ブドウや桃、夏野菜の収穫期目前!5~6月の農業で気を付けること【まとめ】
「実りの秋」という言葉がありますが、ブドウ、桃、スイカ、トマトやキュウリなど「夏」も負けず劣らず、多くの果物や野菜が実る季節です。そんな作物の魅力満載の夏を目前に控えた5~6月は、気候の影響もあり、特に気象災害や病害・虫害が発生しやすい時期として知られています。
本記事では、特に5月6月に発生しやすい農作物の被害に焦点をあて、その対策について紹介して行きたいと思います。

5月は霜害に注意!
5月で特に気を付けたいのは「遅霜(おそじも)」「晩霜(ばんそう)」などと呼ばれる降霜害です。
「夏も近づく八十八夜」と歌われるように、5月になると夏に向け気温の上昇が顕著になってきます。暖かくなった…そう感じられるこの時期にこそ対策が必要なのが「霜」被害です。
夜の間風もなく良く晴れている、そんな日の翌朝に急な冷え込みとともに水蒸気が結晶化し、霜は発生します。植物に霜が付着すると細胞内の水分が凍結し、植物にダメージを与えます。
トマトやピーマン、ナスといった夏野菜は特に霜に弱いため、しっかりと対策を行いましょう。
■霜害対策1:寒冷紗
寒冷紗(かんれいしゃ)とは、化学繊維を網目状に織った薄いシート状の被覆資材です。植物覆うように展張することで、霜の原因となる冷えた水蒸気が植物に付着することを防ぎます。
「寒冷」と名の付く通り、防寒、防霜への対策がメインの農業資材ですが、実は防虫や防風、防乾にも優れ、非常に多くの目的で使用されています。

■霜害対策2:防霜ファン(茶畑・大型果樹園に)
茶畑やサクランボ、リンゴ園のような広い圃場で霜害を防ぐには「防霜ファン」が効果的です。防霜ファンとは支柱高くに付けられた扇風機のようなもので、多くの農園や茶畑で見ることができるのではないでしょうか。
霜は多くの場合、無風であったり風の弱い夜の翌朝に発生します。風がない環境では水蒸気が空気中に停滞し、じっくりと外気により冷やされていきます。冷やされた水蒸気が結晶化し霜となるのですが、人口的に風を起こす「防霜ファン」を起こすことで空気の滞留を防ぎ、霜の発生を抑制することができます。

害虫への対策
5月にはいり気温が上昇してくると、虫の活動が活発になっていきます。もちろん害虫だけでなく、テントウムシなどアブラムシを食べる益虫も現れるのですが、総じて害虫による食害が多くの農場で見られます。
農作物の虫被害は多くの場合4月後半~11月前半に発生しますが、虫の活動は発生期間の最初と最後となる4~6月、9~11月に特に盛んになる傾向があります。また暖冬であった年は害虫の発生も早く、近年では2024年にカメムシなどの異常発生などがみられました。
■虫害対策1:防虫ネットよる遮断
害虫対策に有効な手段として、ネットなどを張り、虫を農作物に近づけない方法があげられます。
一般的に防虫網(防虫ネット)と呼ばれますが、網目の細かいネットの多くは防虫ネットしての機能を果たすため、代用がきくものが多いです。
霜の対策であげた「寒冷紗」も虫害対策として機能しますし、「防風網をはじめとする多目的防災ネット」も目が細かく、防虫ネットとしての役割をはたします。

■虫害対策2:農薬の使用
農薬の使用に抵抗を持つ方もいるかもしれませんが、農薬の安全性は農林水産省の定める「農薬取締法」に基づき、検査・評価がされています。決してむやみに使用していいという意味ではありませんが、虫害対策において非常に有効な手段であることに間違いはありません。
病害の対策(湿気、土の水分量の管理)
6月と言えば多くの方が「梅雨」を連想されるのではないかと思います。梅雨の時期の最大の課題はやはり「雨量」と「湿度」です。
換気はとても重要な問題で、カビなどの細菌は湿気を好み繁殖するため、通気性の確保が非常に大切です。高湿度の状態が続くと、うどん粉病をはじめとする病害が発生しやすくなります。また雨水や泥を媒介とし二次感染を引き起こすこともあります。
加えて土中の水分量が多く排水が不十分だと、根の呼吸が困難になり根腐れの原因となることもあるため注意が必要です。
■病害対策1:通気性の確保
通気性を確保し湿度を適度に散らすためには、作物を密集させないことが大切です。「支柱ネット(園芸用ネット)」を使用し誘引を行うなど作物の形を整え、密集を避けましょう。なるべく葉は重ならず、均等に日光があたるよう整枝します。必要に葉を応じ間引く作業を行います。
また、ビニールハウスの内部など「循環扇」を使って換気を行うのも効果的です。

■病害対策2:土中の水分量の調節
土中に過剰な水分を含まない水はけのよい土壌を作るには、畝を高く作ることが効果的です。高い畝を作ったうえで、雨水で土砂が流出することの無いよう「農業用マルチシート」で被覆するのが効果的な対策と言えます。また、マルチシートを使用することで泥はねを防ぎ、泥水経由での二次感染を予防することにも効果的です。
マルチシートには色々な種類がありますが、上部が開閉式となり天井換気ができる「ポリホール」もオススメです。

雑草の成長が早い時期!
春から夏にかけてのこの時期は、雑草が急速に成長する季節です。雑草は害虫の住処となるだけでなく、土から栄養を奪い、作物の成長を妨げてしまいます。作物の付近では除草剤も使いづらく、こまめに抜くことも必要となってきます。
■雑草対策:マルチや防草シートによる被覆
雑草対策として有効と言えるのが「農業用マルチシート」や「防草シート」といった土を直接覆う被覆資材です。特に黒色のものがオススメで、黒は太陽光を遮り植物の光合成を妨害するため、シート下の雑草の繁殖を防ぐはたらきを持っています。

まとめ
大きく「霜害」「虫害」「病害」「雑草」の4点に対する代表的な対策を紹介してきました。
あれもこれも対策するのは非常に大変に感じますが、たとえば寒冷紗や多目的防災ネットのように、ひとつの資材でさまざまな効果を得られる農資材も多く存在します。
5~6月は農作物被害が起こりやすい時期ですが、梅雨が明ければすぐに「実りの夏」を迎えます。
是非この機会に初春~初夏の農作物の被害対策を検討して見ましょう!
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