春まで待てない!9月10月スタートで年内に収穫できるオススメ野菜【家庭菜園】
暑すぎる夏も一段落となる9月~10月、実りの秋を迎え田畑は多くの作物でにぎわいます。
それと同時に、いくつかの野菜は「秋まき」の時期を迎え、家庭菜園での育生の楽しみも増えてきます。一方で、気温が大きく下がると植物の生育は遅くなり収穫まで時間がかかるため、収穫は来年ということも…
もちろん時間をかけじっくりと育生を楽しむのも良いですが、「収穫が待てないっ!」という方も多いと思います。
本記事では主に家庭菜園向けに、9月から10月に種をまき年内に収穫できるオススメ野菜を紹介して行きたいと思います。

9月10月は「秋まき」の時期
「秋まき」とは「植物の種を秋に撒くこと」を指します。主に9月、10月、そして11月の間の種まき対し使われる言葉で、メリハリのある四季を持つ日本の気候にあった栽培方法です。
暑い夏を抜け涼しくなった秋に種をまくことで、次のようなメリットがあります。
■秋まきのメリット
「秋まき」で作物を育てるメリットは大きく4つあります。
1. 気温が安定し、発芽しやすい気候。
2. 春~夏に比べ、雑草が出にくく育てやすい。
3. 気温が下がり、害虫の活動が減る。
4. 秋冬に作物が根を張ることで、春以降の生長が早まる。
9月に入ると気温は下がる?
しかし疑問に思うのは近年のこの異常な暑さ。個人的には、9月と言っても依然暑さは厳しく、全然涼しくならなかった印象があります。
そこで昨年(2024年)の月ごとの気温・降水量などを気象庁のWEBサイトより調べてみました。
月 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量合計 | 日照時間合計 | 台風発生件数 |
---|---|---|---|---|---|
7月 | 33.5℃ | 25.0℃ | 206.5mm | 199.6h | 2 |
8月 | 33.6℃ | 25.7℃ | 381.0mm | 189.8h | 6 |
9月 | 30.9℃ | 23.5℃ | 111.5mm | 160.8h | 8 |
10月 | 24.5℃ | 17.4℃ | 174.5mm | 111.7h | 3 |
11月 | 17.8℃ | 10.2℃ | 82.0mm | 158.1h | 4 |
12月 | 13.2℃ | 3.8℃ | 0.5mm | 233.8h | 1 |
■気温30℃を下回るのは9月下旬~10月
上の表からも分かるように9月に入っても気温30℃以上、いわゆる「真夏日」は続いています。日毎で見ると、9月は最高気温が30℃を超えたのはなんと2/3にあたる20日間。外出すること自体が危険となる「酷暑が少し和らいだ」くらいの印象でしょうか…
しかし10月にはいると気温は大きく下がり、最高気温が30℃を超えるのはわずか3日間でした。また、2024年の10月9日は最高気温が17.7℃と、同年5月以降、5カ月ぶりに20℃を下回りました。9月はまだまだ夏という感じがしますが、10月になると一気に秋を感じさせる気温になっていきます。
地球温暖化が叫ばれる現在、「秋まきに適した時期は9月下旬から」と言えるかも知れません。そう考えると、年内収穫のハードルは以前より上がっていると言えるのかもしれません…
9月10月の家庭菜園にオススメの野菜
それではここから上記のことを踏まえ、9月10月の家庭菜園にオススメの野菜を紹介して行きたいと思います。本記事では「年内での収穫」を前提としており、年内での収穫を考えた場合に特にオススメしたいのが「葉菜類」です。
■マスタードグリーン(からし菜)
【収穫目安:30~45日】
9月~10月から育て始めるのに、筆者が最もオススメする野菜は「マスタードグリーン(からし菜)」です。からし菜自体は中央アジア原産で、弥生時代から日本でも作られていたと言われています。
グリーンマスタードは「西洋由来のからし菜」を指す場合もありますが、基本的には区別はないとされています。名前の通り、その種が「からし」の原料となります。
寒冷にも強く、収穫の目安となる草丈20~30cmには30日程度で育ちます。その上、調理も手間いらず。葉はピリっとした辛風を持ち、柔らかいながらハリがあるため、サンドイッチに挟むのがオススメです。サラダ、浅漬けの材料としても人気があります。
アリルイソチオシアネートを主とする辛味成分は、殺菌作用や食欲増進の効果もある優れ野菜です。

■ルッコラ
【収穫目安:30~40日】
二つ目のオススメ野菜はルッコラ。ゴマのような香りと少しの辛味が特徴の野菜です。
ルッコラはプランター栽培にも適していることもあり、家庭菜園に最適と言えます。種まきから3~5日で発芽し、収穫目安となる草丈15~20cmには30日前後で辿り着きます。
ルッコラは弱点として霜に弱いため、12月にはいる前には収穫してしまいましょう。
間に合わないと感じたら「ベビーリーフとして楽しむ」という手もあります。種まきから20日程度経っていれば十分に収穫できる点も、育てやすい素材と言えます。
サラダもいいですが、個人的にはピザやペペロンチーノにオススメです。

■リーフレタス
【収穫目安:30~60日】
続いて紹介したいのがリーフレタスです。「使い勝手の良さ」がオススメする最大の理由です。
彩りがよく葉を一枚添えるだけでどんな料理も引き立つ、まさに助演〇優賞と言える存在です。一方でリーフレタスは、βカロテン、ビタミン C、カルシウム、カリウム、鉄分など栄養価にも優れており、体にとっても助演〇優賞にノミネートされる実力があります。
リーフレタスは生育適温が15℃~20℃と、少し涼しい気候を好みます。できれば10月に入ってからの種植えするのが良く、それで十分に年内の収穫に間に合います。

■シュンギク
【収穫目安:30~40日】
シュンギクは漢字で書くと「春菊」ですが、秋から育てることに適した植物です。秋に種をまき育てていくと春に菊に似た花が咲くので「春菊」と名付けられています。
シュンギクで思い出されるのは2020年に福岡で起こった「残留農薬」の騒動でしょうか。基準値の180倍を超える農薬が検出されニュースとなりました。(他の野菜への農薬の誤散布が原因とのこと)
シュンギクは種まきから30日程度で収穫可能となり、根本を残し収穫することで何度でも収穫可能です。最終収穫となるのは冷え込みが強くなり霜が降りる12月ごろでしょうか。
シュンギクと言えばやはり鍋料理!来たる冬に向けて土鍋と共にシュンギクの準備をしましょう。

■キャベツ(苗植え)
【収穫目安:60~80日】
普通に育てるだけの家庭菜園に飽きてきた方へ、是非挑戦していただきたいのが「キャベツの年内収穫タイムアタック」です。
多くの場合キャベツは秋に植え春に収穫を行いますが、「苗から育てる」「早生品種を選ぶ」「遅くとも9月下旬には植え付ける」という条件を満たすことで年内収穫が可能となります。
年を越してしまったからと言ってキャベツがダメになるわけではないので、特にデメリットがあるわけではありません。9月初旬~中旬はまだ虫が多い時期のため寒冷紗などでトンネルを作るのがオススメです。

じっくり育生を楽しみたい人は?
本記事では年内の収穫を目指し、なるべく早く収穫できる野菜を紹介してきましたが、時間をかけ冬を越える野菜にはその野菜にしかないメリットがあります。
■寒い冬を越えて育つ野菜の特長
秋に種をまき冬を越えて育った野菜の最大の特長は「甘くなりやすい」という点です。
代表的な野菜として白菜があげられますが、2月3月の白菜は非常に甘いことで知られています。これは、野菜自身が寒さによる凍結を防ごとして「野菜の中の水分を糖に変える」ためです。
しかし、こういったメカニズムがあっても野菜は絶対に凍らないわけではありません。寒さはデメリットとして「凍害」や「霜害」が起きやすいという一面も持ちます。

■可食部以外を楽しむのもアリ?
可食部という言い方は少し語弊があるかもしれません。毒性を持たない限りは、おそらく多くの植物はありとあらゆる部分を食べることができるからです。
今回一番に紹介したマスタードグリーンの種子は、からし(マスタード)を作る原料となります。マスタードグリーンは主に葉を食べることを楽しむ野菜ですが、それ以外の部分で別の楽しみ(からし作り)ができる植物です。
こういった形で、植物の成長段階に応じて余すことなく植物の魅力を楽しむというのも、じっくり派の方には面白いかも知れません。

参考:もやし工房「粒マスタード(カラシナ)の作り方」
https://www.moyashi-koubou.com/blog/
いかがでしたでしょうか?やはり時短、特に年内収穫を目標に育てるためには「根菜より葉菜」が結論になってくると思います。
葉物ばかりだと味気なく感じてしまうかも知れませんが、収穫する=食べることだけにこだわらず「春に花を楽しむ」というのも家庭菜園ならではの楽しみ方だと思います。
普段スーパーで食用の状態だけを見ている野菜の、美しい姿を楽しめるのも家庭菜園の醍醐味と言えるのではないでしょうか?