8月~9月は毒草の最盛期!トリカブトやドクゼリなど三大毒草の開花にも注意!

8月~9月は毒草の最盛期!トリカブトやドクゼリなど三大毒草の開花にも注意!

8月~9月は毒草の最盛期!トリカブトやドクゼリなど三大毒草の開花にも注意!

8月~9月は多くの果物や野菜が実り、最も食べる楽しみが大きいと言える季節かも知れません。しかしそんな中、実は毒草による中毒事故や毒草の発見報告数が最も多いのも「8月~10月」の間なのです。
本記事では、この時期に毒草による中毒事故が多い理由やその際の対処法。また、危険の大きい毒性植物について紹介したいと思います。
実りの秋に向け、作物だけでなく毒性植物たちも実りの時期を迎えます。

to the 実りの秋。もちろん毒草も実ります。

8月~9月に毒草事故が多い理由

厚生労働省や各都道府県の食中毒・自然毒の統計を見ても、8月~9月は1年を通し毒草の誤食や接触事故が「最も多くなる月」です。何故この時期に毒草による事故は増えるのでしょうか?それには次のような理由があります。

■多くの毒草の開花・結実期にあたる

夏から秋にかけ毒草の多くが花を咲かせ実をつけます。美しい花や実は目につきやすく、誤って触れたり、食べてしまうケースが増えます。
花や実は、受粉を行う虫を呼ぶために綺麗で香り豊かだと言いますが、惹き寄せられるのは人間も同じようです。

■野草採り・登山のシーズン

人間の活動が活発化することも、8~9月に事故が多くなる大きな要因の一つです。
夏休みなどの長期休暇により外出する機会が増え、登山やハイキング、山菜取りなど、人間と毒草が接触する機会が多くなるのがこの時期です。
毒草はほぼ一年中存在していますが、人間の行動範囲が広がることで毒草との接触が多くなり、必然的に事故の件数も増えて行きます。

■有毒果実も熟す時期

この時期はブドウや桃などの果物も美味しい時期ですが、毒草の実もよく熟す時期です。
日本三大毒草にも数えられるドクウツギの実も赤や紫など美味しそうに見える時期がちょうど8〜10月頃です。
容姿だけでなく、非常に甘い香りも放ちます。食べないまでも、実を摘んでしまう、匂いを嗅いでしまうというケースが非常に多くなっています。

ブルーベリーと言われたら信じてしまう三大毒草「ドクウツギ」

8月は日本三大毒草が開花する

特に8月は日本三大毒草(日本三大有毒植物)と言われる「トリカブト」「ドクゼリ」「ドクウツギ」がこぞって開花する時期でもあります。
これら三大毒草は、高い毒性を持つことはもちろんですが可食植物と見間違えることが多いため、毒性植物の中でも多数の被害者を出しています。

■三大毒草1:トリカブト(鳥兜)

トリカブトは山地を中心に、日本全土に生息する毒草です。
花の形が戦国武将のかぶる「兜」に似ているため「トリカブト(鳥兜)」と呼ばれています。草丈は1〜1.5mほどで、根はゴボウのような形をしています。8月~10月の間に紫色の花を咲かせます。
トリカブトは非常に強い毒性を持つ植物です。トリカブトの毒は成人であっても3~6mgで致死量に至ってしまいます。そして2025年7月現在、解毒薬はありません。中毒症状の発症後、6時間以内の死亡例が報告されています。
花を見れば見分けることができますが、その葉は「ニリンソウ」という可食植物に酷似しています。

本当に危険。解毒薬はありません。すぐに救急車を!

■三大毒草2:ドクゼリ(毒芹)

ドクゼリは沖縄を除く日本全土に分布、特に湿地に多い毒草です。河川敷や田んぼの畦にも生えていることがあります。
名前の通り、見た目が食用の「セリ」に酷似している「毒を持ったセリ」です。やはり毒性が非常に高く、0.5gの摂取で成人が死亡した例もあります。7月〜9月ごろ白い花を傘状に咲かせますが、この花もセリの花に非常によく似ています。
セリと決定的に違う点は、茎や根を切った際に断面から黄色の液体が出ます。この液体こそ猛毒である「シクトキシン」です。

こんなきれいな花が猛毒だなんて…

■三大毒草3:ドクウツギ(毒空木)

ドクウツギは、日本全土に生息する樹高1〜3mの毒性植物です。
6月〜8月の間に白、赤、ピンクと言った美しい花を咲かせます。この花は猛毒を含み、1~2輪であっても成人が中毒症状を起こしてしまうほど高い毒性を持ちます。全身に毒があるため茎や葉であっても触ることを控えるべきです。
そんなドクウツギですが、見た目があまりに美しく甘い香りを放つため、家庭菜園でも人気のある植物です。それ以外でも庭園・公園などに植えられているケースがあり、特に注意が必要な植物と言えます。

お茶に入れられるケースが多いそうですが、もちろんダメです。

三大毒草以外で8~9月に注意すべき毒草

■イヌサフラン(犬桜)

イヌサフランは9~10月に開花する毒草のひとつです。漢字では「桜」の字が用いられるほどキレイな花です。日本全土に分布します。
パエリアに使われるサフランと誤認されることがある他、美しい花のため摘んでしまうケースが後を絶ちません。毒性が最も高い部分は球根であり、10g程度が成人の致死量とされています。
「三大毒草」ではないから大したことない、なんてことは絶対にありません。間違っても口にしないようにしましょう。

頼むから毒々しい姿であってくれ…

■ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)

ヨウシュヤマゴボウも9月頃に美しい実をつける毒性植物です。北アメリカ原産ですが、今では日本各地に生息しており河川敷などに多く見られます。
7月~9月が開花時期となっており、白い小花を咲かせるとともに赤い小さな実をつけます。その実が紫色に熟した様は「美味しそう」以外に言葉がありません…
しかしこの実は「フィトラクシン」という強い毒を持っており、絶対に食べてはいけません。中毒症状が進むと、呼吸困難、心停止へとつながることもあります。

ゴボウじゃなくてブドウでしょ…どの道食べられないけど…

■バイカルハナウド

バイカルハナウドは「世界一危険な有毒植物のひとつ」と言われており、北海道大学のキャンパス内で「よく似た」毒性植物が見つかり話題になっています。
よく似た植物と書きましたが「参照できる標本が国内にないため特定できなかった」と発表されており、本当にバイカルハナウドであるかは現時点では判明しておりません。
バイカルハナウドは和名であり「ジャイアントホグウィード」という名前で世界的に知られています。
最大5.5m程度まで成長する光毒性を持つ毒草で、その樹液が皮膚に付着したまま太陽光を浴びると、傷痕が数年間にわたって残り続ける深刻な膚炎を引き起こすとされています。

人間の背丈を超える世界レベルの有毒植物

参考:北海道大学「毒性の疑いのある植物の生育について」
https://www.hokudai.ac.jp/news/2025/06/post-1943.html

毒草を食べてしまった!中毒時の対応は?

自分が中毒となってしまった場合、おそらく痙攣や呼吸困難により冷静に対処を行うことは不可能だと思います。他の誰かが毒草を摂取してしまった際、適切な対応ができるように覚えておきましょう。

■とにかく吐き出す!次に大量の水!

まず可能な限り吐き出させる努力をしましょう。ほんの少しでも構いません。0.1mgが生死を分ける可能性もあります。次に大量の水を飲みましょう、牛乳やお茶でも結構です。毒の吸収を少しでも遅らせましょう。水とともに体外へ吐き出せると尚良いです。

■すぐに病院へ!迷わず救急車!

迷わずに救急車を呼んでください!少し様子を見ようなどと考えてはいけません。
特にトリカブトでは、食後10~20以内に発症、死亡事例として発症後6時間以内であることが確認されています。早急に胃を洗浄する必要があります。

参考:食品安全委員会「ハザード概要シート(トリカブト類)」
https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/kosyoku_3.pdf

■食べた植物を保管する。写真を撮る。

医師に中毒の原因、何を摂取したかを正確に伝える必要があります。現物がその場になければ吐き出した破片でも結構です。口頭で説明するより、実物を見せることが一番の手助けになります。

身近にも危険な植物が!

毒草の多くは高山に生息していますが、実は身近なところ、道端や庭先にも咲いている毒性植物があります。もしかしたら日頃から何気なく目にしている植物かも知れません。
大人であれば道端の花を口にするということはあまりないと思いますが、小さな子供やペットは直接食べないまでも、毒草に触った手を舐めてしまうなど危険が及ぶ可能性も少なくありません。
身近にひそむ有毒植物…以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

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