【徹底追究】イチゴ・バナナは野菜なのか?
多くの方はおそらく「イチゴが野菜である」という噂の真偽を確かめるべく、このページを訪れたと思います。筆者も子供の頃「フルーツバスケット」という名の遊技の中で「スイカは野菜でしたー」という理不尽すぎる仕様に泣かされ続けていました。もう二度と同じ子ども達を生み出さない為にも、イチゴは野菜論争に決着をつける時が来ました。

果物と野菜の定義
イチゴの話に入る前に、果物と野菜の定義をそれぞれハッキリさせる必要があります。
農林水産省の運営するWEBマガジン「aff(あふ)」の中で、果物と野菜の分類について次のように書かれています。
『園芸学では、木の実(木本性)は果物(果樹)、草の実(草本性)は野菜と分類します。』
それぞれ、木本性(もくほんせい)、草本性(そうほんせい)と読みます。早い話「木になれば果物、草になれば野菜」ということです。確かに身近な作物を考えると、リンゴ(果物)=木になる、ミカン(果物)=木になる、キュウリ(野菜)=草になる、ピーマン(野菜)=草になる、と非常に分かりやすい分類と言えると思います。


参考:農林水産省 WEBマガジン aff
いちごのあれこれ豆知識
イチゴは本当に野菜なのか?
木になれば果物、草になれば野菜、こんなにハッキリした定義がある以上、多くを語る必要はないかも知れません。とにかくイチゴがどのようになっているかを見てみましょう。

イチゴ狩りの経験がある方は簡単に思い出せたかもしれません。イチゴは草になるのです。つまりイチゴは野菜ということになります。事実、農林水産省のWEBマガジンにも「イチゴは作物の統計調査で野菜に含まれる」と書かれています。
イチゴはネーミングから草本性(野菜)
イチゴに関しては、字面からも圧倒的に野菜です。
漢字表記では「苺」と草冠がついており、草本性である=野菜である事実を免れようがありません。木になるのであれば「木へんに母」と書くべきですが「栂」はマツ科の常緑高木「つが」に取られてしまっています。
さらにイチゴは英語ではご存知の通り「strawberry」です。まず「berry」は「小さい実」という意味で、固い実の「nuts」に対し、柔らかい実をあらわす言葉です。
問題の「straw」ですが「藁(わら)」という意味の単語です。イチゴのつる(ランナー)が藁に似ていることから「藁になる実」という意味で「strawberry」と名付けられたとする説があります。田んぼに目を向ければ藁が草であることは一目瞭然です。
※諸説あります。
余談ですがジュースを飲むときに使用するストローも同じ「straw」が語源となっています。藁は茎の中が空洞となる草なので構造が同じことからストローと名付けられました。
バナナまでもが野菜だと言うのか?
バナナまでもが野菜だと言うなら、もはや何も信じられなくなりそうですが、残念なことにバナナは定義上「野菜」に分類されてしまいます。百聞は一見に如かず、とはいかないのですが、まずは写真を見ていただきましょう。

これは…木になっている??
非常に分かりづらいですが、私を含め多くの人が木だと感じるであろうこの直立する太い幹……実は「葉っぱ」だそうです。このことはwikipediaに、以下のように書かれています。
『「バナナの木」と言われるように、高さ数メートルになるが、実際には草本であり、その意味では園芸学上果物ではなく野菜に分類される。その高く伸びた茎のような部分は偽茎と呼ばれ、実際には、葉鞘が幾重にも重なりあっているものであり、いわば、たまねぎの球根を引き延ばしたようなものである。茎は地下にあって短く横に這う。茎のような先端からは、長楕円形の葉が大きく伸びる。』
バナナの木とは、いわば玉ねぎの球根。未だ受け入れがたいですが、バナナは野菜だったのです。
参考:wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%8A%E3%83%8A
その他の果物と思われがちな野菜【果実的野菜】
少し感覚的な話になってしまいますが「消費者の多くが果物として認識しているが、野菜に分類されるもの」を農林水産省では「果実的野菜」と呼び、分類しているそうです。果実的野菜の代表格としては、冒頭でも登場したスイカ、同じウリ科のメロンなどがあります。本記事で紹介したイチゴやバナナも果実的野菜ですし、有名どころではパイナップルなどが該当します。

逆にトマトを果物とする国もある
日本では「トマトは野菜」の分類です。しかしフランスや台湾、韓国などではトマトを果物として扱っているそうです。このことから、あくまで今回の記事は「日本農水省の園芸学に基づいた分類」と考えていただけると良いと思います。

また1893年、アメリカではなんと「トマトが野菜か?果物か?」で裁判が行われています。
なぜこのような裁判を行う必要があったのか?理由は野菜と果物で関税にかかる税率が異なったためです。このことから裁判が勃発するまでに至りましたが。アメリカ最高裁の下した判決は「トマトは野菜」でした。
この裁判は『ニックス・ヘデン裁判』と呼ばれています。本記事からはかなり脱線した内容となってしまうため興味のある方は『ニックス・ヘデン裁判』で検索してみてください。