【2025年版】鳥獣の被害額ランキングTOP5

【2025年版】鳥獣の被害額ランキングTOP5

【2025年版】鳥獣の被害額ランキングTOP5

令和5年度の全国の野生鳥獣による農作物への総被害額は、農林水産省の発表によると、およそ163億6千万円と発表されており、前年(令和4年)に対し+8億円程度被害は増しています。13~14年前と比較すると被害額は2/3程度に減少しているものの、ここ数年、特に令和に入ってから横ばいの状態となっており、大きな増加はないものの令和5年度は、令和に入り最大の総被害額となりました。
今回は農作物にとってどのような鳥獣の被害が大きいか、農林水産省発表の資料をもとに紹介していきたいと思います。

農作物への被害が大きい動物は?

参考:農林水産省 全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和5年度)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/hogai_zyoukyou/index.html

第一位 シカ(鹿)

まず農作物被害額の第一位となったのはシカです。実はシカは現在農林水産省より発表されている平成22年~令和5年の14年間、毎年被害額1位となっている動物です。令和5年度では全163億の被害のうち約70億円がシカによる被害で実に全体の40%を占めます。

地域別に見てみると被害地域は圧倒的に「北海道」が多く、全国のシカによる農作物の被害の70%以上(約51億円)が北海道で発生しています。その他の地域では、沖縄を除き、一様に被害が発生していますが、近年では福井県での被害増加しています。

第一位はシカ。北海道での被害が圧倒的に多い。

私は山梨県の某田舎町の出身ですが、時期にもよりますが里帰りするとそこそこの確率で車道でシカに遭遇します。シカの親子が横断歩道を行儀よく渡っているような一見微笑ましい光景にも遭遇したことがありますが、地元の友人や家族の話を聞くと、シカが車道を塞ぎ事故になった、シカが車に突っ込んできて車体が中破したと言った話を当たり前のように耳にします。
シカは人間への警戒が薄いためか人間をあまり恐れず、農作物以外にも、生活への被害をもたらすことが少なくないようです。

第二位 イノシシ(猪)

次に第二位となるのはイノシシです。平成の間は第一位のシカに迫る大きな被害を出していましたが、令和5年度では被害額36億円と10年前に比べ55~60%まで被害が減ってきています。それでも鳥獣全体で見た時に全体の22%を占める大きな被害を出しています。

地域別でみると中国・四国・九州地方に特に多く、逆にシカが猛威をふるった北海道では目立った被害が出ていません。これはイノシシが寒い地方に生息せず、分布が関東~西日本に偏っているためだと考えられます。ただ近年では暖冬による少雪の影響もあり生息可能域が北上しており、より北に所在する都道府県でも農業被害が発生しているようです。

イノシシは雑食で基本的に何でも食べます。野生の作物が少ない冬は人里に出没し植物の根や塊茎を食べる割合が増えることが報告されています。

第二位はイノシシ。瀬戸内海を渡る姿も目撃されている。

参考:イノシシの分布(農林水産高度化事業)
https://www.naro.affrc.go.jp/org/narc/chougai/ino-HP/ino-eco.htm

第三位 カラス(烏)

第三位には鳥類である「カラス」がランクインしています。全国での令和5年度の総被害額は13.3億円となり、10億円超の被害額が発表されている鳥獣は1位2位のシカ・イノシシと、このカラスの3種のみとなります。鳥類全体での年間被害額が23.8億円程度なので、鳥類の被害の半分以上がカラスによる被害ということになります。

地域別にみると、全国に広くほぼ均等に被害が発生していますが、中でも関東は少し被害額が大きいようです。ゴミ捨て場が荒らされている光景もよく目にしますが、カラスはとにかく雑食、そして頭がよく学習能力が高い鳥として知らています。全国に一様に分布しており、人間をおそれず市街地をも住処としている点が、被害を大きくしている要因だと考えられます。また鳥インフルエンザを広める媒介となっているという説もあり、かなり身近な存在ながら注意の必要が大きい鳥だと言えるかもしれません。

第三位カラス。市街地をも住処とする鳥代表。

第四位 クマ(熊)

クマの農作物への被害額は令和5年度で約7.5億円で第四位となっております。クマによる被害の主となるものは「果樹・飼料作物」のようです。果樹の中でも特に柿、栗、リンゴの被害が多く、果物は価格が高いため被害額が大きくなる傾向にあります。飼料作物として被害が大きい作物としてトウモロコシ(デントコーン)があげられます。

参考:WWFジャパン クマによる被害
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/2406.html

クマは決して日本全国に生息する動物ではありませんが、近年では他の動物と同様に人里におりてきているという話を多く聞きます。
また筆者の田舎の話で大変恐縮ですが、正月に帰省した際、窓の外を見たらボイラー(圧力容器を使い温水や蒸気をつくる装置)の横でクマが暖をとっていた、という耳を疑うような話を耳にしました。しかし今思えばクマ(ツキノワグマ)の生息域に山梨県はしっかりはいっており、山にはクマ出没注意の看板が20年以上前からありました。こういった話がでてくるのも時間の問題だったのかもしれません。

第四位はクマ。農作物以外の被害にも特に注意が必要。

第五位 サル(猿)

第五位はサルで令和5年度の年間の被害額はおよそ7.1億円です。被害の多くは関東地方以西に見られますが、北海道・沖縄では発生しておりません。これには上位の動物同様にサルの生息域が大きく影響しており、1960年には種子島のニホンザルが絶滅したことが発表されています。

サル被害の大きい作物としては果樹が多く、またシイタケやタケノコなどの被害も多くみられます。サルの繁殖は栄養状態が大きく影響するとされており、人間の作物を頻繁に襲う地域では特に強い繁殖が見られます。サルは特徴として「学習能力が高い」こと「群れで行動する」ことが知られています。過去に危機を感じた場所や相手に対しては警戒を強め、そうでない場所・モノに対しては集団で訪れ作物を荒らして行きます。この習性を利用した対策が功を奏し10年前と比較しサル被害は1/2以下になるまで減少してきています。

第五位サル。人間社会に身近な存在になりつつある?

参考:鳥獣被害対策.com サルの生態・被害の状況・対策
https://www.choujuhigai.com/c/description/description-monkey

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