敗しにくいこんな野菜はいかがでしょうか?
■ミニ大根
【収穫目安:40~50日】
まず最初にオススメしたいのが「ミニ大根」、その名の通りミニサイズのダイコンです。
気温が下がると生育はおそくなる。例え寒さに強い野菜であってもこの事実から逃れることはできません。であるならば、目指すサイズが小さく生育期間が短ければ栽培に有利で、冬の環境でも失敗するタイミングも少ないと言えるのではないでしょうか?
大根はもともと寒さに強い野菜ですが、ミニ大根は0℃前後でも生育を続けるほど高い耐寒性を持ちます。そして収穫までにかかる期間は70~90日を要する大根の半分、40日前後であることもミニ大根の大きな特長と言えます。
またミニサイズであるためプランターでも育成可能で、ベランダ菜園にも最適です。冬は地温が下がることから畑での育生が鈍くなるため、実はプランター栽培が非常に有利な季節だとも言えます。
また大根の害虫と言えば何と言っても「ダイコンサルハムシ」です。ダイコンと名前に付けられてしまうほどの天敵ですが、冬であればダイコンサルハムシも発生しません。これは大根を育てる上で大きなメリットだという事ができます。

■サラダ水菜
【収穫目安:30~40日】
次にご紹介したいのが「サラダ水菜」です。
サラダ水菜は少し小ぶりな水菜、ミニ大根の水菜版と考えると分かりやすいかも知れません。
サラダ水菜とは、水菜を主に生食用に柔らかく改良した品種です。もちろん加熱してもOKですが、水菜に比べて縮みやすい点に注意しましょう。
収穫目安は30日程度ですが、ベビーリーフとして利用する場合には15~20日でも十分な大きさに育ちます。根が浅いため深さ15~20cmほどのプランターでも栽培可能で手軽に始められるのも魅力です。水菜同様に耐寒性が高く0~5℃でも生育が可能です。
サラダ用に柔らかいのが「サラダ水菜」、鍋料理向きに大きく育つのが「水菜」だと考えると分かりやすいかも知れません。違いを知れば料理も家庭菜園ももっと楽しめると思います!

■クレソン
【収穫目安:30~40日】
「クレソン」もまた寒さに強い野菜です。
冬でも屋外で育てることが可能ですが、最も簡単な育成方法は「室内での水耕栽培」で非常に初心者向けと言えます。水耕栽培とは、とてもざっくり言うと「液体肥料をまぜた水に浮かべて育てる」栽培方法です。暖房を使用している部屋の窓際で光にあてながら育てましょう。
実は、クレソンはアブラナ科であるため非常に虫がつきやすい植物です。そのため虫の少ない冬の育成が非常に適していると言えます。
しかし、それ以上にクレソンを紹介したい理由は、そのカルシウム含有量にあります。クレソンに含まれるカルシウムは100gに対し110mg、ほうれん草やブロッコリーの2倍以上、あの牛乳と同等以上と言われています!筆者は冬に牛乳を飲もうものなら簡単にお腹を下してしまいます!

■ケール
【収穫目安:45~60日】
4番目にオススメしたいのが「ケール」です。
ケールは非常に寒さに強く、栽培可能な温度範囲は5〜25℃とされています。温度範囲を見ると特に冬でなくても育つことがわかりますが、冬にケールをオススメしたい大きな理由があります。
ケールは白菜などのように「寒さを利用して甘くなる性質」を持っています。これは凍結をふせぐため水分を糖(デンプン)に変えるという一種の防衛機能です。驚くことにこのとき作られる甘みはイチゴ並みになることさえあります。
また、ケールは「青汁」の原料としてもよく知られています。青汁と言えば健康飲料のイメージがあると思いますが、そのイメージ通りビタミン、ミネラル、食物繊維が非常に豊富で、高い栄養価を持つことから「野菜の王様」とも呼ばれています。
プランター(25cm以上の深さ推奨!)でも栽培できるため場所を選ばず、必要に応じ日当たりの良い場所へ移動できるのも、寒い冬においては大きなメリットと言えると思います。

■ビーツ
【収穫目安:60~70日】
最後にオススメしたい野菜は「ビーツ」です。
ビーツは深い赤紫色が印象的な根菜で、ロシアの赤い煮込みスープ「ボルシチ」に使われることで知られています。ロシアというだけで寒さに強いイメージがありますが、0〜5℃程度でも生育を続け、-3℃程度まで耐えられると言われています。
先程紹介したケール同様に、ビーツも寒さから身を守るため、水分を糖に変える性質を持っています。その働きは非常に顕著で、収穫後にほっておくだけでも甘味が増していきます。
葉酸やカリウム、硝酸塩といった栄養素も豊富でスーパーフードとしても知られています。
しかしビーツ最大の特長は、やはりその鮮烈な見た目、カラフルさです。
ビーツの中には代表的な赤紫色の品種「デトロイト」以外にも、オレンジ色の「ゴールデン」や、断面が渦を巻いている「キオッジャ」のような品種が存在し、SNS映えする野菜として近年話題になっています。

冬の家庭菜園で失敗しないコツ!
絶対に失敗したくない!
もっと簡単に失敗なく家庭菜園を楽しみたいという方は以下のことを実践してみてください。
■種ではなく苗から育てる
1月~2月に気温が下がることでとにかく難しくなるのは「発芽」です。
特にニンジンなどはそうですが、発芽さえ乗り切れば何とかなるとも言えてしまいます。基本的には発芽適温を保てるよう地温をコントロールできるのが良いのすが、自信がないという方は種ではなく苗から育ててみましょう。苗から育てることで難易度は大きく下がります。
難しいことに挑むのもやりがいだとは思いますが、せっかくの家庭菜園、楽しめることが第一だと思います!

■プランターを使って育てる
本記事でもプランターで育てられる野菜を紹介してきましたが、冬の家庭菜園でプランターを使うことは非常に有効な方法です。プランターを使うことで、畑に比べ大幅に温度管理が簡単になります。
【プランターを使うメリット】
1. 土の量が少ないため、温まるのが早い
2. 日当たりの良い場所へ自由に移動できる
3. 霜や凍結リスクのある日は軒下などに移動できる
4. 畑より排水性をコントロールしやすい(冬は水分が蒸発しにくい)
5. コンパクトなので保温資材もかけやすい
また、屋内での水耕栽培も普段使う暖房をそのまま活かせるため、冬という季節と相性が良いといえると思います。
まとめ
1月~2月は日本全国で平均気温の最も低い時期となります。
植物には「発芽適温」や「生育適温」があり、冷え込みが強い冬季は、野菜の生長がとまってしまうケースもあります。
そのため「寒さに強い野菜」を選ぶことと「温度管理をしっかりと行う」ことが非常に大切です。
温度管理については、難しいと感じるようであれば種からではなく、苗から育てるのがよいでしょう。苗から育てることは収穫までの期間を短縮するというメリットにもつながります。
またプランターを用いることで、暖かい場所を選んで育生できるようになり、温度管理は非常に楽になると思います。
冬は人間にとっても外に出るのがイヤになる季節ですが、暖かい場所で過ごしたいのは野菜たちも同じなのです。
「今日は天気がいいから日向ぼっこする?」
「明け方冷え込むから布団(不織布)をしっかりかけようか?」
そんな気持ちで家庭菜園を楽しんでみましょう。
農業資材のプロとして、防鳥網や防風ネットなどの製品販売、施工、
その後のサポートまでワンストップで手掛けています。
現場でのさまざまな経験を基に、皆様の役に立つ情報を発信していきます。












