【雑草との勝負は冬】冬は雑草を減らす大チャンス!種子バンクに立ち向かえ!

【雑草との勝負は冬】冬は雑草を減らす大チャンス!種子バンクに立ち向かえ!

【雑草との勝負は冬】冬は雑草を減らす大チャンス!種子バンクに立ち向かえ!

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と言う言葉あります。
夏にあんなに苦労した雑草も、冬になると姿を消すため雑草処理から解放され束の間の休息の時期。
しかし「冬こそが雑草対策を進める真の季節」なのです。
とはいえ冬は寒いので作業意欲がグンと削がれます。その気持ちは非常によくわかり、私もできることならコタツでみかんを食べていたい…なんなら朝も布団から出たくない……
もしかしたら雑草たちも同じことを思っているのかもしれません。寒いから毛布(土)から出たくない。まぁ人間もどうせ家に籠ってるし?
であるならば、この冬こそが雑草への反攻の大チャンス!雑草との長きにわたる戦いに幕を下ろすべく今こそ立ち上がりましょう!

雑草対策を行うのに冬は大チャンス!

冬は雑草管理に向いている!

冬は雑草の管理や非常に向いている時期だと言えます。冬に道端を歩いても春から秋に比べ雑草の少なさが直感的に感じ取れるシーズンです。地上に顔を出していないため、一見出だしができないように感じますが、冬は雑草を減らすのに最適な季節です。

■冬は雑草のオフシーズン

雑草の多くは「秋に種を落とし、春から夏に芽を出し、夏に繁茂し、秋に枯れて種を残す」という生長サイクルを持ています。このサイクルの中で冬は雑草にとってのオフシーズンだと言える時期です。
冬季の雑草は、地上部があっても非常に小さく、地中で休眠状態となっていることが多い状態です。
根は弱っており、新たな種子もまかれないこの時期は、雑草の再生能力が最も弱まるタイミングであり雑草を減らす大チャンスだと言えます。

雑草は生えてからでなく「生える前」に戦え

冬は雑草が目に映らず静かに感じますが、土の中では次の雑草シーズンへ向け機会をうかがっています。夏に見えていた雑草のほとんどは、「前年までに土に仕込まれていた種子」が春の暖かさとともに一気に出てきただけ冬に対策を怠ったことがその結果を生んでいます。
喉元を過ぎて忘れてしまう前に、ちょっとだけ先手を打てば来年の夏が劇的に変わります。

種子バンクに立ち向かえ

雑草は春になれば突然現れるわけではありません。
草の状態で土に根を張り冬を越す雑草もありますが、雑草の多くは冬の間、土の中で種子の状態で眠り続けています。そのため見えていない、けれど地中に確実にあるのです。

地中には数多の雑草の種子が眠っている。

■種子バンクとは?

「種子バンク」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?バンク(BANK)は銀行を意味する英単語で、土壌中に眠っている雑草の種子の集まりを「種子バンク」と呼びます。雑草の種子が将来の発芽に備えて貯蔵されているような状態を表現しているというわけです。
種子バンクの雑草は必ず翌年に発芽するわけではありません。何年か地中に眠り発芽する条件(地温や湿度など)を待っているものもあります。
冬季の雑草管理の鍵はこの「種子バンクをどう減らすか」だと言えます。地中の雑草の種をいかに減らせるか、その方法についていくつかご紹介していきたいと思います。

冬に行う種子バンクを減らすための対策

種子バンクを減らすことができれば、雑草の発生数は大きく変わります。もし減らす手段が取れなくても増やすことを抑制できれば、その数はいずれ減少していきます。

■冬雑草の除草:種子を増やさない

まず大事なことは種子バンクを増やさないこと、つまり種をまかせないことです。夏と比較すると数はかなり少ないものの、冬に育つ雑草「冬雑草」も存在します。
代表例としてナズナ・ハコベ・ホトケノザ・オオイヌノフグリなどがあげられますが、冬雑草は春になる花を咲かせ一斉に種をばらまきます。
まずは冬の間にこれらの雑草を確実に取り除きましょう。土ごと除去するとより確実です。

夏より成長がかなり遅いので、重労働にはなりません。

■防草シートやマルチを使い遮光する:発芽させない

地面を防草シートや黒マルチ、藁などを使い遮光することで、種子に光を当てないことも種子バンクを減らすために非常な大切な作業だと言えます。
雑草の種子が発芽させるためには大抵の場合、光と温度が必要となります。そのため、光を遮ることで多くの雑草は発芽できない状態に陥ります。
発芽できない種子は、いずれ地中で寿命を迎えることになります。種子は種類によりますが、寿命が十年以上と長いものもあるので、防草シートなどで遮光し続けられるのであれば、季節関係なく遮光し続けた方が良いです。

光が届かなければ発芽しないため防草シートは非常に有効

■掘り起こさない(不耕起・浅耕起)

冬の間は、あまり土を掘り起こさないのがオススメです。
というのも掘り起こす(かき回す)ことで地中に眠っている種子を地表に出してしまうためです。どうしても土を触る必要がある場合はできるだけ浅く、可能であれば3~5cm程度にとどめましょう。
深層の雑草種子は光がないと発芽できないため、そのまま埋めておくことで、使われないまま寿命を迎えることとなります。

■熱湯で地表近くの種子を枯らす

熱湯をかけて雑草を枯らす「熱湯除草」という手法は、冬季に限らず用いられることがあります。
しかし効果が限定的で、根まで枯らすことができないということがよく言われています。
そんな熱湯除草ですが、種子を対象とするのであれば話は変わってきます。それは根を張り地中深くまでつながっている「草」とは大きく違うためです。
草を線とすると種子は点であるため、その一点に対し攻撃をしかけることは有効な手段の一つと言えます。ただし深部には影響しない、地表から4~5cmまでの殺種効果と割り切りましょう。

有効ですが、熱湯の取り扱いには注意が必要です!

雑草を冬に発芽させ枯らす方法がある?

冬季に、雑草の種子をマルチなどを使うことで地温を温め、ムリヤリ発芽させ冬の気温を利用して枯らすという方法を耳にしたことがあるかもしれません。
冬は日照時間も短く気温も低いため、発芽しても多くの雑草は枯れることになります。そのため非常に合理的な方法と言えますが、結論としてこの方法はあまりオススメしません。

■概要とリスク

冬季に雑草対策を行う範囲に、太陽光を通しながら地温を温める「透明マルチ」を敷設します。地温が上昇することで発芽適温となった雑草の種子は、冬季であるにもかかわらず発芽し、種子内の栄養素を使い切ってしまいます。日照時間も短く気温も低いため、発芽した雑草がそのまま枯れてしまうというメカニズムです。
ただし雑草はかならず枯れるとは言い切れず、枯らしきれなかった場合には逆に早期に雑草を増やしてしまうリスクも指摘されており、管理の難しさから本記事ではあまりオススメしません。

育苗などに使う透明シートを使用し、雑草種子を発芽させます。

■手順

1. 雑草の種子がある土壌に透明マルチをかける
2. 土壌の水分と温度が保持され、雑草が“安全な環境”と判断して発芽する
3. 冬季の光不足や低温により雑草が枯死する
4. 種子バンクが減り、次のシーズンの雑草が減る

■条件が揃えば非常に効果的

冬にあえて雑草を発芽させる方法は条件が合えば非常に効果的と言えます。この方法には以下のような条件が向いているとされています。

【冬季に発芽させ枯らすための条件】
・西日本など暖地で、冬でも気温10℃以上の日がある
・透明マルチを敷設できる場所
・地中の雑草の種子の種類が、冬~春型の雑草に偏っている

特に雑草の種子の種類は非常に重要で、夏型の雑草(オヒシバ・メヒシバ・スベリヒユなど)は発芽しないため、雑草の種類を把握していないと十分な効果を得ることはできません。一般の家庭や畑で行うには難度が高く失敗リスクもあり、難易度はかなり高いと言えると思います。
また積雪下や土が凍結するような温度下でも機能しないこともあり、雑草の発芽を抑える方向で管理した方が安定して成果を得やすいです。

まとめ

春から秋の間、地上に生えている雑草を抜くことは大切な作業です。
こまめに行うことができれば光合成を阻害し、雑草の栄養を枯渇させ、いずれは根絶することができるからです。しつこいことから地獄草と呼ばれるスギナであっても、この方法で根絶できると言われています。しかし現実的に、間隔をあけず雑草を抜き続けるというのは時間的にも労力としても難しいと感じてしまうかと思います。
私も含めてですが、雑草を定期的に抜き続けるのは難しいと感じている方は、是非冬季の雑草対策として種子バンクを減らす取り組みを行ってみてください。
雑草を一度抜くことは「今」を、種子バンクを一度減らすことは「未来」を変える作業です。年単位で雑草の密度が確実に減っていくので、ぜひ焦らず、比較的暖かい日を選んで実践してみてください。

最後になりますが、全ての雑草が種子の状態で冬を越すわけではありません。
中には草の状態で冬を越すものも当然あります。本記事は雑草の多くを占める「種子状態で冬を越すものに対する対策」としてご理解いただけますと幸いです!

雑草対策カテゴリの最新記事