鳥の被害は冬に増える!こんなに寒いのに…作物を守る効果的な対策は?

鳥の被害は冬に増える!こんなに寒いのに…作物を守る効果的な対策は?

鳥の被害は冬に増える!こんなに寒いのに…作物を守る効果的な対策は?

春、夏、秋、冬、日本には美しい四季があり、季節それぞれの特色を持っています。
食べ物も花も四季折々。しかしそれは何も人間にとってだけではありません。
多くの生物が活動し、実る作物も多い春から秋にかけての時期に比べ、冬は多くの生物がその姿を隠し、多くの樹木は木の葉を落とし実をつけることはありません。
こうした冬の時期、特に鳥たちにとってはエサの確保が大きな課題となります。暖地へと移る渡り鳥や漂鳥もいますが、多くの鳥は同じ場所に留まり冬を越します。その場にとどまる鳥たちにとって冬の時期にアテにしたい食べ物、それは実は「人間の作った作物」です。

雪はあってもエサはない。冬は鳥にとってそんな季節。

冬は鳥害が増えやすい!

実は冬は鳥害が起こりやすい季節です。
暖かい時期の方が生物は活動が活発になるため、寒い時期は鳥害が減るように感じるかも知れませんが、実はそうではありません。暖かい時期は野山での実りや虫などの活動も活発であるため、鳥たちにとってエサは豊富にある時期だと言えます。
逆に寒い時期、つまり冬の時期に体感として明確に減っていると感じるもの。それは「虫」と「草(植物)」ではないでしょうか?対し、鳥は年中みかける存在だと思います。
冬の時期、草はまだいくらか見られますが、虫をみかけることは一気になくなります。多くの虫は幼虫・蛹・成虫の違いはあれど、地中や落ち葉の下で冬眠にはいります。虫は鳥の基本的なエサのひとつで、春から秋にかけて多くの野鳥はこれらを食べて過ごすことになります。
しかし冬になると野山で得られる虫や草、木の実などのエサが大きく減ってしまいます。そのためそれ以外のエサ、とりわけ農作物を求めて野鳥は人里に姿を見せます。冬は自然界のエサが少ない、これが冬に鳥害が増える最大の理由です。

自然界がダメなら人間界だ!

鳥は冬眠しない

冬眠する虫や哺乳類が多くいる中、鳥は冬眠を一切しません。
しかし虫たちは姿を隠すので、まるで食物連鎖ピラミッドの下層が欠けたような状態になります。この差が冬場の鳥たちを、より農作物へと誘導させてしまいます。

鳥は冬の越し方により「渡り鳥」「漂鳥」「留鳥」の3種類に分けられます。
暖地を求め移動するものもありますが、いずれにしろ冬眠しません。
全く移動せずその場にとどまるヒヨドリやカラスなどの留鳥は、その羽毛をダウンジャケットのように膨らませ、同じ場所で冬も変わらず活動しています。

タイプ冬の越し方鳥の種類
渡り鳥暖かい国・地域に移動ハクチョウ、ツバメ、マガモなど
漂鳥国内を南下ハシボソガラス、チュウヒ、スズメなど
留鳥その場で越冬ヒヨドリ、カルガモ、カラスなど
みんな冬眠してくれたら世界は穏やかなのだが…

冬は渡り鳥が日本を訪れる

冬に鳥害が増える理由としてもう一つ考えられることは、冬は渡り鳥が日本を訪れます。
渡り鳥に対し筆者は常々思います。もっと南に行けばいいだろと…。
正直冬に日本に来られても寒いだけなのに、わざわざ寒い冬の日本に立ち寄り、鳥インフルエンザを持ち込まないで欲しいのです。
しかし、もともとシベリアなどで暮らす渡り鳥にとって、冬の日本は十分に暖かいのだそうです。

■渡り鳥もまた鳥害を引き起こす存在

冬、日本に来る渡り鳥は「冬鳥」と呼ばれますが、冬鳥もまた農作物へと被害を及ぼす存在です。
代表的な冬鳥としてヒヨドリやツグミが挙げられますが、共に農作物、特に果物やベリーを襲います。
単純にエサの数が減っている中、海外から新たな鳥が来日するのです。
生きるために絶対に必要な食糧、その矛先が人間の作物に向くのは極めて自然なことなのかも知れませんね。

■冬、日本を去る渡り鳥の多くは益鳥

ツバメやアマサギのように、冬に日本を去っていく渡り鳥(夏鳥)もいるので差し引きゼロじゃないかと思うかも知れません。しかしこれらの渡り鳥は、実は農作物にとって益鳥、つまり良い影響をもたらしてくれる鳥であるとされています。
その理由は、ツバメであればハエや蚊を、アマサギであればイネミズゾウムシのような水田の害虫を捕食するからです。夏鳥が日本に滞在するのは虫の活動も活発で自然界のエサも潤沢な夏です。
実は夏鳥は農作物の害虫駆除を担ってくれる存在なのです。

鳥はエサ場を記憶する!

鳥は一度食料を得られた場所を「餌場として記憶する」性質を持っています。
「鳥頭:鳥は三歩歩けば物事を忘れる」のような言葉もありますがそれは大きな間違いで、興味のないことは覚えませんが、こと食料に関して言えば数百数千の餌場を記憶すると言われています。

■残渣(ざんさ)に注意!

間接的な鳥害対策として是非意識してほしいことは、収穫後に畑に農作物の残渣(ざんさ)を残さないことです。
残渣とは簡単に言えば「野菜の残りカス」のことで、例えば、かじられた跡があったので白菜の葉を一枚剥いた場合のその剥かれた葉のことを指します。
人間は野菜の見た目や虫食いを気にしますが、鳥は一切気にしません。捨てられた葉であっても鳥にとっては栄養価の高い食料のひとつとなります。
特に冬季は自然の中のエサが減り鳥たちにとっても、畑の作物は重要な食糧になります。鳥害を減らすためにはなるべく作物の残渣を地表に放置せず、持ち帰る、土に埋めるなどの適切な処理を行いましょう!

鳥が餌場するだけでなく、カビなどの菌が繁殖する可能性も

最強の対策はネットを張ること!

おそらくSF作品のように何もない空間に突如としてバリアをはることができない限り、農作物を鳥害から守る最強の対策はネット(網)であり続けると思います。
その理由として、忌避光、忌避音、磁力場などさまざまな対策が生み出されていますが「最終的に鳥が慣れてしまう」ことが挙げられます。鳥は危険がないと判断したら無遠慮に畑に突撃してきます。結局、物理的に農作物に触れることができないことが最強の対策だと言えると思います。
ではネットではなくもっと強固な壁を作ればよいと思うかも知れませんが、完全に塞いでしまうと今度は換気の問題で病害を生んでしまうリスクなどが発生します。特にカビを代表とする菌類を防ぐためには通気性が非常に大切な要素なのです。

入れない…食べれない…

■鳥対策にネット(網)が最強といえる理由

1. 鳥が慣れようが関係なく侵入を遮断できる
2. 使い方が明確で設置も簡単(必要な部分に張るだけ)
3. 通気性が高く病害リスクが低い
4. メンテナンスや買い替えも容易
5. 精密機器に比べ、格段に安い
6. 場所を選ばない(ベランダなどでも使用可能)

この他にも「手に入りやすい」ことや「不要になった際処分しやすい」ことなど、ネットのメリットは数多く上がると思います。ネットは紀元前1万年以上前の新石器時代から存在していたと言われています。その歴史は伊達ではありません。

全く費用のかからない対策はないの?

実は、全くお金をかけず鳥害を減らす方法もあるにはあります。かわりに手間はかかりますが…
鳥が警戒するものは何でしょう?すぐ下に答えを書いてしまいますが、是非少し考えてみてください!

■鳥が最も嫌うものは人の気配

お金の全くかからない対策、それは人の気配を感じさせること、つまりこまめに見回ることです。
鳥は警戒心が非常に強い生き物であるため、人間の姿がある田畑にあまり訪れません。もし近づいてきた場合には一度威嚇行動を行えば、しばらくその場所に近づくことはないでしょう。
定期的に人の存在を感じさせることで鳥は警戒心を持続しやすくなります。畑の近くを通りかかった際は短い時間でも立ち寄るようにしましょう。
人通りの多い場所で作物を育てることが実は最強の鳥害対策と言えるかもしれませんね。

■コスパなら、かかしもそれなりに有用?

人間を模した「かかし(案山子)」とはどれほど効果があるのでしょう?かかしが効果がある、使用を推奨しているという情報は現在あまり見られないと思います。
正直色々なサイトに書かれている通り、かかしやCDと言ったものは鳥が慣れてしまうという欠点があります。しかし、対策の手段としては、かかしもCDも安価でありコストパフォーマンスとしては悪くないのでは?と筆者は思ってしまいます。
もしかかしを畑に立てる場合には、かかしの種類や姿勢を定期的に変えることや、風などで動くような仕組みを作ると、一定の効果があると言われています。大きめの服を着せる、風車や風鈴を取り付ける、猟銃のような木の枝を持たせるのも良いと思います。

かかしは風で動く要素を組み込むと効果的!

まとめ

冬は農作物の鳥被害が非常に発生しやすい時期です。
これには自然界にエサが少ないことが大きく影響しています。その中で人間のつくる作物は栄養価や味が良く、鳥は多少のリスクを背負ってでも人間の作物を食べにくると言われています。
カラスやスズメがゴミ捨て場を荒らす光景を目にしたことがあると思いますが、そこにエサがあると覚えた鳥は繰り返しその場所を訪れます。
一番大事なことは、鳥にそこが餌場だと記憶させないことです。最も基本的で効果的な対策は、全国のゴミ捨て場に施されている通り「ネットを張ること」です。
防鳥ネット…その活躍が最大限期待される時期は、どうやら冬だと言えそうです。

ネットがしっかりと閉まっていることが非常に重要です。

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