親子で夏バテ予防!熱中症対策の野菜と果物5選
近年は初夏から気温の上昇が著しく、早い時期から熱中症の対策が必須となっています。暑さ対策はもちろんのこと、家族で夏を元気に過ごすには食事も肝心です! この記事では、熱中症予防・夏バテ対策に有効な野菜と果物について紹介します。

なぜ夏は体が疲れやすいの?
冬の寒さもつらいですが、「寒くて疲れる・バテる」と感じることは少ないですよね。では、なぜ夏は特に疲れやすいのでしょうか?
大きな原因はこの3つ!
①汗をかくから
②強い光と紫外線をたくさん浴びるから
③外と室内の寒暖差が大きいから
①汗をかくから
暑さを感じると、体は体温を下げるために汗をかきます。このとき、自律神経がフル稼働し、交感神経と副交感神経の切り替えを頻繁に行います。
これには大量のエネルギーが必要で、体力を消耗する原因になります。つまり、汗をかくことで「だるさ」や「疲れ」を感じやすくなるのです。
● ミネラル(電解質)の喪失
汗にはナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムなど、体に必要なミネラルが含まれています。これらが失われると電解質バランスが崩れ、以下のような症状が出やすくなります。
・倦怠感(だるさ)
・筋肉のけいれん(こむら返り)
・めまい、頭痛、集中力低下
特にナトリウム不足(低ナトリウム血症)は熱中症の原因にもなります。
● 血液中の水分が減ると酸素の運搬能力も低下
汗で水分が失われると血液がドロドロになります。すると…
・血流が悪化
・酸素や栄養素の運搬効率が低下
・乳酸などの疲労物質が排出されにくくなる
結果、全身がが酸欠気味になり、だるさや疲労感が増していきます。

②強い光と紫外線をたくさん浴びるから
紫外線を浴びると、体は活性酸素(酸化ストレス)を生成し、細胞や組織のダメージにつながります。その防御・修復にビタミンCやEなどの栄養素を消費するため、体力を使ってしまうのです。
●「目」への紫外線ダメージも疲労の一因
目(角膜)は紫外線にとても敏感。紫外線を浴びすぎると…
・角膜炎(紫外線角膜炎)
・目の炎症・充血・痛み
・自律神経の乱れ(目のストレスが脳へ伝わる)
このような影響で、目の疲れだけでなく、全身の疲労感・頭痛・吐き気を感じることも。特に海辺などでの日焼け後の「だるさ」は、目からの紫外線ダメージも関係しています。

③外と室内の寒暖差が大きいから
外の暑さと、冷房で冷えた室内。この気温差が7℃以上あると、体は温度変化に対応しようとして、自律神経のバランスが乱れがちになります。
その結果、
・エネルギーの消耗が増える
・血流が悪化し、疲労物質が蓄積
といった悪循環が起き、疲れを感じやすくなります。

◆夏バテや熱中症を防ぐには?
誰でも夏は疲れやすく、熱中症のリスクも高まります。だからこそ、日頃から体調を整えておくことが大切。栄養・水分・休養を意識して、暑さに負けない体づくりをしましょう!
参考:環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020」
https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf
参考:りずみんの健康管理コラム
https://kentei.healthcare/column/2107/
参考:日本成人病予防協会
https://www.japa.org/tips/temperature_difference_fatigue/
熱中症・夏バテ対策におすすめの野菜・果物5選
熱中症や夏バテの主な原因は「水分不足」「栄養素の不足」「暑さによる消耗」。
これらを助けてくれる、おすすめの食材を5つ紹介します!
①トマト(リコピン・水分補給)
赤くて甘酸っぱいトマトは、水分たっぷりでミネラルも含む優秀野菜。
赤い色の元である「リコピン」には強力な抗酸化・抗炎症作用があり、紫外線によるダメージの軽減に役立ちます。
さらに、トマトの甘酸っぱさのもとは「クエン酸」。
クエン酸は、筋肉疲労の原因である「乳酸」や「リン酸」の蓄積を抑え、エネルギー源である「グリコーゲン」の再合成をサポートします。
◆トマトは「油と一緒に」がポイント!
リコピンは脂溶性なので、油と一緒にとると吸収率がアップします。
【温かくて簡単】
加熱調理したトマトはジューシーで甘味・旨味が強く感じられとても美味しいです!
・プチトマトにオリーブオイルをかけてオーブン焼き
・スライスした大玉トマトをフライパンで焼き、オリーブオイルと岩塩をひとふり
【冷たく手軽に】
・モッツァレラチーズ、オリーブオイル、塩で「カプレーゼ」
・トマトジュースに塩とオリーブオイルを加え「ガスパチョ風」
※タバスコを加えるとピリッとアクセントに!

参考:厚生労働省「クエン酸」
https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/001028169.pdf
参考:北海道薬剤師会
https://www.doyaku.or.jp/guidance/data/12.pdf
②キュウリ(クールダウン効果)
「キュウリは体を冷やす」とよく言いますが、これはキュウリが水分と利尿作用のある「カリウム」を含み、尿と一緒に熱を放出するためと考えられます。
ただし、カリウムと一緒に塩分も排出されるため、汗で塩分が失われているときは“塩分補給”をセットにしましょう。
◆キュウリ+塩分=ナチュラルなスポドリ!
・キュウリと味噌を一緒に食べる
・キュウリの浅漬け(一本漬けなど)
ナトリウム+水分+カリウムが一度にとれるので、軽い熱中症対策になります。
※ただし、本格的な脱水時は経口補水液を!

③ゴーヤー(ビタミンC)
夏野菜の代表・ゴーヤーは、水分・カリウムに加えて、疲労回復に効果的なビタミンCも豊富。
しかも、ゴーヤーのビタミンCは一般的な野菜よりも加熱による損失に強いため、調理しても栄養をしっかりキープできます。
さらに、苦み成分「モモルデシン」には胃液の分泌を促す作用があり、夏バテによる食欲不振にも効果的◎
◆苦みが苦手なら、冷たくさっぱりと!
炒め物も美味しいですが、苦みがちょっと苦手…という方は、甘酸っぱくすれば美味しく食べられるかも?
【ゴーヤーの酢の物】
①ゴーヤーを縦半分に切り、ワタを取って薄切りにする
② 酢2:しょうゆ1:砂糖1弱の割合の付け汁を作る
③ジッパー付きビニール袋に①,②をいれてもみ、2時間ほど置く
ほろ苦く甘酸っぱい味です!お酢をレモン汁に、砂糖をメープルシロップに代えても爽やかでおいしくいただけます。

④モロヘイヤ(ネバネバ系で夏バテ予防)
日本では少しマイナーですが、暑いエジプトや中東では超定番の“夏野菜”。
アラビア語では「ムルーヒーヤー(ملوخية)」=「王様の野菜」とも呼ばれています。
ネバネバ成分は胃にやさしく、夏バテで弱った体をサポート。
また、βカロテンはニンジンより豊富!さらにカルシウム・ビタミンB2・食物繊維もトップクラスです。
※モロヘイヤは食物繊維が多いため、胃腸の調子に合わせて量を調整しましょう。
◆さっぱり×栄養満点レシピ
・醤油やポン酢と合わせて、「おひたし」に
・わかめ&三杯酢と合わせて「酢の物」に
・トマト&白だしと合わせて「和え物」に

参考:文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06293_7
⑤梅干し
「梅って果物なのにおかずになるって珍しいよなあ…」と一瞬思いますが、それはさておき──
梅干しは、汗で失われる“ナトリウム”と、疲労回復に効果的な“クエン酸”がたっぷり! さらに、酸味によって唾液・胃液の分泌が促され、消化もスムーズに。
◆ 梅干しは“朝ごはん”に取り入れて!
朝ごはんに梅干し+水分補給をセットにすると、
・水分の吸収がスムーズに
・クエン酸で疲労回復&代謝アップ
夏場の朝にぴったりの、シンプルだけど効果的な一品です。

補足:梅干しに含まれるナトリウム量は製品差があります。体が小さな子どもが食べる場合には、塩分量に注意してください。
子どもも食べやすい!簡単レシピ&アレンジ
夏野菜や果物はそのままだと苦手…という子どももいますよね。そこで、親子で楽しめるひんやり・甘め・食べやすい工夫をご紹介!
【トマトゼリー】
プチトマトを半分に切り、コンソメスープで作ったゼリー液に入れて冷やすだけ。ほんのり甘くて、おやつ感覚でパクパク食べられます!ヤングコーンやオクラなど、食感の違う野菜を一口大に切っていれてもOK!

【 モロヘイヤのおひたし】
さっと茹でて刻み、かつおぶし+ポン酢で冷やして出せば、ネバネバも気にならない!
【 ベリーのスムージー 】
スーパーなどで売っている冷凍ベリーとヨーグルトをミキサーに入れるだけ。水分・エネルギー・カリウムが一度にとれて◎。お好みで砂糖やハチミツで甘味を加えてもOK!

【 スイカのシェイク 】
タイでは「テンモーパン」(แตงโมปั่น)と呼ばれる、定番のスイカシェイク!スイカ、氷、グラニュー糖をミキサーにかけるだけ!分量はお好みですが、スイカ250gに対して氷100gくらいが目安です。グラニュー糖はスイカの甘さに合わせてお好みで。
スイカだけシェイクにすればいいのでは?と思いそうですが、やってみると意外とモサモサした喉ごしになってしまうので、氷はマストです!

農家さん直伝!鮮度の良い野菜と果物の選び方・保存法
夏場は野菜も傷みやすい季節。農家目線で「選び方のコツ」「保存の工夫」を押さえておきましょう。
①トマト
ヘタが青々としていて、実がムラなく赤いもの。形は「肩」にハリがあるものを。また、トマトのおしりに「スターマーク」という白い放射状の線が見えているものがおすすめです。スターマークはトマトの実に水分・栄養分を送る管が集まっている所で、水分が抑えられると浮き出てくるため、甘味や味が凝縮している目印になります。

② キュウリ
緑色が濃く、表面のイボがチクチク、しっかりしているものが新鮮! キュウリは濡れると傷みが早いため、水気をふき取り冷蔵庫で立てて保管してください。乾燥や冷気に直接当たらないよう、キッチンペーパーに包むとより長持ちします。

③ ゴーヤー
ずっしりと重く色が濃く、イボイボが小さく固い物が味が凝縮されて良いゴーヤーです。反対に、イボイボが大ぶりなものは若干苦み(味)が少ないことが多いです。

③ モロヘイヤ
他の葉物とあまり変わりませんが、葉の色が濃くピンとしているもの(萎れていない)、茎は細いものが筋が少なく食べやすいです。

まとめ:夏の食卓に、野菜と果物の力を!
熱中症・夏バテ予防には、水分+ミネラル+ビタミンがとても大切。
旬の野菜や果物を取り入れれば、栄養もとれて、体も冷やせて一石二鳥です。
子どもも食べやすいアレンジを加えて、楽しく・おいしく・涼しく夏を乗り越えましょう!