【春の育苗】トマト、キュウリ、水稲も!元気な苗は保温がカギ!
果樹以外の多くの作物は毎年、種から育てますよね。種をまいて目を出させるまでの方法は、大きく「直播(ちょくは)」と「育苗(いくびょう)」の2つの方法があります。どちらも水稲の栽培に多く使われる言葉ですが、ピーマン、ナス、トマト、ブロッコリー、スイカ、キャベツ、カボチャ、ニラ等々…ほとんどの野菜にとっても重要なスタート地点です。どちらの方法にもメリット・デメリットがありますが、この記事では「育苗」、その中でも保温シートについて詳しく紹介します!
「直播」と「育苗」
「直播」とは?
読んで字のごとく、圃場に種を直接播くことです。
育苗の場合にかかる作業や移植の必要がなく、水稲では春作業が2割ほど削減できるメリットがあります。ただし、出芽・苗立ちの不安定性等から育苗・移植の場合に比べ収量は約1割低下したというデメリットがあります。これは圃場に直接種を播くことで、生育が悪い苗もスペース・養分を使うためで、収量への影響はトマトなど他の果菜類にも同様のことが言えます。
参考:農林水産省「水稲の直播栽培について」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/zikamaki/z_genzyo/pdf/zikamaki_zyoukyou_25.pdf
参考:「第1報直播栽培がトマトの生育と収量に及ぼす影響 – 千葉県」
https://www.pref.chiba.lg.jp/lab-nourin/nourin/kenkyuuhoukoku/documents/carc01_p035_046.pdf
「育苗」とは?
種を育苗箱などの容器で発芽させて苗を育てることです。育てた苗から、生育の良いものを圃場に移植して栽培します。メリットは、生育の悪い苗にスペースを割かないため収量・品質が安定します。デメリットは、育苗と移植が必要のため、春作業が多く労働負担がかかる点と、育苗の資材が必要な点です。
しかし、「苗の出来によって作柄の半分が決まる」という意味の、「苗半作」という言葉があるほど、苗を元気に育てることはその後の生育に重要なのです。
育苗のポイント ~病気の予防は土から~
土選びは栽培品目によりますが、基本的には保水性、排水性、通気性に優れた団粒構造の土がよいほか、種を播いた場所によって差が出ないよう、均一な土であることも重要です。連作に用いた土は害虫や病原菌がいる恐れがあるため避けたいですが、育苗のための土づくりや消毒作業は多くの作業コストを必要とします。その場合は市販野菜育苗床土をベースにするなど、作業と金額の両コストのバランスをとりましょう。
土壌から病害の伝染の恐れがある場合は、あらかじめ種子消毒を行います。市販の種子で消毒済みのものを使用する場合も、使用されている薬剤を確認して、薬剤の総使用回数が農薬使用基準を満たすよう注意しましょう。
育苗のポイント~不安定な季節は保温でカバー~
播種の時期は育てる地域の気候、品目によって様々ですが、早くて2月から3~4月が主流です。2月の気温が低い時期に行う場合は電熱線を用いて加温が必要な場合があります。これを「電熱温床」といいます。対して、3月以降の春暖かくなってから、加温を必要としない種床を「冷床」といいます。
参考:農林水産省「野菜栽培技術指針 基礎編」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/aki3-21.pdf
冷床とはいえ温める~露地にはトンネルメッシュ~
春に暖かくなって以降、太陽熱を利用し保温で苗を育てます。ポットの下はモミ殻や藁などで地面との断熱層を作ります。身近にモミ殻などが無ければ発泡スチロールや発泡シートでも良いですが、穴を空けるなど排水に注意してください。ビニールハウスで行うか、トンネル構造のフレームを置きシートで覆います。
露地の育苗には「トンネルメッシュ」が便利です!
雨が当たる環境でもサビに強い、亜鉛メッキ線を半円に組んだトンネルです。シートを掛けることで雨除けや保温、防雹、防虫、遮光など様々な用途にに使用できます。地面に設置してトンネル栽培とするほか、果樹棚に設置して雨除けとして使用することも可能です。また、使用しない時期は重ねて保管ができるためスペースもそれほど必要ありません。
保温をしたいけど、苗ヤケに注意!
春先は寒暖差が激しく、朝晩は冷えても日中は気温が上がることもあります。4月になると初夏並みの気温ということも増えてきました。そんな時に起こりやすいのが「苗ヤケ」です。苗ヤケの主な原因は主に2つ、①「水分の調整がうまくいかない」こと、②「温度が高すぎる」ことです。
①水分の調整がうまくいかない?
水分は多すぎても少なすぎても作物にストレスを与えます。水の与えすぎや水はけが悪い土壌では、土中が酸欠状態になり根が呼吸できないほか、水でふやけることで機能が損なわれます。また湿度が高すぎると、根腐れの一因となる真菌が繁殖しやすくなります。反対に、過度な乾燥は苗の水分蒸発が多くなりしおれる原因となります。水はけのよい土壌で、湿気がこもらないようにしましょう。
②温度が高すぎる?
発芽、生育に適した温度は栽培品目によって異なります。温度が高すぎる場合は発芽の遅延と、生育中では作物が未熟・結球が小さくなるなど収量・品質に影響します。このような「高温障害」は、水稲では30分程度の短い時間でも起こってしまいます。
気候変動が大きく影響する昨今、高温障害は定植後も悩ましい問題ですが、育苗中の苗はより繊細な管理が必要です。
温度管理にはポリホール!
ハウス栽培では、気温が上がる日は朝のうちに換気をするなど迅速な対応が必要です。トンネル栽培においても同じですが、畝ごとにシートをまくり上げるのは手間がかかり、日々の管理としては大きな負担となります。
「ポリホール」は上部開閉式の保温シートで、通常のシートをスソからまくり上げる換気に比べて大幅に作業が軽減できます。また、上部が解放されるため温度の高い空気が逃げやすく、天井部分からの水滴落下がほとんどありません。効率よく温度、湿度を逃がすことができるシートで、素材は高密度PEを使用しているため、風に強い点も使いやすいシートです。
サイズは幅2.1m~2.7mまで4種が選べるので、作業スペースに合ったサイズを選ぶことができます。
温度管理、日々の作業負担にお悩みの方は、使用方法のご相談も承ります♪
ぜひ東京戸張にお問い合わせください!
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