【ナス・トマト栽培】園芸用ネットは本当に全部きゅうりネットでいいのか?

【ナス・トマト栽培】園芸用ネットは本当に全部きゅうりネットでいいのか?

【ナス・トマト栽培】園芸用ネットは本当に全部きゅうりネットでいいのか?

ナスやトマトと言った果菜類を育てる際、多くの方が園芸用ネットを使用されると思います。このネットは、畑に支柱を立てその間にネットを張り誘引することから総称して「支柱ネット」と呼ばれています。ただ嘆かわしい(?)ことに支柱ネットを使用する代表作物が「きゅうり」であるためか、支柱ネット=きゅうりネットのイメージが強く、他の野菜の育生にも「きゅうりネット」が使用されるのが支柱ネット界の通例となってしまいました。

しかし私は全世界に問いたいのです。
ナスやトマトを育てるのにきゅうりネットを使うのは本当にあっているのか??
私「トマトを育てたいのですが…」店員「きゅうりネットがオススメです。」私「???」
こんな不条理が許され続けるのか?

この当然かつシンプルな疑問に対し、答えを探していくのが本記事のテーマになります。決して筆者がきゅうり嫌いだからではありません。お付き合いのほどよろしくお願い致します。

ナスに張られたネットがきゅうりネットという矛盾

支柱ネット(園芸用ネット)とは?

まずは支柱ネット、園芸用ネットについてしっかり抑えておきましょう。
一番わかりやすい所ですと、多くの方が小学生の時に「朝顔」を育てたことはないでしょうか?育成方法にもよりますが、朝顔はネットに沿わせ(誘引させ)育てていくことが多いと思います。
この際に使用される、つるを絡ませるネットを「支柱ネット、園芸用ネット」と呼び、同様にきゅうりやナスなどを育てる際に用いられます。

一番イメージしやすい支柱ネットは朝顔?

支柱ネット界はきゅうりネット一強

さて、ここで農業資材界に目を向けると各野菜栽培のための専用ネットというものはあまりなく、その全てを統合していると言えるほど幅を利かせているのが「きゅうりネット」です。
おそらく、きゅうりネットは「ほとんどの野菜に対して安定し不足のない、求められているパフォーマンスを発揮できる園芸用ネット」なのだと思います。
支柱ネット界はきゅうりネット一強。この事実はホームセンターで園芸コーナーを少し歩いただけでも簡単に察せるくらい圧倒的なものです。陳列棚にきゅうりネットしかない、そんな光景を当たり前に目の当たりにするからです。

最寄りのホームセンター。野菜の名を冠するネットは「きゅうり」のみ。

まさにきゅうりネット一強時代。平家にあらずんば人にあらず、きゅうりにあらずんばつる野菜にあらずと言うくらいの無双ぶりです。きゅうりネットを取扱う弊社東京戸張でも、その人気ぶりから、きゅうりネットの規格がこれでもかというくらい細分化し、かゆいところに手が届きすぎる現状になっています。

驚異のきゅうりネットの規格数。どんな圃場にも対応可能。

上の規格表を数えるとWAタイプという規格だけで41種が存在しています。しかし、なんとこの数が規格全体数の1/3にしかすぎないのです。概算で約120種、まさに驚異の品ぞろえですが、逆に言うとこれだけのニーズが存在しているのです。

東京戸張のきゅうりネットの全規格は以下のカタログをご参照ください!

きゅうりネットは素晴らしい。しかし・・・

規格の多さは需要の多さ。きゅうりネットは本当に素晴らしい・・・もちろん性能が、です!
強度、展張のしやすさ、計算された誘引性、どれも非の打ち所がないのですが、それだけできゅうりネットが他のどの野菜にも代用されるということになるでしょうか?

きゅうりネット全盛のこの時代、ショップに並ぶ支柱ネット・園芸ネットには「きゅうり」の名を冠するもの以外が見当たりません。ナスネットやトマトネット、はたまた他の野菜ネットなど果たして本当に必要なのでしょうか?また必要であるならばその理由は何なのでしょうか?

それでもナスネットやトマトネットが必要だ!

それでもナスネット、トマトネットが必要だ!!と、とりあえず勢いよく言ってみました。
私がそう論ずる根拠は下の画像にあります。まずはきゅうりとトマト、それぞれをよく見くらべてみましょう。果実のなり方が全然違うことがお分かりいただけるのではないでしょうか?

そう、トマトはひとつのつるに集中して実がつくのです。しかもトマトの実は成熟すると一個当たり約180g、きゅうりは平均100g。つまり実のなる部分の重量による負担が大きく違います。これに耐えうるネットの強度がトマトネットには必要なはずなのです!

次にナスについて考えていきます。ナスもひとつの実は約100g、実のつき方もきゅうりに似ているように見えます。それではもっと小型の実、例えばエンドウはどうでしょうか?エンドウの実は平均して10~11g。当然実の数は多いもののだいぶ分散されており、それほどの網の強度が必要ないように感じます。

実の一点だけを考えても重量の差が考えられ、葉や茎について真剣に考えればよりネットへの負担となる重量を細分化し割り出すこともできると思います。
このことから、本来それぞれの野菜栽培に必要なネットの強度は異なる。つまり、それぞれの野菜「専用」のネットが必要である、というのが私の主張です。

ネットの強度を構成する三つの要素

ネットの強度を決める要素は大きく三つあると思います。それは「網の素材」「網の太さ」「網目の大きさ」の三つです。一つずつ解説していきたいと思います。

1.網の素材

まず一つ目は網の素材です。早い話が金網のような、例えば鋼鉄でできていれば相当な強度をほこれると思うのですが、金属では作物を傷つけてしまいます。支柱ネット(園芸用ネット)は多くの場合、網糸が滑らかなポリエチレン等が素材となっています。

滑らかで優しい網糸は作物を傷つけない!

2.網の太さ

二つ目は網の太さです。一般に「デニール」と言われるものですがタイツの厚さでの聞き馴染みが多いでしょうか?単純にデニールの数字が大きい程、ネットの強度は増します。
太さについて一点注意が必要なのが「単糸」と「撚糸」です。単糸はわかりやすく一本の糸のことですが、撚糸とは数本の糸をひねってできた糸のことを言います。農業用のネットでは強度を確保するため多くの場合、12~18本の糸で撚糸が校正されています。

3.網目の大きさ(目合)

三つ目は網目の大きさです。一般的に網目が大きい程、部分的なネットの強度は下がります。例えば網目が10cmのものと5cmのものを比較すると、同面積での糸の交点は、10cmの場合4点に対し5cmであれば9点となり、倍以上の結び目で支えることができます。

ネットの密度が高い程、多くの点で支えられる

実際に野菜ごとのネットが存在

実は弊社東京戸張では、きゅうりネット以外の各種野菜「専用」ネットを数多く取扱っています。このネットはナスやトマトを含み、かなり細かく分類されています。

【東京戸張で取扱う支柱ネット(一例)】
・きゅうりネット
・トマトネット
・ナスネット
・いんげんネット
・えんどうネット
・ピーマンネット
・アスパラネット など

ナス・トマト専用ネットの規格を見てみよう!

私が求めていたのは、きゅうりネットに支配されないこの世界でした。
ここで皆さんに思い出していただきたいのは、きゅうりネットの規格数です。概算ではありますが約120と、あまりにも細分化されています。
それぞれの野菜の名を冠した専用ネットという期待に胸を膨らませながら、各ネットの規格を眺めてみましょう。

・・・ナスネット5つ、トマトネット3つ??
この力の入れ具合の差はいったい??

多くの方がきゅうりネットを求める!

この話の結論ですが、多くの方がやはり「きゅうりネットを支柱ネットとして求める」そうです。
弊社営業の者の話では「網という素材を突き詰めた結果、対象がきゅうりにしろ、ナスにしろ、トマトにしろ、全てに対し十分な強度を持つネットを作ることが技術的に可能で、逆に高い強度が不要な作物に合わせ強度の低い網をつくることにコストがかかってしまう。
多くの野菜に対しきゅうりネットが十分なパフォーマンスを発揮することを多くの方が認知しており、きゅうりネット=各野菜に適応したネットとしてご注文をいただいている」とのことです。
きゅうりネットの大量の規格をもってしても対応できない数少ない状況に対して、各野菜の専用ネットとして販売しているようです。

多くの野菜に対しきゅうりネットが十分なパフォーマンスを発揮することを多くの方が認知している。この一文が非常に重要なのではないでしょうか?
十分なパフォーマンスを発揮できる、のです。そう、十分なパフォーマンスを。

農資材製造の技術が向上し、多くの作物に十分な強度を確保できるネットが作れるようになった現在、この認知こそがきゅうりネット一強たらしめる最大の要因だと感じます。とは言え、何故きゅうりが選ばれ世に認知されていったのか・・・その謎に今後迫っていきたいと思います。

製品名

きゅうりネット

つるものの栽培、特にきゅうり栽培に特化したネットです。作物の誘引を助け、通風・採光性に優れます。

商品の詳細情報

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