アイガモ農法に必須!子ガモを守る防獣ネットの活用法

アイガモ農法に必須!子ガモを守る防獣ネットの活用法

アイガモ農法に必須!子ガモを守る防獣ネットの活用法

田んぼに癒しと活力を!ヒナが主役のアイガモ農法を支える防獣対策
春から夏にかけて、かわいいカモの親子が道路を歩く光景がニュースで話題になりますよね。そんなカモと近い「アイガモ」のヒナを農業に活用するのが「アイガモ農法」。田んぼをちょこちょこ泳ぎながら、草や虫を食べてくれるヒナたちは、頼もしい農業パートナーです。
しかし、ヒナはとても小さく、野生動物に狙われやすい存在でもあります。この記事では、アイガモ農法に欠かせない「ヒナを守る対策」について、アイガモの特徴や農法の流れとともにご紹介します。

そのままディズニーキャラクターになれそうな可愛らしさです。

アイガモってどんな鳥?

「アイガモ」とは、野生のマガモと家畜のアヒルを掛け合わせた交配種です。特徴は「小さくて飛べない」こと
体が小さなマガモの機動力と、飛べないアヒルの人懐っこさを併せ持ち、田んぼの中で逃げずに活動してくれるため、農作業にもぴったりなんです。
ちなみにアヒルもマガモをもとに品種改良された鳥で、生物学的にはマガモと同種。そのため、野生のマガモとアヒルが交雑することもあります。

アイガモ農法とは?

アイガモ農法は、水田にアイガモを放ち、雑草や害虫を食べてもらいながら稲を育てる有機農法です。農薬を使わない、または使用量を減らすことができ、経済的にも環境にもやさしい方法として注目されています。

■メリット

・雑草・害虫を自然に除去
・泳ぐことで水田が攪拌され、酸素を補給・土がやわらかくなり根張りが良くなる
・フンが肥料代わりになる
・飼育後は食肉として販売できるため、副収入にも

■デメリットと注意点

・飼育に手間がかかる(温度管理やエサやりが必要)
・大きくなった雑草は食べないため、導入タイミングが重要
・アイガモが逃げないように、また野生動物からの捕食を防ぐための柵や防獣ネットが必要

ちなみに、「毎年新しいヒナが必要なの?」と思う方もいるかもしれません。
答えは「YES」。というのも、稲の苗がまだ小さい段階でアイガモを放す必要があり、大人のカモだと踏み荒らしてしまうためです。

稲が大きく育つ頃、アイガモも一緒に大きくなります。

アイガモを迎える準備

アイガモのヒナは生まれて間もなく、か弱い生き物です。田んぼで働いてもらう前に、まずは元気に育ててあげましょう。 アイガモの数は目安として10アール(田んぼ一反)に対して15~20匹程度必要とされています。

生まれてすぐは特に繊細。弱っている個体がいないか目を配りましょう。

■ヒナに必要なもの

・落ち着いて過ごせる場所
ヒナは生まれてすぐ泳げるわけではありません。そのため雨風をしのげる陸地での飼育が必要です。小さいうちは様子がよくわかるよう、室内での飼育がおすすめです。また、アイガモはトイレを覚えないため、床材を変えやすい形状にしておきましょう。

・生後一週間程度はエサを切らさない
アイガモのヒナは孵化して1日後ごろからエサを食べ始めます。小さく刻んだ野菜や穀物をいつでも食べられる状態にしておくとよいです。新鮮な水も必要ですが、器をひっくり返さないように安定感のあるものを選びましょう。

・身体を冷やさない設備
本来であればそばで体を温めてくれる親鳥がいません。そのためペットヒーター(ヒヨコ電球)などで体を温められるようにしておきましょう。ペットショップやインターネット販売で手に入れることができます。
※熱を発生させる装置のため、火災にはご注意ください!

参考:農林水産省「なぜ田んぼにアイガモを入れるのですか。」
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0107/08.html

アイガモ農法のスケジュール

アイガモを田んぼで活躍させる時期は、稲の成長に合わせます。これは地域や稲の品種によって異なります。

①育雛(いくすう)期間

アイガモのヒナは生後2~3週までは田んぼに放ちません。
生まれてすぐのヒナは体温調節能力が低く、水に浮かばないのです。カモは羽に油分をまとうことで水をはじいて浮力を得ています。本来は親鳥と触れ合うことで油分をまとうことができますが、親鳥と離れたアイガモのヒナは、自分で油分を出せるようになるまでは水に浮くことができません。
アイガモは尾にある「尾脂腺(びしせん)」から出る油分、を羽づくろい(毛のある動物でいう毛づくろい)で全身にいきわたらせます。このようなしぐさが見られる生後3日後ごろから、徐々に水に慣れさせていきましょう。

②田んぼデビュー

育雛(いくすう)期間を終えた生後2~3週間のアイガモを、田植え後1~2週間の田んぼに放ちます。初めのうちは個体によって、体が冷えて動かなくなったり、草などに引っ掛かってしまうものもいるので様子を見てあげる必要があります。弱ってしまったヒナは、温めて休ませるなどして回復を待ちましょう。

③稲の出穂まで

稲の育成の間はアイガモを朝~日中に田んぼに放ち、夕方は小屋に帰しましょう。夜間は野生動物の被害が多くなるため安全な柵や小屋のなかで飼育します。

④稲が出穂したら

田植えから2カ月ほど、稲が出穂するとアイガモの田んぼでの役割は終わります。アイガモが稲穂を食べてしまうためです。
一般的にはその後食肉として出荷します。すぐに出荷する場合もありますが、肉質をよくなるよう配合したエサを与え、肉付きが良くなるまで数カ月飼育することもあります。

食肉以外の利用

アイガモは食肉としての利用のほか、卵も美味しく利用することができます。卵をとるために飼育することも可能です。

■卵の食べ方

生食は避けた方が良いですが、基本的には鶏卵と同じです。味もそれほど違いはありませんが、白身に弾力があり黄身の味が濃いため、お菓子作りに向いているという声もあります。殻が固くてちょっと割りにくいですが、ほぼほぼふつうに「卵だな~」という味です。

■アイガモの卵は栄養豊富!

わたしたちが普段食べている鶏卵も栄養が豊富な食材ですが、カモの卵はより栄養価が高いとされています。ビタミンB12をはじめとしたビタミンB群、鉄分、亜鉛、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。

アイガモを狙う動物

アイガモ農法のスケジュールを記しましたが、他に気を付けるべき重要なポイントが一つ。それは、野生動物からアイガモを守ること!!
特に小さなヒナのうちはアイガモを狙う動物が空から陸から、四方八方やってきます。

■カラス、トンビなどの鳥

田んぼにヒナを放つ時間帯、上空からヒナを狙って飛んできます。特に稲が小さいうちは田んぼがスカスカのため、上からは狙い放題です。

鳥同士ですが容赦はありません。

■ネコ

人が暮らす場所にはネコがいるものです。最近は室内飼いも増えてきましたが、道端でくつろぐ姿もよく目にしますよね。人間には可愛いネコチャンも鳥のヒナを目にすれば恐ろしいハンターです。夜間だけでなく日中も注意が必要です。

猫はネコ科の中でも狩りの成功率が50%と高く、チーターに次ぐハンターです。丁重にお引き取り願いましょう。

■タヌキ、キツネ、イタチなど

主に夜間にヒナを狙ってやってきます。キツネは穴掘りが得意なほか、イタチは数センチの隙間から侵入してくるため対策が必要です。

タヌキは穴掘りが苦手で、キツネが掘った穴を覗いたりしているらしいです。

アイガモを守るには

アイガモを守るには、とにかく野生動物の侵入を防ぐこと!
アイガモが動物に食べられてしまうことは悲しいですし、野鳥との接触は病気にかかるリスクになります。

■鳥類向けの対策

ヒナを捕食しようとするカラス、トンビなどの侵入を防ぐ方法として、「ひもを張る」「防鳥網」があります。また、野生のマガモなどはアイガモと交雑できるため、近づいてくる場合があります。

●格子状に黒のテグスを張る

鳥類は飛んでいるときに翼に障害物が当たるのを嫌います。翼を広げた際の大きさはカラスで1m、トンビで1.6mほど。視認性の悪いテグスを張ることで、鳥が気が付かずに侵入を試みたときに翼に当たります。すると、学習能力の高いカラスやトンビは「また翼になにか当たるかも…」と嫌がるようになります。

杭の打ち方は後述の防獣ネットをチェック!

テグスの色は景色に同化しやすい黒色がおすすめです。ただし、テグスは細くたわみが出やすいため、ハウスバンドを数か所張って補強するとよいです。

ハウスバンドの中でもおすすめは、なめらかで高品質・多用途の「シンエース」!

<シンエースについての詳しい記事はこちら>
【5芯の高強度】強力ハウスバンド「シンエース」が強風からハウスを守る!
https://tokyotobari.co.jp/tobari-net/2025/04/11/post-2144/

●防鳥網を張る

防鳥網を張ることで、より強力に鳥の侵入を防ぐことができます。また、アイガモが田んぼからいなくなった後、稲穂が野鳥に食べられないよう防ぐのにも有効です。 鳥類によるコメの食害はスズメ、マガモなど小型の鳥が多いためひもを張る対策では防ぐことが難しいです。一度に対策をしたい場合は、防鳥網がおすすめです!

<防鳥網についての詳しい記事はこちら>
農業ネットのパイオニアが「防鳥ネットの張り方」を解説!
https://tokyotobari.co.jp/tobari-net/2024/12/13/post-96/

■動物向けの対策

タヌキ、イタチ、キツネ、ネコなどの動物の侵入を防ぐには柵とネットを張ることが有効です。鳥よけのテグス・ネットを張る際にも支柱が必要のため、併用して対策しましょう!

かわいくても…ダメー!

●防獣ネットを張る

防獣ネットは獣の爪や牙で破られないこと、キツネなどの穴掘りが得意な動物に潜られない対策ができるかがポイントです。

防獣ネットは鳥よけの支柱と併用で良いので、1~2m間隔の杭に張って対策しましょう。高さは60cm程度を目安に、20cm程度は裾を広げて垂らします。

●アイガモを逃がさない

防獣ネットは野生動物の侵入を防ぐと同時に、アイガモを逃がさないためにも必須の対策です。アイガモは家畜のため飛ぶことができず、逃げた場合は自力で生き抜くことは難しい鳥です。
また、マガモと近い種類で交雑してしまうため、生態系にも影響を及ぼしてしまいます。アイガモはもちろん、アイガモの性質を受け継いだカモは人を恐れないなどの家畜の特徴が現れることがあり、野生で生き抜くことを難しくなってしまいます。
アイガモ、マガモのためにも、絶対に外に逃がさないように対策をしましょう。

アイガモを守るネットなどの対策は、資材があれば自分で設置することができます。しかし、状況によってどんなネットを選ぶべきか?必要な大きさは?などお悩みがあればぜひ、東京戸張までご相談ください♪

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