寒さ対策より野菜自身の寒さ耐性!11月12月の種まきにオススメの野菜【家庭菜園】
11月にはいると気温が一気に下がり、全国の1日の最高気温は約8℃〜15℃程度まで下がります。
日中と朝晩での寒暖差は大きくなるとともに、西高東低の気圧配置は、日本海側は雪を、太平洋側には乾季をもたらし、これまでと気象条件が大きく変化していきます。
気温が低くなるとともに、植物は成長が遅くなる時期を迎えます。この時期から始める家庭菜園は基本的には春の収穫を待つものばかりですが、やはり1日も早く収穫し、そして何より自分で育てた野菜を食べたいもの。
本記事では11月12月開始の家庭菜園でオススメの野菜や注意点などを紹介していきたいと思います。

成長が遅くなる時期!注意すべきはもちろん寒さ
11月の特徴と言えば、何と言っても気温の低下です。
植物が成長するには気温は必須条件と言え、気温が低下するこの時期は作物の成長もゆっくりになります。
また11月は「霜月」とも言われる通り、北海道や東北地方では10月後半から降霜の可能性が高まりますが、関東や北陸、甲信、東海地方でも11月より朝晩の冷え込みが強くなり、霜の発生が懸念されます。
寒冷紗(不織布)で覆うなどの防寒対策も必要になってきます。

■日当たりの確保!南向きが理想
この時期は日照時間が短く、日当たりを確保することが大きなポイントです。
特に12月には夜が長く昼が最も短い冬至を迎えることもあり、秋までの時期と比べ日照時間がとても短くなります。
植物の成長に必要な要素と言えば、何と言っても「光合成」です。そもそも太陽の出る時間が短いと言う厳しい条件下ではありますが、できるだけ日当たりを確保できるように心がけましょう。
■地温の低下に注意!
気温も下がりますが地温が大きく下がるのも要注意ポイントの一つです。地温が15℃以下になると、野菜の発芽率は大きく下がります。10℃以下では発芽が非常に遅れたり、発芽できない場合もあります。マルチを使用したり不織布で地温を確保することが大切です。
プランター栽培ができるのであれば、日中は日当たりの良い場所へ移動するのも良いでしょう。

■水分は控えめに!
冬は水やりは少なめでOKです。気温が上がる朝の時間帯に行うのがベストとされています。
夏は毎日の水やりが求められましたが、冬は週1〜2回程度で十分なことが多いです。表面が乾いていても地中は湿っていることも多く、常に湿っている状態では根腐れや病害の原因となってしまう場合もあります。
寒さ対策より寒さ耐性!
11月から12月は気温が下がるため寒さ対策は当然必要なことですが、それ以上にこの時期の野菜栽培で重要なことは「野菜自身の寒さ耐性」です。出荷用に野菜を作っているのではなく、家庭菜園として野菜を育てるのであれば、冬季には寒さに強い野菜を育てるのが一番です。
そう言える理由は、防寒にかかるコストと育成の難易度の二点。ゲームの世界に置き換えるなら、強烈な吹雪で攻撃してくる敵がいるとして、必死にその吹雪から身を守るより、吹雪がきかない仲間を連れて行くのが一番簡単な攻略法だと言えると思います。
11~12月の種まきにオススメの野菜
寒さ対策より野菜自身の寒さの耐性。この前提の上で11月から12月の種まきにオススメの野菜をご紹介していきたいと思います。
寒さに強い野菜をチョイスしていますが、前述の通りこの時期の野菜は成長が遅く、春を見据えて種をまくのが一般的だと言えます。しかし家庭菜園の醍醐味は何と言っても収穫と実食だと思います。栽培開始から50~60日を目途に収穫が可能なものを選ばせていただきました!
■小松菜
【収穫目安:30~45日】
11月12月の種まきにオススメの野菜筆頭は小松菜です。
小松菜には冬の野菜栽培に必要な耐性や要素の全てが備わっているとも言えます。
寒さや霜に強い、無農薬で育つ、収穫までが早い、根が浅くプランターで育てられるため日当たりを確保しやすいなどなど非常に優秀なスペックを持つだけでなく、寒さによる凍結をふせぐため糖分を蓄積させるので甘みが強くなる傾向にあります。
小松菜はスーパーで安く買えると思っている方、収穫したての小松菜は味が濃くとても美味しいです。是非一度チャレンジしてみてください!

■ホウレンソウ
【収穫目安:40〜60日】
冬への入口となる11月、寒さへの耐性で野菜を選ぶならホウレンソウが最もオススメです。
「寒じめほうれん草」という霜に当たることで甘くなる品種も存在するほど、寒さへの耐性の高い野菜です。
またホウレンソウといえば栄養価の高い野菜だと認識している人もおおいのではないでしょうか?あのポパイがパワーアップのために食べるだけあり、ビタミン・鉄分が非常に豊富で冬場の栄養補給に非常に適した野菜と言えます。
発芽さえクリアできればとても育てやすい野菜だと言えると思います。発芽率を上げたい場合は種を一晩水に浸してから播くことが効果的です。

■水菜
【収穫目安:30〜45日】
水菜の魅力は寒さに強いというだけでなく、成長がはやく収穫までの時間がとにかく短い点です。
もともと収穫までが短い水菜ですが、さらに早生種も存在しており、「スピードタイプ」と呼ばれるものはなんと寒い時期であっても20~30日程度で収穫できてしまいます。
さらには若いうちに「間引き菜」として食べることもでき、収穫をとことん楽しめる野菜だと言えます。
寒さに耐性はありますが、やはり霜には気をつけましょう。

■シュンギク(春菊)
【収穫目安:40〜60日】
9月10月からの栽培開始記事でもオススメしたシュンギクですが、11月以降も引き続きオススメです。
シュンギクは暑さに弱く、寒さに強い野菜の代表とも言える野菜で、秋~冬の気候が最も育ちやすい環境となります。軽い霜程度であれば耐えることもでき、逆に夏に育てると苦味が強くなりやすい野菜です。
寒い時期は害虫が少ないと言うだけでなく、シュンギクは葉自体に香りがあるので虫がつきにくいのもメリットのひとつです。一株から何回も収穫でき、コスパにも優れています。

■リーフレタス
【収穫目安:40〜60日】
リーフレタスもまた寒さに強い野菜です。高温多湿に弱く、冷涼な気候を好むリーフレタスは5℃前後の寒さであれば十分に耐える寒さ耐性を持っています。霜が降りる地域でもビニールや寒冷紗を用いて簡易防寒をすれば、ほぼ問題なく育てることができます。
虫に強く、無農薬でも栽培しやすいので初心者向きと言われています。プランターでも育てられるので、ベランダなどでの栽培もオススメです。

逆にオススメできない、寒さに弱い野菜は?
成長の早い葉物野菜ですが、そのすべてがオススメと言う訳ではありません。
特に寒さに弱い野菜「ハーブ類」を育てる際は要注意だと言えます。
■バジル(ハーブ類)の育成は要注意
冬季の育成に特に向かないとされているのがハーブ類、その中でも特にバジルです。
バジルはイタリアのイメージが強く、地中海性気候に適した植物だと思ってしまいそうですが、実はインドや熱帯アジアを原産とする植物。暑さに耐性があれど寒さに弱いのが特徴です。気温が10℃を下回ると成長が止まり、5℃以下では枯れてしまうことが多いため、日本の冬の屋外では、ほぼ確実に寒さで枯れるとされています。
もしバジルを冬季に育てたい場合は室内栽培を行い、気温を確保しましょう。
冬の家庭菜園にオススメのアイテムは?
11月以降の冬の時期、最も大切になるのは間違いなく「温度管理」です。作物を寒さから守ることが何より重要です。「ということは寒冷紗?マルチ?トンネル?」とそこまで予想がついている皆さんに、本ブログでもひたすら紹介されているこれらのアイテムを紹介する必要はないかと思います。
「そんな皆さんに本日お奨めしたい商品がコチラ!なんと激安の100円から!」と通販番組のようなノリになってしまいますが、オススメしたいアイテムは、いわゆる100均でも販売されている製品です。
■おすすめアイテム「土壌温度計」
「土壌温度計」は地中温度を測るための温度計です。「地中温度計」と言った別名もあります。
使い方も非常に簡単で地面に数分待つだけ。そして盤石の性能とはいきませんが、最安値100円(+税)で買えてしまいます。
なぜ土壌(地中)の温度計がオススメなのかと言うと、寒いととにかく発芽が難しくなるためです。私たちは普段空気に触れて生活しているため、空気が冷えていることは非常に感じやすいと思います。しかし地中の温度となるとどうでしょう?とてもイメージしにくいのではないでしょうか。
地中で発芽し、地中に根を張る植物にとって土壌の温度は非常に重要です。本記事で紹介したオススメ野菜であれば発芽には10~20℃の地温が適温となります。それ以下では絶対に発芽しないという意味ではありませんが、なるべくこの地温に合わせて種まきをするようにしましょう。
もちろん土壌温度計は冬だけでなく、ひたすらに猛暑が続く夏にも有用と言えるアイテムです。
まとめ
あらためてこの時期の家庭菜園にオススメの野菜を見返すと葉菜類に偏っていますね。
少ない日照時間や低い気温の中、短時間での収穫となるとやはり葉菜類が適していると言えます。
本記事は11月12月からと題しているものの、やはり実情を述べますと12月から野菜を育てるのは結構大変です(笑)
その理由として、やはり発芽に必要な地温を確保することが難しいこと、昼夜の寒暖差が激しくなり冷害を受けやすいことが挙げられます。発芽の問題を避けるするのであれば、種からではなく苗からの育成を選択しましょう。本記事では触れませんでしたが特にニンジンの発芽は難しく苗からの育成がオススメです。
また、なるべく寒さに強い野菜を選び、出来ることなら11月中旬までに種植えを終えているのが理想です。近年「暖冬」という言葉を多く耳にしますが、それでも野菜たちにとっては冬はなかなかに厳しい季節。寒さに対するできる限りのケアを心がけながら、家庭菜園を楽しみましょう!